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アクセルスペースの「AxelGlobe」が地球を守るワケ、日本初の人工衛星4機同時打ち上げに成功

今回は環境について大きなインパクトを残すであろう事例についてお伝えしたいと思います。

打ち上げられた人工衛星のGRUS-1B、1C、1D、1E。画像: 日本初の量産衛星、打上日決定のお知らせより。
打ち上げられた人工衛星のGRUS-1B、1C、1D、1E。画像: 日本初の量産衛星、打上日決定のお知らせより。

執筆: Universe編集部、共同執筆:青木 英剛、GB SDGsチーム

GB Universe編集部とグローバル・ブレインでは、これまでにも社会からの要請に基づく企業活動をテーマに、環境やダイバーシティ、サステナビリティなどに取り組む支援先スタートアップやキャピタリストのオピニオンをお伝えしてきました。

スタートアップ投資における持続可能な社会づくりは避けて通れないテーマであり、私たちの2021年の投資戦略においてもサーキュラーエコノミーやインパクト投資といった分野を新たな領域へのチャレンジとして掲げています。

記事にもある通り、これまでソーシャルスタートアップやサステナビリティ、女性活躍、ダイバーシティといったテーマを各スタートアップの取り組みとしてお伝えしてきましたが、今回は環境について大きなインパクトを残すであろう事例について取り上げたいと思います。

宇宙スタートアップのアクセルスペースです。

日本初・人工衛星を4機同時打ち上げ

Image Credit: AxelGlobeウェブサイト。
Image Credit: AxelGlobeウェブサイト。

アクセルスペースは超小型人工衛星の設計製造、打上・運用、利用までを手がける宇宙スタートアップです。主力事業は「AxelGlobe」と呼ぶ地球観測プロジェクトで、自社で地球観測衛星を数十機打ち上げ、そこから撮影される画像および画像から抽出されるさまざまな情報を顧客に提供していくビジネスを手がけています。地球のあらゆる場所を高頻度に撮影することができるので、農業向けに作物の生育状況を日々確認する、経済動向予測のために港の輸出入の状況を日々観測するなど、多岐にわたる産業において活用可能性があるのが特徴です。

顧客の特殊なニーズに合わせて専用の人工衛星の開発から打ち上げ後の運用に至るまでをサービスとしても提供しており、これまでにウェザーニューズや宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けの衛星開発実績があります。

2021年3月22日、グローバル・ブレインから複数のファンドを通じて支援をしているアクセルスペースが同時に新たな人工衛星4機の打ち上げに成功しました。2018年12月に打ち上げられ、既に宇宙で観測を続ける衛星「GRUS-1A」に続くもので、同社の説明によると日本における人工衛星の複数機同時製造・打ち上げは初めてだそうです。

これにより、地球観測「AxelGlobe」は日本を含む中緯度地域では平均1.4日に1回、低緯度地域であっても3日に1度の観測が可能になりました。頻繁に情報が得られることから、農業利用や事故・災害時の事業継続計画(BCP※)への応用など、多様な業界における衛星データの活用が可能になります。

これにより「AxelGlobe」は地球の環境に対して大きな役割を果たすことができるようになります。

地球環境を守るために必要な技術

「AxelGlobe」が5機体制になることで、頻繁な情報収集が可能になります。この点についてアクセルスペースは地球環境におけるメリットとして次のようにコメントしています。

広域のモニタリングを継続的に行うことによって、環境破壊や違法行為に対して早期発見、取り締まりに動けるほか、抑止力としても効果があると考えています。例えば違法な森林伐採や漁獲など、どこで行われるかわからない行為に対し、衛星による観測は威力を発揮します。また、森林の健康状態を把握して土砂災害のリスク分析を行うことで、ハザードマップ作成に活用できる可能性があります。
— アクセルスペース

ビジュアルの活用には人々の意識を変える効果も期待できます。実際に起きている環境破壊を目の当たりにし、リアルタイムに変化・壊れていく世界を見て何も感じない人はそう多くないはずです。これらの意味でも今回のAxelGlobeのアップデートには活用する企業にとっても大きな価値となるはずです。

ESG投資の増加に伴い、環境に負荷をかけると考えられている企業は環境保護対策に対する説明をこれまで以上に求められるようになります。当社のサービスを使えば、操業によって周辺環境に影響を与えていないことをビジュアルで証明することができる(緑が減少していない、河川を汚していないなどを画像で確認することができる)ことから、投資家や周辺住民への説明材料として活用することも可能です。
— アクセルスペース

もちろん、環境の微妙な変化は衛星写真だけで判断できるものではありません。この点について、アクセルスペースでは複数機関との連携による研究も進めています。東京海上ホールディングスや広島大学、ハイドロ総合技術研究所などと連携した「赤潮の発生予測に関する研究開発」では、人工衛星などから取得する各種環境データ、最先端のAI、および環境データの将来を予測するためのシミュレーターを組み合わせることで、赤潮が発生するメカニズムの予測に挑戦をしています。

衛星からの情報と環境破壊に関わるメカニズムの両方が明らかになれば、企業はどのようにして地球と向き合えばよいか、自ずとわかるはずです。同時にそこに取り組む企業の発展と、ないがしろにする企業の淘汰も進むと考えています。

引き続きGB Universeでは今後も持続可能な社会づくりに関わる支援先スタートアップやSDGsに関するイベントの情報、インパクト投資やSDGs観点における協働などの活動を発信していきます。