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VCハンズオンリアル座談会(2)一般的な支援と違う「GB流の支援」とは

いよいよ具体的な支援内容についてお伝えします。

執筆: Universe編集部

前回からの続き。VCによるハンズオン支援は本当に役に立つのか。何を実施してどのように受け入れるべきなのか。前回のハンズオン設計の話題からいよいよ具体的な支援内容についてお伝えします。(文中の一部敬称は略させていただきました)

インタビュアー:慎正宗(グローバル・ブレインStrategy / Biz Dev)
インタビュイー:株式会社OKAN 代表取締役CEO・沢木 恵太氏、株式会社ROXX 代表取締役・中嶋汰朗氏

VCのハンズオン支援とは

:ではハンズオン支援では何をしているのか。左側が一般的なVCです。GBのキャピタリストを含めて、このようなもの中心に支援しています。一方、Value Up Teamの取り組みが右側です。

一般的に支援のスコープはコーポレートで、特にファイナンスや採用の部分での支援が中心的になることが多い。支援の対象は原則的にCXOの皆さんとの壁打ちであったりします。リソースも担当キャピタリストなどの個人がほとんどです。頻度でいうと、大変なときでも隔週とか月次。多くても週に1回程度じゃないでしょうか。

対して右側が僕らなんですけども、スコープの基本は事業部門です。セールス、カスタマーサクセス、プロダクトなどなど。現場に人が足りない、マネージャーが欲しい、CXOレベルが欲しいという声が上がれば、ピンポイントで採用の支援もします。

対象でいうとCXOは当然として、マネージャーのみなさんや現場メンバーもですね。ちなみに僕はROXXの営業メンバー全員の名前が言えます。リソースは個人ではなくチームで、私とメンバーで入ります。頻度も週に2〜3回のミーティングをやっていますし、単純に「濃い」というのがやっぱり違うかなと。

CXOのみなさんって社外取締役やキャピタリストと壁打ちして鍛えられてると思うんですけど、メンバーにはその機会は少ないですよね。マネージャーやメンバーが外部メンバーと触れることでスキルが向上するというのも、副次効果としていいかなと思っています。

中嶋:メンバーが安心して進められますよね。上が決めたこととして単に降りてくるだけだと、やっぱり何が進んでるか分からないと思うんですけど、今では慎さんに相談に行くみたいな感じに常になってるから(笑

客観性を担保してもらいつつ、コミュニケーションの取り方がとても丁寧なので、安心して話せるしっていう、いい距離感。中だとやっぱりいろいろあるからね(笑

慎:中は仕事だけじゃなく、家族みたいなところがあるから。

中嶋:そう。近すぎるがゆえにっていうとこあるじゃないですか。

沢木:慎さんのチームはメンバーと一緒に泥水すすってくれるからこそ相談できるよね。アドバイスだけされてると、なんか・・・いやいや、言うても何も苦労してないじゃないですか!って話になっちゃう。そこが現場に入っている強さだと実感しています。

慎:「現場至上主義」ですから。まさにそういう支援を志しております。

僕らの支援って、やってることはすごくシンプルで、課題を特定して戦略と施策を立案して実行とモニタリングをしてちゃんと振り返りをしましょうっていうのを、短くてもクオーター、長くても半年で1ラウンド回す

OKANは2ラウンド目ですよね。ROXXは半分回ったところ。最終的には自分たちで回せる体制を作ってご卒業、というのを目標にしています。

実際に何をやったのか

慎:OKANの支援は去年の9月ぐらいからなので、もうすぐ1年ですね。最初ミッド・エンプラの営業支援から始めて、全社、部門、部門横断戦略・施策の立案支援へと広がっていきました。

OKANの場合は沢木さんがバーっとドキュメントを書くので、その壁打ちから始めましたね。そこから部門に落とし、部門ごとに一緒に見ていきました。

そんな中でコロナ禍になり、マーケット環境が変わって、ユーザーニーズも変わった。すぐに業種別のティア設定や注力戦略の設定などを行い、乗り切ることができました。これは割とインパクトが出せた支援だったと思います。

これ以外ではプロジェクト化ですね。マーケティング戦略とか営業戦略、SCMなどをプロジェクト化して、自分たちで策定できるようになるよう支援していました。

また、週次で進捗モニタリングして、フィードバック、インプットします。僕らもいろんなところを支援してるので、他での事例も踏まえ、自分たちだけだとなかなか思いつかないような幅出しもできます。決定してないことがあったらちゃんと決定しましょうとか、アクション決めましょうとか、解像度を上げていきましょうみたいな話をしています。これを週次で回していく。

あと、すごく大きいのがドキュメンテーション文化の定着と、ミドルメンバーの育成ですね。OKANって最初はドキュメンテーションを書くのがあまり得意ではない人が多かったですよね。

沢木:書いてなかった。

:毎週毎週アジェンダ、議事録を自分たちで書くことを徹底して、今ではみんなすごく書けるようになってきましたよね。それまでは言いっ放しで流れちゃってることが多かったんですけど、ちゃんと残していくことができるようになった。

支援してきた中でもすごく価値あったなというのは、コロナ禍の影響をはね返すために注力セグメントを特定したこと。本丸のSMBのお客さんの中で特に強かったのってやっぱりIT系だとかスタートアップが多かったんですけど、コロナの影響でリモート化が進み、商談数や受注率が鈍化傾向になってしまった。そこで、過去2年分の商談を全部、業種と業態に紐付けてファネル分析を行いました。

スタートアップのあるあるなんですけれど、成約できたお客さんのみをターゲットに考えがちなんですよね。本来どこのターゲットを狙うのか、注力領域はどこかなどを考えずに成約できちゃうこともあるので。

沢木:分析できてないし、分析するリソースもタレントもいないですからね。

:うちの伊藤さんが頑張ってくれたのもあり、結果として2月ぐらいから一気に回復しました。今は予算も達成ベースっていう、非常に素晴らしい成果だったと思っています。

ROXXは4月末ぐらいから始めたんですが、ものすごいスピードでしたね。まず課題特定のため、事業方針、マインドセット、期待値調整から始めました。

「back check」は、これから伸ばしていく事業の組織体制の整備、事業責任者への責任・権限のデリゲーションの話、戦略・施策の立案とかマイルストーン設計、短期の刈り取りだけではなく、一定期間は立てた施策をやりきることを合意してほしいとか、そういうことから始まりました。

中嶋:これでもめちゃくちゃマイルドに言ってますね(笑

:毎週激動ですよね、ROXXは。営業戦略一緒に作ったり、有効商談の見直しや、そこに向けたプライシングを促したり。チームごとの戦略・施策を聞いてみましょうと言ったこともあるし、本当に色々なことをチームとしてやりました。

中嶋:ちゃんと折り合いつけずにやってきちゃった部分がありますよね。そんなことより目の前にやらなきゃいけないことがあるし、中長期でやらなきゃいけないのは分かってるけど・・・

:まず、今週電話何本掛けたんだとか。

中嶋:今日何やったんだみたいな議論にすぐなっちゃって(笑

:ROXXもまだまだドキュメンテーション文化を強化、改善する余地がありそうです。

また、顧客の広がり、利用シーンや用途の広がり、短期・中期・中長期の時間軸も考慮しつつ、コアの機能は何にしてくのかみたいなところも時間かけて議論しました。Devチーム・Bizチームを巻き込んでワークショップを1週間で2回。その後、中嶋さんにも当てて戻してをしつつ、取締役会までに3週間ぐらいで一気に仕上げましたね。ここから仮説検証の精度を上げていかなきゃいけないんですけど、まぁ、いったんこれでやろうぜって思えるような、みんなが腹落ちできる議論が出来たのは、けっこう大きかったかなと思っています。

中嶋:ボトムアップでメンバーを巻き込んでやれたのは、とても良い経験でしたね。

次につづく:VCの支援について正直どう思ったか