GB Tech Trend #106: a16zが出資、AIチャットボット「Poe」にみる生成AI事業の勝ち筋

より人間の生の声を教師データとして獲得しているQuoraの相対的な価値は高い印象です。

7,500万ドルの調達を発表した「Quora」(Image Credit: QuoraのPoe)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

世界的QAサイト「Quora」が7,500万ドルの資金調達を発表しました。著名VCであるAndreessen Horowitz(以下、a16z)が出資しています。同社は昨年、AIチャットbotサービス「Poe」をリリースしました。

今回の調達に関して、Quora CEOのAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏は、Quora上で声明を発表しています。投稿によると、現在Quoraは月間ユニークビジター数は約4億人。Quora単体では黒字化できていることから、調達資金の大半をPoeへ利用するとのことです。本メディアでも、Poeのリリース時には記事にしており、当時はQuoraのユースケースを拡大する新たなプロンプトメディアとしての可能性をお伝えしていました。D’Angelo氏の投稿を見る限り、QuoraとPoeは強い相関関係にある一方、各々単独プロダクトとして成長させていくことが伺えます。

D’Angelo氏の投稿で最も興味深い点は、Poeを「ウェブブラウザー」のような市場ポジショニングで捉えている点です。この発言は、Poeリリース時のメディア取材時から一貫しています。AIはまさにインターネットのように、インフラに近い概念です。ChatGPTやBardといった単独サービスが市場を寡占していくのではなく、様々なサービスへアクセスできるブラウジング体験のような「入口」をデザインしていく必要性をD’Angelo氏は持っているようです。

この考え方はQuoraに蓄積されている膨大なQA情報を元にした「誰もが自分だけの対話型AIボットを開発できるプラットフォーム」というアイデアに結実します。私たちが各種ウェブサービス、検索結果をブランジングする体験を、チャットボットとの「対話」が置き換えると考えたわけです。GPT Storeも同じトレンドに乗っていますが、より人間の生の声を教師データとして獲得しているQuoraの相対的な価値は高い印象です。

さて、今回出資を決めたa16zもブログ記事を発表しています。記事によると、クリエイタープラットフォームとしてのPoeに期待を寄せている旨が伺えます。AI開発を行いたいがモデルを作れなかったり、ノウハウをあまり知らないロングテール層に向けたサービスとしての成長性に可能性を感じたようです。ゲームプラットフォーム「Roblox」が、ゲーム開発プラットフォームを提供することで、巨大なゲームクリエイター経済を築いて上場したのと同じように、Quoraも同様の成長曲線を辿ると考えたのでしょう。

実際、a16zはPoeと同じAIチャットボットサービス「Character.ai」へ大型出資しています。a16zは、クリエイターエコノミー、パッションエコノミーの市場コンテキストを長く啓蒙してきたこともあり、AI領域においてもクリエイター基軸でさまざまなサービスへの出資を加速させそうですし、急成長を遂げるものが登場しそうです。

1月2日〜1月15日の主要ニュース

1億ドルの調達を発表した「1X Technologies」(Image Credit:1X Technologies)
1億ドルの調達を発表した「1X Technologies」(Image Credit:1X Technologies)

人型ロボットメーカー「1X Technologies」、シリーズBで1億ドル調達、EQT Venturesがリード

OpenAIの支援を受け、AI対応の産業用ロボットを製造している「1X Technologies」は、EQT Venturesがリードを務め、Samsung NEXTとNISTAD、さらに以前からの投資家であるSandwaterとSkagerak Capitalらが参加したシリーズBラウンドで1億ドルの資金調達を実施したと発表。— 参考記事

「Overmoon」、NFXやKhosla Venturesから1,000万ドル調達、バケーションレンタルに新風

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菌糸体(キノコの根から採取)を使ってバイオ素材を生産する「Sqim」は、CDP Venture Capitalがリードを務め、European Circular Bioeconomy Fund、Kering Ventures、Progress Tech Transferらが出資するラウンドで、1,200万ドルの資金調達を実施した。— 参考記事

Nvidia出資、AI介護サービス「Artisight」がシリーズBで4,200万ドル調達

AIコンピュータービジョン、センサーを利用してバーチャル介護サービスを提供する「Artisight」が、シリーズBラウンドで4,200万ドルの資金調達を実施した。Nvidiaも出資している。— 参考記事

従業員福祉向上の「Avante」が1,000万ドル調達

高度な分析と行動変容を通じて従業員の福利厚生を向上させる「Avante」は、Fuse Venture Partnersがリードを務め、Ascend.vcとHighSage Venturesらが参加したシードラウンドで1,000万ドルを調達したと発表。— 参考記事

デジタルアセットマーケットプレイス「Eesee」が285万ドル調達

デジタルアセット、トークン、RWAの販売者向けゲームマーケットプレイスを提供する「Eesee」は、SevenX Ventures、Maven Capital、MetaBros、Contango Digital Assets、BasementDAOから285万ドルの資金調達を実施したと発表。 — 参考記事

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