
渡 駿
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
R&B推進本部 R&B事業推進センター CVC戦略推進グループ 投資担当
セールスAXの実現を目指す、ナレッジワーク。同社とキヤノンマーケティングジャパンの連携についてキーパーソンに話を伺いました。ナレッジワークがM&AをしたPoetics時代から続く信頼関係や目指すシナジーについて語られています。

【Summary】
セールスAIエージェントを通じ、セールスAX(Sales AI Transformation)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社(キヤノンMJ)
M&Aという大きな転換期を経てもなお、なぜ両社の絆は深まり続けているのか。「スタートアップと販売代理店」
──まずはPoetics時代のことを伺わせてください。Canon MJ MIRAI FundからPoeticsに出資を行った経緯や当時の狙いは何だったのでしょうか。
キヤノンMJ・渡:Poeticsさんがセールステック領域で確かな実績を出されていたことはもちろんですが、それに加えて「音声AIの優秀なDeep Tech企業」
また、弊社はキヤノン製品にとどまらず、さまざまなパートナー企業の製品・サービスを組み合わせたソリューションの提供を行っており、幅広い顧客基盤と多様な販売チャネルを備えた営業体制を強みとしています。そういった点からも、セールステックの自社活用にも大きなシナジーを見出していました。
ナレッジワーク・山崎:渡さんたちが私たちの実績だけでなく、技術面も深く評価してくださったのは本当に嬉しかったです。
当時、私たちは自社をSaaSスタートアップではなく、「AIの研究開発企業」
また、当時は商談解析AI「JamRoll」
──その後、ナレッジワークがPoeticsをM&Aするという大きな転換期を迎えます。キヤノンMJはその後も株主として残り続け、さらにナレッジワークへの追加出資にまで至りました。この意思決定の背景には何があったのでしょうか。
キヤノンMJ・渡:弊社がCVC出資において最も重要視しているのは、「スタートアップとの関係が長く続くこと」
Poeticsとはセールステック領域でお互いに確かなシナジーが描けていましたし、何より両者にとって前向きなディールでした。Poeticsさんと連携して描ける未来の大きさを確信していたからこそ、追加出資を通じた支援の継続を決めました。当社のCVCファンドは100億円と規模が大きいため、ためらわずにファンドを通じて追加支援できたことも要因でしたね。
ナレッジワーク・山崎:最初の出資からわずか半年ほどでのM&Aだったため、その決断を快く認めて応援してくださったキヤノンMJの皆さんには深く感謝しています。
ナレッジワークという新しい母体になっても伴走し続けていただけることは心強いです。短い期間であっても、出資前から現場目線でディープな関係性を築かせていただいたからこそ、このご縁がいまも続いているのだと感じています。
──現在、キヤノンMJの社内でもナレッジワーク製品の導入が進んでいると伺いました。規模の大きな企業であるキヤノンMJに新しいAIツールを導入する際にはハードルが多くあったかと思いますが、どのように乗り越えたのでしょうか。
キヤノンMJ・藤江:大企業へのツール導入は一筋縄ではいきませんが、今回はAIが絡むためさらに難度が高かったです。当時はAIサービスの活用が広がり始めた時期であり、社内ガイドラインについても整備が進められている段階であったため、社内のIT本部などと調整を重ねて一緒にルールを策定するところからスタートしました。
私の所属するソリューションデベロップメントセンター(SDC)
そこで私たちは、ナレッジワークの営業担当の皆さんとワンチームになり、キヤノンMJ内の営業部門に共同提案を行うような形で社内行脚し、導入を進めていきました。
キヤノンMJ・渡:CVCチームである私の立場からは「社内のどの部署の誰にアプローチすれば導入が進むか」
ナレッジワーク・山崎:渡さんたちに社内の「地政学」
── 実際にキヤノンMJ社内で導入してみて、ナレッジワーク製品の独自性や強みはどこにあると感じましたか?
キヤノンMJ・藤江:営業活動において最も重要なのは、商談の「前(準備)
世の中にある多くの商談支援ツールは単一機能に特化しているため、商談「中」
しかしナレッジワークの強みは、営業プロセス全体をカバーする複数のプロダクトを持ち、それらがシームレスに連携し合っている点にあります。
たとえば、商談前には以前からあるナレッジワーク製品を使って営業のナレッジ共有や資料作成を行い、商談中・後にはJamRollの機能を受け継いだ「ナレッジワークAI商談記録」
準備から商談、その後のアクションまでが1本の線でつながることで、商談の質そのものが引き上げられ、受注までのリードタイムが短縮される。「営業プロセス全体の最適化」
──社内導入と並行して本格化しているという、ナレッジワーク製品をキヤノンMJが販売するパートナー販売の連携についても教えてください。
キヤノンMJ・藤江:すでに具体的な案件がいくつも進んでいます。最終的には、キヤノンMJのメンバーだけで提案からクロージングまで自走することを目指していますが、現在はナレッジワークのパートナー販売担当の方に伴走してもらいながら、販売ノウハウを吸収している最中です。
実は明日も、私自身がとある大企業へAI商談記録の提案に行く予定で、成約すれば大きなインパクトになるため気合が入っています。
ナレッジワーク・山崎:それは絶対に成約につなげたいですね。実はナレッジワークにとっても、パートナー販売は新しい挑戦なんです。これまでナレッジワークは大企業向けの単体ソフトウェアだったこともあり、代理店展開を前提としたプロダクト設計ではありませんでした。
しかし、PoeticsのM&Aを経てプロダクトが「群」
キヤノンMJ・渡:弊社は単なるIT商社ではなく、システムインテグレーション機能や、医療、半導体など、多岐にわたる専門領域の顧客基盤を持っています。このアセットを最大限に活かし、中長期的な視点でナレッジワークさんと真のパートナーになっていきたいですね。これはCVCファンドから出資する他のスタートアップの皆さんに対しても同様に抱いている想いです。
──キヤノンMJはこれまでも数多くのIT・AI製品を全国の企業に販売し、定着させてきた実績があります。その立場だからこそ感じる、AIスタートアップのプロダクトを広く社会に届けるために重要なことは何でしょうか。
キヤノンMJ・藤江:私たちが製品の販売において特に意識しているのは「顧客主語」
世の中にはAIプロダクトは多くありますが、お客様はAIが欲しいわけではありません。「そのAIを使って、自社のどんな課題がどう解決され、どんなメリットが生まれるのか」
──ありがとうございます。では最後に、両社が描くこれからの連携のビジョンについてお聞かせください。
ナレッジワーク・山崎:パートナー販売の最大化は前提としつつ、キヤノンMJさんの持つシステムインテグレーション力と連携し、お客様のITインフラや基盤構築の段階から一緒にアプローチするような検討ができると面白いのではないかと思っています。たとえば、営業特化型AIエージェントの構築などですね。
また、Poetics時代から構想していたAIの基礎研究や事業化についても、当社の博士号を持つ研究開発メンバーとキヤノンMJさんの技術・知見を融合し、共同研究を模索できれば、Poeticsのころからのビジョンをともに成し遂げられるなと。
キヤノンMJ・藤江:当社の経営陣からは「ただナレッジワークの製品を仕入れて売るだけなら、キヤノンMJの価値はまったくない」
たとえば、キヤノンが持つカメラや映像解析技術と、ナレッジワークさんのAIロープレツールを掛け合わせるような連携も考えられます。「営業担当の表情や身振り手振り、視線の配り方まで解析し、より顧客に伝わる営業アプローチをフィードバックする」
私たちは、スタートアップの皆さんから「製品を売ってくれるだけの販売代理店」
キヤノンMJ・渡:最先端の基礎技術領域での協業は、弊社としても特に注力したい分野です。いまオンライン会議が当たり前になったように、数年後には誰もが驚くような「新しい当たり前」
抽象度が高くなってしまいますが「とにかくお客さんにめっちゃいいものを提供していきたい」
※所属、役職名、数値などは取材時のものです
(編集:GB Brand Communication Team)

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
R&B推進本部 R&B事業推進センター CVC戦略推進グループ 投資担当

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
マーケティング統括部門 ソリューションデベロップメントセンター ソリューション企画課 課長代理

株式会社ナレッジワーク
CAIO(Chief AI Officer)