どうすれば経営陣と現場の「目線」がそろうのか。スマートバンクに学ぶ、自走するスタートアップの作り方
AI家計管理アプリ「ワンバンク」などを展開するスマートバンクがグローバル・ブレインと実施した、組織人事の課題解決に向けた取り組みについてご紹介します。

スタートアップへの伴走型支援を行う中で見えてきた、組織・人事課題の紐解き方や企画を実行する際のポイントについてまとめました。

「組織課題の特定と論点整理」
課題や論点は「情報収集」
施策企画〜実装まで伴走することで、成果の再現性が高まる
国内最大級の独立系VCであるグローバル・ブレイン(GB)
今回は、VUTの組織・人事領域において投資先企業の組織・人事の実行局面にまで入り込んだハンズオン支援の活動をご紹介します。
実は、日本においてVCがそこまで深く入り込む支援事例はまだ少ないため、活動内容をお話しすると驚かれることも少なくありません。
この数年、そうした支援を通じて多くの経営者に伴走する中で確信したのは「組織課題の特定と論点整理」
本記事では、私たちが支援現場で実践してきた「組織課題の紐解き方」
スタートアップ経営者の方々には組織改善のヒントとして、またCHROなど人事のプロフェッショナルの方々にはキャリアの新たな可能性として参考になれば幸いです。
VUTが投資先企業への支援を開始する際、まず徹底的な情報収集やヒアリングを行い、現状を整理します 。その上で、経営陣と「なぜこれが必要なのか(Why)
2025年には株式会社トリファ(トリファ)
【価値を感じた支援上位5つ】
【コメント】
代表取締役 嘉名 雅俊氏、執行役員 永井 健太郎氏
「特に効果的だったのは、組織づくりの土台となる考え方や課題の洗い出しから丁寧に伴走いただいた点。壁打ちを通じて、組織課題と今後やるべきことが明確にクリアになったのが大きな成果だった」
【価値を感じた支援上位5つ】
【コメント】
CEO 堀井 翔太氏、CFO 下河原 雄太氏
「組織課題を人事や経営メンバーから聞き出すだけで、施策はスマートバンクに考えさせるという進め方ではなく、薮田さん自身が手を動かして『こういうことをした方が良い』
私たちも、組織・人事の支援を行っていくうえで「課題・論点の整理」
ではなぜ、VUTでは個別の施策(採用や制度設計)
たとえば、「人が採用できず業務の移譲が進まない」
スタートアップでは組織人事だけに十分な時間を割くことはできないため、事業課題にかけるリソースとのトレードオフが常に発生します。その中では、いま解くべき問い(論点)
経営者やCHROはどうしても日々の実務や意思決定に追われ、課題特定のための時間を確保するのが難しい場合が多いです。また、スタートアップ社内の当事者であるからこそ、人や組織の課題に感情的なバイアスを抱いてしまうこともあると思います。
私たちのような外部の人間が客観的に「事象」
では、具体的にどうすれば組織の「詰まり」
まず、投資先企業の経営陣や人事担当にヒアリングをする前に、事前に入手できる情報に目を通して考えられる組織の強み・弱みを洗い出します。具体的には以下のようなデータを読み込みます。
なお、ここまでの情報がすべてそろっているケースは投資先企業の中でも少ないですし、提出するのにもリソースがかかってしまうので、すべてのデータを創業初期からまとめておく必要はありません。一方で、組織拡大を見据えるのであれば将来的には必要なデータになることから、自分たちがどこまで人事に関する情報を持っているかを振り返る意味でも情報の集約はおすすめしています。
データをいただいた後は、 以下の6つの組織人事に関わる分野に分けて確認すべき点を洗い出していきます。それぞれに対し、データでは理解できなかったことを追加でヒアリングをしていく形です
これらを網羅的にさらうことで、「経営者が感じている違和感」
次に、1の段階でのヒアリングなどを経て得た情報を以下の3つに分解し、関係性を整理していきます。
多くの現場ではこの3つが混ざって考えられてしまっています。このように分解した上で、「あえていまはやらないこと」
VUTの支援では論点を洗い出すだけではなく、 私たちが考える仮説も合わせて経営陣や人事担当者などのカウンターパートの方々にお伝えします。私自身がスタートアップやメガベンチャーで経験してきたことや、これまでの支援事例、一般論を参考に、ケースに応じて提案するよう心掛けています。
課題が整理できても、立派な企画書が机上で眠ってしまっては意味がありません。GBのハンズオン支援では施策や企画の実装まで支援することで、戦略の「翻訳者」
その中で意識しているのは以下の3つのポイントです。
伴走者の役割は答えを与えることではありません。経営者が決断するために必要な「材料」
なぜこのような動きを意識しているのかというと、スタートアップ経営者の意思決定が遅れてしまうのは、情報不足ではなく「考えきれなさ」
たとえば、投資先企業の経営者が報酬設計で迷われている際、私たちは単に労働市場のデータを共有するだけでなく「御社の文化ならどちらが望ましいか」
実際の支援事例ではどのように取り組んだのかもご紹介します。たとえば、「明確な給与基準がなく全社的に評価制度への納得感がない」
社内で企画した施策のスピードが落ちたり、うまく行かなかったりするのは、社内の理解や納得感を得られておらず、温度感の調整不足が原因となっているケースが多いです。
温度感がそろわないまま進んだ施策は、社内の「やらされ感」
経営と人事担当だけでコミュニケーションをしても、利害の違いを吸収しきれないケースはよくあります。たとえば、経営サイドは事業フェーズの変化に合わせて「人材を入れ替えるべきだ」
そこで、外部の伴走者が「人事と経営両者の翻訳者」
なお、前述したトリファへの支援では以下のような取り組みを通じて、経営・人事・現場のコミュニケーションが円滑になるようサポートしました。
私たちが目指す最大の成果は、支援が終わった後に投資先企業が「組織課題解決を自走できる組織」
スタートアップでは環境変化が激しく、同じ課題は2度と同じ形では現れません。だからこそ「考え方」
トリファでの支援においても、同社の中で施策を効果検証し、自走できる体制になるよう、制度設計の仕方には留意をしました。
これら一連の取り組みを通じ、当時のトリファは社員10数名のアーリー期のスタートアップでありながら、社員も納得感を感じられる等級制度の構築に成功。等級制度がクリアになったことで、社員自身の成長へのモチベーション向上にもつながり、組織体制が一層強固になりました。
支援の詳しい内容については、以下の記事もご覧ください。
組織・人事の課題に対する「絶対的な正解」
多くの経営者は目の前の「事象」
そしてこの論点の見定めこそ、私たち外部支援者が最も貢献できる領域です。経営・人事・現場の間に立ち、それぞれの違和感を構造化して「いま何を解くべきか」
なお、GBではスタートアップで活躍したい方、GBでスタートアップ支援したい方を募集しています。「自らの知見をスタートアップ支援に活かしたい」
(編集:GB Brand Communication Team)
グローバル・ブレイン株式会社
Value Up Team
Partner
投資先のPeople Practice支援に従事。また、GB社内の組織人事も担当。