ARTICLE

移動を効率化するMaaS企業「SWAT Mobility」に投資する理由

日本含むアジア7ヶ国でサービスを展開し躍動するMaaS市場の現状と魅力をお伝えします。

執筆: Universe編集部、共同執筆: 岩間菊子

2021年2月8日、グローバル・ブレインは新たな投資としてMaaS企業「SWAT Mobility(以下、SWAT)」への出資を公表しました。本稿では私たちが彼らに注目する理由、日本含むアジア7カ国でサービスを展開し躍動するMaaS市場の現状をお伝えしつつ、彼らの魅力と可能性についてお伝えしたいと思います。

SWATは、SWATオンデマンド型の移動ソリューションを展開するMaaS企業です。2015年に創業し、当社のオンデマンドアルゴリズムの強みを活かし、日本含むアジア7カ国でサービスを展開しています。

主な顧客企業は移動をサービスとして提供する企業で、例えば空港などの乗客輸送に対して適切なルーティングなどを提案しています。こういった企業などの顧客の移動ニーズに沿って、乗降車時間・場所・頻度に対しフレキシブルなソリューションを提供できるのがSWATの強みになります。

例えば導入先のシンガポールのとある工場では、SWATのアルゴリズムにより、コストを増やすことなく、通勤バスの乗車地点を9箇所から250箇所以上に増やし、 従業員の通勤への満足度向上を達成するといったことが可能になりました。体験としても、ユーザーフレンドリーな乗客用、運転手用アプリに加え、これらのデータから車両運行管理、ルート管理、移動データ分析などを提供することができます。

MaaS市場の概観・アジアの状況

世界のオンデマンドバス市場は3兆円規模といわれています。国内だけでも年間45億人・回をバスで輸送しており、COVID-19により医療従事者や不定期通勤者など感染拡大防止策としてのオンデマンドバス需要の高まりもあります。また、日本などでは縮小傾向が進む地方の公共交通の代替としての期待も高いです。

MaaSを考える上で、ビジネスチャンスは大きく二つあります。それが人の移動とモノの移動です。SWATは現在、人の移動の部分にフォーカスしています。中でも従業員向けのB2Bサービス、オンデマンドバスなどのB2G・B2B2Cサービスには現時点で大きな需要が見込めています。

日本でも導入が進んでおり、J:COM社からはプレスリリースされていますが、全国約4,500台のJ:COM営業車を用いたライドシェアサービス「J:COM MaaS」のプロジェクトでは、東京、埼玉、大阪の3都府県で230人の営業スタッフを対象に実証実験が始まっています。

その他にもオーストラリアのメトロ、ノースウェストシドニーにて新しい駅から住宅地までの移動の利便性向上に貢献したり、トヨタとは、タイ、フィリピン、インドネシアにて医療従事者の通勤負荷軽減、感染予防目的で導入されるなどの実績があります。

将来的に自動運転時代になれば、オンデマンドも一層拡大することは間違いありません。この先でも必要不可欠な技術・サービスであると思います。

もうひとつのチャンスがモノの移動です。こちらについても一部実証実験を始めていますが、具体的にはフードデリバリーやラストマイルデリバリー市場がターゲットになります。例えば大量な荷物・配送を効率するためには、配送の組み合わせ・ルートが重要になります。雨の日晴れの日など天候によってもルートはリアルタイムに変動しますので、そういった効率化についてもSWAT Mobilityのソリューションは有効です。

モビリティのスペシャリスト創業者とチーム

SWATのチーム。
SWATのチーム。
日本支社代表の末廣氏。
日本支社代表の末廣氏。

創業者についてもご紹介させてください。実は彼らに投資するチャンスを得たのは今回が2回目で、数年前に一度検討し、すでにサービスもチームも良いと感じていましたがまだ創業したばかりということもあって投資に至らなかった経緯があります。今回はPlug and Playからの紹介で再検討ということになり、改めてご一緒することとなりました。

創業者兼CEOのJarrold Ong氏は、オンライン不動産クラシファイド(SG)、EdTech企業(シリコンバレー)、ViKiを経てSWATを共同創業した経験豊富な人物です。また創業者兼ChairmanのArthur Chua氏は、2008年にEntrepreneurs Organization、2016年にはYoung Presidents’ Organizationに入会した最年少メンバーであり、政府のモビリティ関連アドバイザーも務めています。

彼らのもう一つの強みはチームで、「百人規模の乗客・複数のバス・広地域」に対するルート最適化技術で世界トップクラスであり、動的ルート生成アルゴリズムのベンチマークとされている「Li & Lim Benchmark」への採用数が世界最多のエンジニア集団です。

社員は60名ほどですが、その中には10名ほどのデータアナリストもいるので、技術も数年前より大きく進歩しています。また、彼らが作ったシステムフレームワークは非常に柔軟性を持っており、アジアなど道路が複雑でカスタマイズの需要が大きいエリア特性にも対応できています。

CharimanのArthur氏はネットワークが非常に強く、資金調達・開拓を担当し、CEOのJarrold氏はカリスマ性があり技術に精通、またPresidentのGrace氏はマイクロソフトを経験したことで俯瞰的に若いマネージメントチームをサポートしている点など、役割分担も明確で、非常にバランスの取れたチームです。

昨今、SDGsを考慮した持続可能な事業展開が重要になってきていますが、SWATのサービスはまさに少ないバス・車で効率よく移動させるということに尽きますので、地球環境にも大きく貢献すると考えています。