スマートバンクに出資する理由

家計簿プリカ「B/43」を展開するスマートバンク。私たちが彼らに注目する理由についてお伝えします。

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執筆: Universe編集部、共同執筆:吉尾未来

7月にGBは新たな投資先として、家計簿プリカ「B/43」を展開するスマートバンクへ出資を公表しました。スマートバンクのサービス「B/43」はVISAプリペイドカードと家計簿管理のアプリがセットになった支出管理サービスで、毎月の予算を設定したり、生活費の予実やカテゴリ別の支出を反映したレポートを毎月確認できるものです。

決済履歴がリアルタイムに反映されるのも特徴で、プリペイドカードを店舗で使うとすぐにスマートフォンアプリに通知が届きます。さらに利用目的別に”ポケット”を作成し、残高を分けて管理したり、パートナーと共同で家計を管理できる”ペア口座”を作成できるなど、後発ながらユーザーの課題に寄り添ったサービス開発を進めています。

本稿ではスマートバンクの可能性に触れつつ、私たちが彼らに注目する理由についてお伝えしたいと思います。

連続起業家のチーム

写真左より、株式会社スマートバンクCDO竹渓潤氏、CEO堀井翔太氏、CTO堀井雄太氏。
写真左より、株式会社スマートバンクCDO竹渓潤氏、CEO堀井翔太氏、CTO堀井雄太氏。

スマートバンクの強さを語る上で、創業メンバーに触れないわけにはいきません。フリマアプリ「フリル(現・ラクマ)」の創業チームである堀井翔太氏(CEO)、と双子の兄弟である堀井雄太氏(CTO)そして竹渓潤氏(CDO)が2度目のチャレンジとして同じメンバーで共同創業しています。

2012年創業のフリル(※当時の運営会社はFablic)を2016年に楽天へ売却した後、個人投資家とスタートアップをつなぐサービスをリリースするなど、彼らは次の事業を模索していました。その結果、キャッシュレス決済が社会に浸透する一方、生活費の管理は未だアナログであるという大きな課題にチャレンジすることになったのです。

スマートバンク創業チームがユーザーと徹底的に向き合い、イシューを把握してプロダクトに落とし込む力は、フリルの実績で証明されています。フリマアプリの本質は「誰でも身の回りのモノをお金に変換できる」というフィンテックであり、知り尽くしたユーザーの根幹にある課題を異なるアプローチで解決するチャレンジは、成功の可能性が極めて高いと評価しています。彼らには再現性があるのです。

世界的に広がるチャレンジャーバンクの世界

今、世界的に次世代の銀行と呼ばれる「チャレンジャーバンク」「ネオバンク」という概念が広がり、一定の認知を得るまでになりました。イギリスではデジタルネイティブ世代を中心に、チャレンジャーバンクのアプリ利用が浸透しています。これはロンドンオリンピックを契機に政府主導でキャッシュレス決済を浸透させた結果、店舗や公共交通機関、美術館や教会まで、あらゆる支払がキャッシュレス化したからです。

そしてここにはひとつの未来が示されています。

というのも、現金とデジタルの併用によって「デジタル側の」利用額把握など、支出に対する課題が発生したからです。これが結果的に決済や家計管理のUXが優れたプロダクトが普及することに繋がったのです。

貯蓄を持たない世帯は国内でも増加傾向にあります。家計の管理は若年層を中心とした多くの世代にとって重要課題です。また、キャッシュレスの浸透により、今月いくら使ったかを正しく把握することが困難になりつつあります。例えば日本で最も浸透しているキャッシュレス決済手段であるクレジットカードは後払いが基本です。ここではいつの間にか使いすぎている、という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしこういった「使いすぎ」を防ぐためのアナログな記帳や、従来からある家計簿アプリは入力の手間が大きく、継続が難しいということも明らかになっています。そこで、スマートバンクのチームはプリペイドカードとアプリを組み合わせることで、まずは手間なく支出管理ができる方法を提供し始めたのです。

今後、短期的にはペイロールの解禁を契機とする、給与のデジタル支払いが可能になる社会がやってきます。給与、つまり「お金の入り口」を押さえることで利用拡大を期待しています。

一方、中長期的にはB/43を利用することでユーザーが月々の支出の管理をできるようになり、生活費の管理から、資産管理、資産運用等、お金を貯める、増やすといった次のステップに拡大することが考えられます。

こちらの記事にもある通り、スマートバンクのチャレンジは家計簿管理という観点では後発かもしれません。しかしそこにある参入障壁を乗り越える方法や経験をこのチームは持っています。コロナ禍において、社会では一気にデジタル化が進んでいます。これを参入のタイミングと捉えるのであれば、彼らは絶好の機会を得たのではないかと信じています。