抗体医薬を開発するバイオベンチャー「IgGenix」に投資する理由
IgGenix社が対象とする食品アレルギーは社会課題のひとつです。

執筆: Universe編集部、共同執筆: 守口毅・阪川 洋一
グローバル・ブレイン(以下GB)
経営チームは、過去に他の会社での経営実績があり、リーダーシップスキルを持つ経験豊富な起業家、Jessica Grossman氏をCEOとし、同じく創薬開発の実績があるHenry Lowman氏とDerek Croote氏の2名の科学者によって構成されています。
さらに取締役会はグローバル・トップティアVCのKhosla Venturesにおいてマネージング・ディレクターを務める人物や、タンパク工学および小児食品アレルギーの権威らによって構成されており、非常に強力な体制になっています。
IgGenix社が対象とする食品アレルギーは、全米で3,200万人が罹患していると言われる社会課題のひとつです。これに関連する医薬品の市場は年率6%程度で推移しており、2030年には約6兆円規模まで拡大すると言われています。
現状での主な治療法は関連するアレルゲンの「順化(※症状が繰り返すことによって徐々に症状が見られなくなる現象)
「順化」
一方で有効性が出るには長期の服用が必須であり、患者負担による治療コンプライアンスの悪化や副作用・アナフィラキシーリスクなど安全面での課題も多く、満足のいく治療法は未だ確立されていない状況です。
IgGenix社の強みは当該市場において安全性、有効性の両方を担保した新規骨格の抗体医薬と、その創薬探索プラットフォームにあります。まずIgGenix社の抗体医薬は、前述の重度アレルギー患者由来の「希少なB細胞」
さらに創薬のプラットフォームは従来のマウス免疫法やファージディスプレイ法などに比べて非常に効率的な創薬を可能にし、既に25種類のアレルゲンに対して4,000以上の抗体を単離しています。
前述しましたが、現在の食物アレルギーにおけるベンチマーク製品はPalforzia®のみで、競合優位なポジショニングを築いています。また環境アレルギーに対する競合製品としては「Xolair®」
IgGenix社の製品はアレルゲンそのものに結合するため、自己免疫に触れずにアレルギーの発症を抑えるため、安全性の観点で優位性があると考えています。
様々なバイオベンチャーがこの巨大市場に対して日夜開発を進めていますが、同社の創薬プラットフォームの存在により、効率的にパイプラインを積み上げ、人的リソースやパートナー企業次第で先行優位にビジネスを進捗させる点にも期待しています。
GBでは既存投資先であるバイオベンチャー、Siolta Therapeutics社を通じて、アレルギー疾患に対するアンメットニーズに着目して新規投資先を探索していました。実は同社はSiolta Therapeutics社にてシンジケートを組んでいるKhosla Venturesの出資先でもあり、同領域において全く新しいアプローチで創薬する会社であることから運命的な繋がりを感じていました。
初回のミーティングでは同社は資金調達を終えたばかりで、あくまで協業目線でのコミュニケーションを重ねた結果だったのですが、GBのもつ日本のネットワークと、日本におけるアレルギー市場の可能性に深く共感していただき、戦略的出資という形で追加の出資参加に至っています。
CEOのJessica氏は経験豊富な起業家でありながら医師であり、当社の提供できる臨床価値に熱意や使命感をもちながら経営している印象です。さらに日本におけるアレルギー患者に対してシンパシーも感じていただいています。
アレルギーは国によって種類や重症度が違うこともわかっており、それぞれの地域に沿った創薬やシーズ探索ができる可能性も秘めています。例えば、スギ花粉は日本の主要なアレルゲン(人口の30%程度)