【マインドのDNA】自分たちは「止まらないサメ」/クレイ・テクノロジーズ中田 智文氏
LLMを活用した消費者リサーチツール「Qlay」を提供。

執筆: Universe編集部
「マインドのDNA」では、いま注目のスタートアップ起業家をピックアップし、現在の価値観やマインドをさまざまな角度から深掘りしていきます。
今回登場いただいたのは、LLMを活用した消費者リサーチツール「Qlay」を提供するクレイ・テクノロジーズ株式会社 代表取締役 CEOの中田 智文氏です。
中田 智文
ハーバード大学 統計学部を卒業後、マッキンゼーの東京及びロサンゼルス支社にて経営コンサルタントとして、主に消費財企業のマーケティング戦略に従事。市場データ、消費者インサイト、ブランドの競合優位性を、戦略や実践的な施策に落とし込む事を専門とする。
──なぜ起業という選択を?
経済活動の本質に関わりたかったからです。投資銀行のインターン業務や前職の戦略コンサルティングは楽しかったのですが、「世に必要なものを作って、それを売って、お金を稼ぐ」という根本的な業務にもっと密接に関わりたい、と考えました。
マッキンゼーでは、主にFortune 500の消費財企業様向けにマーケティング戦略の立案・施策実行の支援をしていました。一例を挙げると、アメリカの世界的消費財企業の本社CMO直下で、中長期的なグローバル戦略を立案するプロジェクトがあります。主要市場で市場動向の分析や消費者調査、現地の消費者インタビューを行い、定量的・定性的示唆に支えられた戦略の提案をしていました。
そういったプロジェクトの中で、現場の課題を目の当たりにし、巨大市場の中にもまだまだ改革の余地があると確信して現在の分野での創業を決意しました。
──失敗・挫折にはどう向き合っている?
模擬国連やラグビーのような学生活動から、前職での失敗も色々ありますが、基本的には以下のように行動します。
(1)ひたすら落ち込む
(2)でも生きているだけで良いじゃないか、と極論を自分に言い聞かせる
(3)落ち着いたら得られた学び・改善点と今後のアクションを言語化する
──最もゆずれないものは?
2つあります。
Authenticity:やっていることが純粋に取り組みたいと思えることか、まず自分自身を説得できているか、という点です。これができていないと他人を説得できないですし、仮にできたとしても最後まで全力で走り切れず、結局みんなの時間の無駄になると考えています。
Impact:やっていることが本当に世界を良くするものか、数人の人生が180度変わるのか、多くの人生が良くなるのか、など。世に与えられるインパクトが定義・推定できることです。自己満足的な活動や世界にインパクトがないと感じるものは、あくまで趣味としてやりたいです。
──チームをひとことで表すと?
止まらないサメです。僕も共同創業者も他のメンバーも、よくある「最小限の努力で、最大限の結果を出す」的な考え方ではなく、「とりあえずやる」を活動の指針としています。なぜかというと、最初から仮説をしっかりと練るよりも、とりあえず行動し、判断材料を集めてから考えた方が結果的に速いと考えているからです。
──心身ともに疲れたときのリフレッシュ方法は?
独り言をぶつぶつ言いながら1〜2時間くらい散歩することです。脳も活性化しますし、自分の悩みや考えを言語化して自分に聞かせることで、客観的な評価ができ、「今やるべきこと」と「後で考えればいいこと」の整理ができます。
──自分を突き動かすエネルギーは?
自分の作ったもので世の中が少し住みやすい場所になることです。
──CEOに必要な資質とは?
私もまだまだではありますが、シード段階では想像力と言語力だと思います。
顧客と話す際、相手の悩みや考え方を想像し、潜在的に何を必要としているのかの仮説を早く立てることで、プロダクト・サービスの開発をより速く、確度高く進められると考えます。
また、自分のビジョンを言語化して他人を説得する能力も、何か大きなことを成し遂げるためには必要不可欠だと考えます。
──最後に今の夢を教えてください
事業を早めに成功させることです。成功を目指すのは大前提ではありますが、スモールビジネスではなくスタートアップとして事業を進める以上、爆発的なスケーラビリティを比較的短期で実現させることが目標であるべきと考えています。
クレイ・テクノロジーズ株式会社

消費財メーカーの商品開発やマーケティング担当者向けに、LLMを活用した消費者リサーチツール「Qlay」を提供。Qlayはオンライン上の口コミやSNSの投稿から消費者インサイトを抽出し、それらの分析結果を可視化。膨大な数の口コミやSNSのデータの読み解きをワンクリックで実施でき、消費者リサーチを迅速に行うことができる。