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GB Tech Trend #038: アドオン生産性ツール「Macro」と「Superhuman」に見るユーザー戦略

ここ2、3年に渡り、大手プラットフォームの体験を最適化して提供するサービス形態に注目が集まりました。

430万ドルを昨年調達している「Macro」。Image Credit: Macro。
430万ドルを昨年調達している「Macro」。Image Credit: Macro。

執筆: Universe編集部

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

ここ2、3年に渡り、生産性文脈で多くのツールが登場し、中でも大手プラットフォームの体験を最適化して提供するサービス形態に注目が集まりました。

その最右翼が「Superhuman」です。

Gmailと連携して、あらゆるタスクを数秒で終わらせられる高速メールツールで、基本的にはGmailのデータをそのまま活用しており、インターフェースだけを自社サービスとして調整・提供しています。

特徴は「プロコンシューマ」という、極めて特定のターゲット層を狙い撃ちした点です。

プロシューマーとは市場にオープンにされているツールを誰よりも長く使い込み、ものすごい早いスピードで仕事をこなせる「プロの仕事人」で、Superhumanは毎日Gmailを3時間以上使っているようなトップ層を狙っています。

同じトレンドがZoomにも起きています。

2020年7月に430万ドルの調達を発表した「Macro」はZoom SDKを採用したネイティブアプリ(デスクトップ)を展開しているスタートアップです。Zoomの使い勝手を向上させ、簡単な分析要素も追加させています。

ここには2つのモード「ディスカッション」「コラボレーション」が用意されています。ディスカッション・モードでは会議中に合計でどれだけの参加者が発言したのかを表示したのかを示すエアタイム機能や、参加者が通話中の質問、テイクアウェイ、アクションアイテム、インサイトを入力するテキスト入力欄が用意されています。

記録データはGoogle Docに転送して出席者に後日シェアができ、コラボレーション・モードではスクリーン上にZoom参加者の映像が円形状に表示されます。共同作業をする際に便利なように、スクリーンシェアをしながら話し合えるモードもあり、8月25日に発表したユーザーの自己表現に重きを置いた機能リニューアルのリリースも、コラボレーションを強化する文脈のものになっていました。

Macroを使いこなすのは、一定時間・頻度以上Zoomを利用するユーザー層だと考えられます。Superhumanがそうだったように、ターゲットを特定サービス(Zoom)を高頻度に利用する層に絞るサービス開発を行っていることから、学習コストの発生を嫌がる一般ユーザーは対象外です。

本当に価値を感じてくれるビジネスインフルエンサーに特化することでサービスの高級感も演出できるのはこの層に注力するメリットのひとつかもしれません。

ビジネス用映像コミュニケーションツールは、決してZoomだけの専売特許ではなく、Add-onサービスや、代替サービスなどが多種多様に登場しています。市場が大きいからこそ、レッドオーシャンでも長く生きてはいけますし、成長余地は常にあります。これからもMacroのようなツールは多く登場するのではないでしょうか。

今週(8月30日〜9月5日)の主要ニュース

3Dプリント・スタートアップ「AON3D」。Image Credit: AON3D。
3Dプリント・スタートアップ「AON3D」。Image Credit: AON3D。

3Dプリント・スタートアップ「AON3D」1150万ドル調達

モントリオールを拠点とし、熱可塑性プラスチック用の工業用3Dプリンターを製造している「AON3D」は、シリーズAラウンドとして1150万ドルを調達した。本ラウンドは、SineWave Venturesがリードし、AlleyCorp、Y Combinator Continuity、BDC、EDC、Panache Ventures、MANA Ventures、および多数の個人投資家が参加した。— 参考記事

医療データに関するラベリングサービス「Centaur Labs」が1500万ドル調達

医療データラベリング企業「Centaur Labs」は、Matrix Partnersがリードし、Accel、Global Founders Capital、Susa Ventures、Y Combinatorが参加した、シリーズAラウンドとして1500万ドルを調達した。— 参考記事

保険スタートアップ「Kalepa」が1,400万ドル調達

保険引受プラットフォーム「Kalepa」は、Inspired Capitalがリードする1400万ドルのシリーズAラウンド調達を行った。前回の投資家であるIA Venturesのほか、業界で活躍するGokul Rajaram氏、Jackie Reses氏、Henry Ward氏など、多数の著名な個人投資家が参加している。— 参考記事

AI機械学習スタートアップ「xplosion」が600万ドル調達

オープンソースの機械学習ライブラリと商用開発ツールを組み合わせたサービスを、ドイツ・ベルリンを拠点としながら開発する「xplosion」は600万ドルのシリーズAラウンド調達を発表した。本ラウンドは、SignalFireがリードしたもの。この取引には、同額の追加投資として1,200万ドルのワラントが含まれているという。— 参考記事

美容室予約サービス「theCut」が450万ドル調達

理髪店予約プラットフォーム「theCut」は、シードラウンドとして450万ドルを調達した。Nextgen Venture Partnersがこのラウンドをリードし、Elevate Ventures、Singh Capital、Leadout Capitalが参加した。— 参考記事

SEOツールを開発する「Botify」が5,500万ドル調達

検索エンジン最適化ツールを開発する「Botify」が、InfraVia GrowthをリードにシリーズCラウンドとして5,500万ドルを調達した。本ラウンドには、BpifranceのLarge Venture Fundのほか、EurazeoやVentechが参加している。— 参考記事

オンライン教育プラットフォーム「Class 101」が2,580万ドル調達

ソウルを拠点とし、イラストレーション、デジタル・ドローイング、音楽制作、クラフトなど、さまざまな分野に特化したオンライン教育プラットフォームを提供している「Class 101」は、シリーズBラウンドとして2,580万ドルを調達した。Goodwater Capitalがこのラウンドをリードし、Strong Ventures、KT Investment、Mirae Asset Capital、Klim Venturesが加わった。— 参考記事

金融カード・スタートアップ「Point」が4,650万ドル調達

高いリワード付デビットカードを提供する「Point」は、以前からの支援者であるValar Venturesがリードとなり、シリーズBで4,650万ドルの資金を調達した。本ラウンドには、Breyer Capital、YC Continuity、Human Capitalなどが参加している。Pointはこれで累計6,000万ドルを調達したことになる。— 参考記事