GB Tech Trend #033: 「Oyo」の過去と未来 — 世界最大級のホテルチェーンはどこへ向かうのか
格安ホテルチェーン「Oyo」の新規調達ラウンドにMicrosoftの名前が上がっています。

執筆: Universe編集部
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今週の注目テックトレンド
格安ホテルチェーン「Oyo」
TechCrunchによれば、ラウンドが成立すれば90億ドルの企業価値になるとされています。Oyoはつい先日、6.6億ドルの融資を受けたばかりで、パンデミックを生き残るための資金確保に必死であることが伺えます。
さて、ホテル業に関わりの持たないMicrosoftがリードとしてラウンド出資をすることに疑問を持たれる方は少なくないでしょう。報道では同社クラウドプラットフォーム「Azure」
政争が長く続くであろう中国に代わり、インドはその急成長市場の受け皿としては最適です。米国企業の参入も相次ぐインド市場で、GoogleやAmazonの巨大クラウドサービスとの競争になんとしてでも勝ち抜けたい戦略があると考えられます。コロナ禍で旅行需要が一時的に急落している今の内に出資をしておき、ホテル業界の主要基幹サービスとしてMicrosoftが挙げられるポジションを狙う姿が浮かんできます。
一方、客足の戻らないOyoは今後どうなっていくのでしょうか。
元々Oyoは、売り上げの低いホテルをオーナーから委託される形で事業を開始したと言われています。創業者のRitesh Aggrawal氏がオーナーに掛け合い、「ホテルの部屋を改造して綺麗にさせて欲しい。もし損失が出たら自分がかぶる。利益が出たら折半で」
その中でも顧客の中心層となっていたのがインドのカップルです。宗教上の理由からホテルに通うといった習慣も市場もないインドにおいて、日本のラブホテルに代わる存在がOyoであったと言います。インドでは比較的珍しい(特に地方では)
しかし彼らインドに住む若者のニーズ規模は馬鹿になりません。カップルの利用シーンから旅行へと繋がり、今ではあらゆるユースケースを抑えるまでの一大チェーン企業へと成長を果たしました。
海外の観光客がめっきり減った世界情勢の中、Oyoの獲得顧客戦略は、今一度こうしたローカルな国にいる、旅行とは違った根強いニーズを持つ若い男女層に立ち戻るかもしれません。中国市場でのサービス立ち上げに苦戦しているニュース等も報じられていたことから、本国インドでの再起に期待がかかります。
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