持続可能な社会を作るスタートアップたち(1)必要性の高まるESGへの取り組みとその背景
スタートアップにとっても持続可能性への取り組みは無視できないものになってきています。

執筆: Universe編集部
先行きの見えないスタートアップにとって「持続可能な社会」
例えばビル・ゲイツ氏の著書「How to Avoid a Climate Disaster(邦訳:『地球の未来のため僕が決断したこと・気候大災害は防げる』
ただ、今このプライオリティは変わりつつあります。スタートアップにとっても実務として必要になりつつある持続可能性への取り組みについて、いくつかの回に分け事例をまとめていきます。
社会的な要請と情報開示
IPOを目指すスタートアップにとってESGなどの言葉を無視できなくなった要因のひとつに、2021年6月に実施されたコーポレートガバナンス・コードの改訂があるのではないでしょうか。東京証券取引所が金融庁と協力して進めるこのガイドラインは、ある意味、企業が社会の公器として認められるかどうかの「基準」
ポイントは情報開示です。
例えば持続可能な社会づくりのひとつとして全世界的な取り組みになっている気候変動への対応については、G20の要請から金融安定理事会(FSB)
2021年の東証のガバナンス・コード改訂を機に、TCFDなどをベースにした情報開示が進み、それが徐々に株式公開の準備を進めるスタートアップにも影響を及ぼし始めようとしている、というのが今の状況かもしれません。といってもなかなか全体像が掴みづらいのも事実ですので、分かりやすいアウトプットとして今年8月に開示されたメルカリの「2022年度版 サステナビリティレポート」
テクノロジー成長企業が果たすべきイシューと整理
メルカリの2022年6月期の通期決算と同時に公表されたのが「2022年度版 サステナビリティレポート(PDF)
メルカリはビジョンの提示が非常に上手な企業ですが、この持続可能な社会作りについてもその力は余すことなく発揮されています。プラネット・ポジティブを目指すメルカリというシンプルな目的を共有した上で、持続可能な社会づくりに必要な論点を5つのマテリアリティとして整理しています。
- 循環型社会の実現/気候変動への対応
- ダイバーシティ&インクルージョンの体現
- 地域活性化
- 安心・安全・公正な取引環境の実現
- コーポレートガバナンス/コンプライアンス
持続可能な社会づくりを語る上で幅広く認知されている取り組みがESG(環境・社会・ガバナンス)
国連の提言するSDGs(持続可能な開発目標)
ビジョンと具体的なアジェンダの提示に加えてもうひとつ特筆すべき点は、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みに見られる「定性的な評価」
そもそも「人の違い」
初回ではスタートアップがESGに対して取り組むべき理由と背景、メルカリのサステナビリティレポートからその整理の方法について触れてみました。次回からは、各社がどのように社会的な要請に対して活動をしているのか、その具体的な取り組みについてケースをみていきます。