【2026年版】スタートアップ向け国の補助金11選&知っておきたい規制改革制度

2026年度の国の補助金のうち、特にスタートアップからのニーズが高い11件を紹介します。スタートアップが事業者単位で活用できる規制改革制度についてもまとめました。

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【Summary】

  • スタートアップ向け補助金は、自社はもちろん、顧客が活用できるものも

  • 「法規制の壁」を突破するためには、国の規制改革制度を活用する

  • 規制改革の際は、経済産業省など「事業所管省庁」との連携強化が鍵

※本記事は、国内最大級の独立系VCグローバル・ブレイン(GB)にて、投資先企業のGovernment Relations(GR:公共政策)支援を担当している河原木とVenture Partnerの古谷さんによる共同執筆です。

2022年に「スタートアップ育成5か年計画」が策定されて以降、スタートアップへの国の支援は大幅に拡充されました。現在では高市政権下において、宇宙、AI、半導体、量子、防衛といった戦略分野に対する支援が集中的に議論されており、こうした領域のスタートアップにも強い追い風が吹いています。

一方で、企業が活用できる国の補助金は100件以上にものぼり、「数が多くて全体像が分からない」という声も多く耳にします。

そこで今回は、2026年度に活用可能な補助金のうち特にスタートアップからのニーズが高い11件を紹介します。また、スタートアップが事業を行う際に立ちはだかる「法規制の壁」を突破するための規制改革制度についてもまとめました。

2026年度に活用できる主な補助金

補助金は大きく分けて以下の2つに分けられます。

  • 自社が活用するもの

  • 顧客が活用して導入コストを下げるもの

そこからさらに、以下のように分類が可能です。

自社が活用する場合

  • 研究開発向け

  • プロダクト開発・設備投資向け

  • グローバル展開向け

顧客が活用する場合

  • SMB(中堅・中小企業)の顧客向け

  • エンタープライズ(大企業)の顧客向け

本記事でもこの分類に沿ってご紹介します。

【自社が活用×研究開発】

1. ディープテック・スタートアップ支援事業[DTSU]

Deep Tech領域のスタートアップが行う研究開発や量産化実証に対して、VCからの出資額の2倍までをNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が補助する制度です。

スタートアップのステージに応じて3億円から25億円という大規模な補助が受けられ、公募のタイミングは年4回あるのでチャンスが多いのも特徴です。ただし、締切の6カ月前以降にVCなどから出資を受ける必要があり、詳細な研究計画・事業計画や費用積算の作成など事前準備に大きなコストを要します。倍率も3〜7倍と、競争率が高い点にも注意が必要です。

この補助金の兄弟のような制度として、GX分野に特化した「GX分野のディープテック・スタートアップ支援事業もあります。こちらは太陽光や水素、CO2排出抑制などの脱炭素領域のスタートアップに限定されますが、公募要件にVCなどからの出資が含まれていないため、該当する企業には非常に有力な選択肢です。

2. Go-Tech事業

中小企業が大学や公設試験研究機関などと共同で研究開発を行う際に活用できる、経済産業省の補助金です。上限額は3年間で9,750万円とDTSUと比べると低いですが、倍率は2倍程度と比較的高くありません。

2026年には大型研究開発枠が新設され、直近3年間で研究開発費を計上し、うち1年が1億円以上である場合には補助額の上限が「3年間で3億円」に引き上げられました。

3. 安全保障技術研究推進制度(防衛省ファンディング)

防衛装備庁による、先進的な基礎フェーズのR&Dを支援する枠組みです。

AIやモビリティ、宇宙、材料など幅広い分野が対象となり、上限額は20億円(5年間)、1.6億円(3年間)、0.4億円(3年間)と複数のタイプが設定されています。防衛用途での成果活用といった制約はありません。すでにスタートアップが本制度を活用した事例も出てきているようです。

4. 個別領域の支援(AI、創薬、医療機器など)

個別のスタートアップ領域を対象にした支援もご紹介します。

AI領域では、NEDOの「GENIACというAI基盤モデル開発への補助制度のメニューが今年大きく拡充されました。従来の生成AIモデル開発に加え、新たに自動運転車やドローン、ヒューマノイドなどの「ロボット基盤モデル(フィジカルAI)の開発や、データ整備などに対しても支援が拡大しており、多くのスタートアップが活用しています。

創薬分野では、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)が実施する「創薬ベンチャーエコシステム強化事業があります。最大100億円の補助が出ますが、AMEDが認定したVCから累計10億円以上の出資を受ける必要があるなど、応募にあたって一定のハードルがあります。

医療機器分野でも2025年から始まった「革新的な医療機器創出プロジェクトが引き続き実施されます。これは非臨床・製品開発フェーズを対象としたR&D補助です。

【自社が活用×プロダクト開発・設備投資】

5. ディープテック・スタートアップへの事業開発支援事業[UPP]

DTSUの次のフェーズとして、一定の研究開発を終えたDeep Tech領域のスタートアップが、商用の量産プラントの建設や大規模なソフトウェア投資を行う際に活用できる制度です。補助上限額は30億円から50億円と多額です。

ただし、公募の約3カ月前にNEDOが実施するRFI(情報提供依頼書)を踏まえて、予めテーマを絞って公募が行われることには注意が必要です。このため、応募を考えているスタートアップはRFIへの回答が非常に重要なステップとなります。

6. 中小企業向け4補助金

Deep Tech企業でなくとも、広くプロダクト開発や設備投資に活用できるのが、経済産業省の中小企業向け補助金です。用途や金額感に応じて「成長加速化補助金新事業進出補助金ものづくり補助金省力化補助金(一般型)の4つから選択できます。

エンジニアの業務委託費やソフトウェア購入費も対象になりますが、付加価値額や給与総額の年平均成長率などの目標を策定し、未達の場合は補助金を返還しなければならない点には注意が必要です。

【自社が活用×グローバル展開】

7. グローバルサウス補助金

ASEAN、インド、中東、アフリカといったグローバルサウスの市場を狙うスタートアップ向けに設けられている制度です。

初期のフィジビリティ・スタディ調査には最大1億円、PoCには最大5億円が補助されます。競争率は約2倍とそれほど高くなく、中小企業であれば補助率が2/3となるため、これらの地域へのグローバル展開を検討している企業には強力な後押しとなります。

8. ものづくり補助金(グローバル枠)

海外展開や、国内におけるインバウンド対応のためのプロダクト開発・販促活動に広く活用できる、経済産業省の制度です。名前に「ものづくり」とありますが製造業以外の業種でも活用可能で、クラウドサービス利用料や広告宣伝費などに利用することもできます。

上限は3,000万円ですが、展開する国の縛りがないため、グローバルサウス以外の地域を狙うスタートアップも活用できます。

【顧客が活用×SMB顧客向け】

補助金の中には、自社ではなく、自社プロダクトを導入する顧客側が活用できるものもあります。自社プロダクトと補助金活用をセットで提案することで、顧客の導入コストを下げることが可能です。なお、顧客向けの補助金は基本的に顧客側が申請を行う必要があります。

9. デジタル化・AI導入補助金

2025年まで「IT導入補助金」と呼ばれていた制度が、今年から「デジタル化・AI導入補助金に名称変更されました。中堅・中小企業がSaaSやAIなどのITツールを導入する際に、最大450万円が補助されます。

スタートアップにとっては、自社が提供するソフトウェアを顧客に導入してもらう際にこの制度を案内することで、実質的な導入コストを下げ、営業の武器にすることができます。ただし、事前に国へITベンダーとしての登録が必要です。

10. 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

前述の「デジタル化・AI導入補助金」のハードウェア版といえる制度です。顧客企業が人手不足解消のために、清掃ロボット、配膳ロボット、自動精算機、無人搬送車などのプロダクトを導入する際に、最大1,000万円が補助されます。こちらも、自社製品を事前に国のカタログに登録するための審査を業界団体経由で受ける必要があります。

【顧客が活用×エンタープライズ顧客向け】

11. 大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業

大企業がDeep Techスタートアップのプロダクトを本格的に調達・購買するための共同開発や製品検証に対してNEDOが補助を行います。

エンタープライズ企業を顧客に持つスタートアップにとっては、大企業側のリスクを減らし、導入の意思決定を後押しすることが可能です。2026年度は制度が拡充され、調達・購買に向けた最終フェーズとなる実環境での実証や共同開発に対しても支援が行われる予定です。

スタートアップが事業者単位で活用できる「規制改革制度」

スタートアップが新しい技術やビジネスモデルを用いて事業を展開しようとすると、既存の法律や規制の壁にぶつかることが少なくありません。しかし、法律の改正や全国一律の規制緩和を待っていては、ビジネスのスピードに遅れが生じてしまいます。

そこで国は、規制改革を要望できる制度を複数用意しています。本記事ではそのうち、「事業者単位」で活用できる3つの制度をまとめました。

1. グレーゾーン解消制度

新しい事業を始める際に「このサービスが既存の規制に違反しないか」を確認することができる制度です。構想している事業に既存の規制が適用されるか否かを照会し、適用の有無について公式な回答を得ることができます。

たとえば、ヘルスケアや金融、建設といった規制の多い分野で、ITなど新しい技術を活用した新サービスを検討する場合などが挙げられます。「この行為は資格が必要な業務に当たらないか」「このデータの取り扱いは既存のルールに抵触しないか」といった懸念に対し、公的なお墨付きを得ることで円滑な社会実装へと繋げることが可能です。

2. 新事業特例制度

そのまま事業を行うと既存の規制に抵触してしまうものの、事業者が代替となる安全措置を講じることを条件に、特定の事業者に限定して規制の特例措置(緩和)を認める制度です。

過去の事例として、ヤマト運輸株式会社とヤマハ発動機株式会社のケースが挙げられます。両社は電動アシスト付き自転車によるラストワンマイルの配送を行うにあたり、当時の道路交通法施行規則で定められていた「アシスト力は人の踏力の2倍まで」という制限の緩和を提案。それにより、交通安全教育などの代替措置を講じることを条件に、「人の踏力の3倍まで」のアシスト力が特例として認められました。その後、東京や北海道などでの実証実験で安全性が確認された結果、最終的には全国一律でアシスト力の上限が3倍へと規制緩和されるに至りました。

3. 規制のサンドボックス制度(新技術等実証制度)

参加者や期間、場所を限定することで、現行の規制の適用を一時的に受けずに、AIやIoT、モビリティなどの新しいビジネスモデルの実証実験を行える枠組みです。 現在、スタートアップに最も利用されている制度として知られています。

たとえば、日本コカ・コーラ株式会社は、特定のオフィス空間という限定された場所において、食品表示ラベルのないミネラルウォーターのペットボトルを自動販売機で販売する実証実験を行いました。この実証実験を通じて消費者が安全に製品を選択できるかというデータを収集し、その後の規制の見直しへとつなげています。

また、電動キックボードのシェアリングサービスを提供する株式会社Luupも、この制度を活用して大学のキャンパス内という限定空間で実証実験を実施。その後の公道走行の解禁や、最終的な規制緩和へとステップアップしていきました。

グレーゾーン解消制度、新事業特例制度、規制のサンドボックス制度については、経済産業省のWebサイトもご確認ください。

「事業所管省庁」との連携強化が鍵

これらの規制改革制度を活用するうえで最も重要なポイントは、厚生労働省や警察庁といった「規制を所管する省庁」と直接相対するのではなく、経済産業省などの「事業を所管する省庁」と連携を強化することです。

スタートアップが単独で規制官庁と向き合うのは、交渉力や知見の面でハードルが高いです。しかし、経済産業省などの事業所管省庁は、産業を育成する観点からスタートアップの強力なサポーターとなってくれます。事業所管省庁には、実証計画を作成する際の改善提案や、規制官庁との間に立って議論をサポートしたりするなど、さまざまな支援を相談することが可能です。

スタートアップの武器を最大限活用するために

スタートアップが活用できる2026年度の主な補助金情報と、知っておきたい規制改革制度について解説しました。

国の支援制度はスタートアップが成長を実現するための強力な武器となります。しかし、膨大な支援メニューの中から自社に最適なものを見極めることや、省庁と規制改革の折衝を行うことは、スタートアップ単独ではハードルが高いのも事実です。

そうした課題感を抱える投資先企業を支援するのが私たちGRチームです。「規制改革に取り組みたい」「補助金を活用したい」「国や自治体と契約したい」といったニーズを持つGBの投資先企業の方は、ぜひ担当キャピタリストにGR支援についてお問い合わせください。

GBでは今後も「未踏社会の創造」というミッションのもと、スタートアップの事業成長に資するような発信や活動を継続して行ってまいります。

(※記載の内容は記事公開時の情報です)
(編集:GB Brand Communication Team)

コラボレーター

河原木 皓のプロフィール画像

河原木 皓

グローバル・ブレイン株式会社

Director, Researcher

2023年にGBに参画。Government Relations(GR)チームとして、投資先スタートアップの公的支援策の活用や規制改革などをサポート。

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古谷 元

グローバル・ブレイン株式会社

Venture Partner

2021年にGBに参画。経済産業省、内閣府等の官庁や政府系機関等のスタートアップ政策の動向を捕捉しつつ、VCやスタートアップ企業への政策的な投融資や新規事業推進のための規制改革ツール等諸政策の適用を受けるために必要な諸要件を調査し、GBおよびその投資先企業がその具体的活用を検討するに当たってのアドバイスを提供。