GB Tech Trend #001: SalesforceがSlack買収、Discordは70億ドル評価に

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執筆: Universe編集部

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今週のテックトレンドサマリ

音声市場のニュースが盛んに取り上げられています。ライブ音声配信サービス領域では「Clubhouse」を筆頭にすでに市場がレッドオーシャン化しています。このトレンドにTwitterが乗ってきました。

Twitterは「ソーシャル・ネットワーク」ではなく、興味を軸にした「インタレスト・ネットワーク」と称されているほど、ユーザー個人の趣味趣向がフォロー関係に如実に反映されます。音声配信をする際、マッチする話題があれば話が尽きない特性があり、Twitterは音声との相性が非常に高いでしょう。もし正式ローンチされれば、音声スタートアップへの影響は必至です。

また、パッションエコノミー文脈でのサービス登場も目立ちました。個人向けZoomとも言える「Superpeer」や、先日大型調達を果たした「Playbook」と競合するフィットネスアプリ「Sault」は、いずれもプロフェッショナルスキルを持つ人が稼ぐことができる場を提供しています。こうした流れは特定分野別に発生し、ノウハウや知識のある人がQ&Aを受け付けつけ、収益を挙げられるサービスが数多登場することも考えられます。

今週(11月25日〜12月2日)の主要ニュース

音声コミュニケーションプラットフォーム「Discord」が70億ドルの企業価値のラウンドをクロージング中と報道。35億ドルの企業価値、1億ドルの調達を集めたラウンドから、あまり日が経っていない中での新ラウンドとなる。今年度の月間アクティブユーザー数は1.2億を達成。元々ゲーマー向けの音声ツールとして始まったが、今後はカテゴリーを広げ、日常的に誰もに使われるコミュニケーションプラットフォームとしての座を狙う。— 参考記事

Twitterがライブ音声配信機能をテスト中であると報じられる。機能名は「Audio Spaces」。仮にローンチされれば、Andreessen Horowitzらから1億ドルの企業価値で調達をしたステルス音声配信サービス「Clubhouse」に競合する形となる。ライブ音声配信を通じてフォロワー同士がおしゃべりできる環境が実装される。— 参考記事

Salesforceがチームコラボレーションサービス「Slack」を277億ドルで買収すると報じられた。(注:その後に正式発表された)今後、同サービスは「Salesforce Customer 360」と連携されるという。今回の買収額は、最近のSlackの市場価値の最高額よりもさらに10%高い額であったとのこと。Microsoftが2016年に立ち上げた「Teams」と長く競合状態にあったが、Salesforce傘下になり市場シェアをどこまで伸ばせるのかに注目が集まる。— 参考記事

専門家向けオンライン映像プラットフォーム「Superpeer」が800万ドルの資金調達を行った。同社は特定分野のプロが1:1で直接映像電話を通じて話すことができ、収益化機能まで備えたサービス。出資者はAcrew Capital、Audacious Ventures、Homebrew、Moxxxie Venturesのほか、Brianne Kimmel、Scott Belsky、OnDeckが含まれる。総資金調達額は1,000万ドルを達成。— 参考記事

農家向けフィンテック企業「TerraMagna」が200万ドルの資金調達を達成。同社はブラジルの農家向けに運転資金の融資・資金調達サービスを提供する。従来、現地の金融機関は短期融資、かつ柔軟性の低い形でしか貸し出していなかった。そこで衛星画像の分析や、その他情報ソースを総合的に判断した上で、12カ月までのローン貸付を農家に対して行う。ONEVCがリード投資を務め、MAYA Capital、Accion Venture Labらがラウンドに加わった。— 参考記事

インドを拠点とするオンライン教育プラットフォーム「Unacademy」が7,500万ドルから1億ドル規模の調達を目指していると報道された。企業価値は20億ドルに及ぶ見込みだ。現在、4.7万人の教育者が5,000以上の都市、14のローカル言語でコンテンツを提供。毎月15万のライブ配信クラスが実施されているという。今回のラウンドにはTiger Global ManagementとDragoneer Investment Groupが参加する見通し。— 参考記事

米国チャレンジャーバンク「Current」がシリーズCラウンドで1億3100万ドルを調達した。同社はティーン世代向けのデビットカードを扱うサービスとして開始。子供の支出を親が管理できるユースケースを確立した。昨年からはチェッキングアカウントの提供も始めた。シリーズBでのアカウント数は50万ドルであったが、現在では200万に及ぶという。Tiger Global Managementがリード出資をしており、Sapphire Ventures、Avenir、Foundation Capital、Wellington Management Company、QED Investorsらが参加した。— 参考記事

工場環境で住宅建築をする「Factory_OS」がシリーズBで5,500万ドルを調達。同社は今日までに1,000棟の住宅を作り上げた。100ユニットほどの集合住宅を10日間で建築することができる。コストは従来比で20-40%減。来年以降、コスト50%減をAutodeskとのパートナーシップを以って実現しようとしている。今回のラウンドにはAutodesk、Citi、Facebook、Google、Morgan Stanley、Lafayette Squareが含まれる。— 参考記事

音声コーディング技術を開発する「Serenade」が210万ドルを調達。コードを打つための手首に怪我を負ったり、不自由を抱える人が音声を通じてプログラミングができるようにするサービスを提供する。Amplify PartnersとNeoがリード出資を務めた。— 参考記事

バーチャルフィットネスアプリ「Salut」が125万ドルを調達。トレーナーがライブ動画配信できるプラットフォームを提供する。フィットネス教室のスケジュール・配信・課金までの機能を持つ。Charles Hudson氏がリード投資を務めた。— 参考記事