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幼児をアレルギーから守れ——「Siolta」に投資する理由

Sioltaに注目する理由、アレルギー疾患に関するグローバルの治療薬市場について紐解きつつ、同社の魅力を伝えてみたいと思います。

執筆: Universe編集部、共同執筆: 守口 毅

昨日、グローバル・ブレインは新たな投資として生きたマイクロバイオーム(腸内細菌叢)を活用してアレルギー疾患の予防薬と治療薬を開発するSioltaへの出資を公表いたしました。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校で当該領域で長年研究を行っていた研究者が2017年に設立したスタートアップで、2020年8月にシリーズBでGB7号とKIRIN HEALTH INNOVATION FUNDから出資しています。

乳幼児を対象としたアレルギー予防と治療をマイクロバイオームを活用し、世界に先駆けて開発中で、現在は主力製品の臨床試験フェーズ1を完了しており、フェーズ2を年内に開始予定しています。

本稿では私たちが彼らに注目する理由、アレルギー疾患に関するグローバルの治療薬市場について紐解きつつ、同社の魅力を伝えてみたいと思います。

4兆円規模のアレルギー疾患市場

いわゆるアレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、鼻炎など)を発症する患者は年々増加しており、世界では10億人以上、日本でも2人に1人は何らかのアレルギー疾患に罹患していると言われる現代病の一つです。

アレルギー疾患は症状の急激な悪化を繰り返したり、入院・通院を余儀なくされるためQOL(Quality of Life)を損なう可能性が高く、根本治療や重症化の予防のニーズが高い疾患でもあります。また乳幼児期に発症が頻発し、30〜35%の小児はアレルギー症状を持つと言われるなど小児の患者が多いのも特徴です。

アレルギー疾患のグローバルの治療薬市場は年々増加傾向で、2025年には4兆円(成長率6%以上)を超えるまでに拡大すると予想されています。

乳幼児をマイクロバイオームで守る

このように課題の大きいアレルギーですが、この発症原因である免疫バランスの崩れを調整できると注目されているのが「マイクロバイオーム」です。

Sioltaではマイクロバイオームの世界的な研究者の長年に渡る研究成果を基に、アレルギー診断方法や発症に関連すると考えられる複数の腸内細菌を見出しており、動物試験やヒト臨床試験でその効果を実証中です。

アレルギーと腸内細菌においてはVEDANTAやEvelo、そしてEvolveなど複数企業が製品開発を進めていますが、特定アレルギーの治療薬や一般消費者向けである点においてSioltaは唯一無二の存在です。特に患者の多い小児を対象としたアレルギーの診断・予防から治療まで幅広く開発する会社は世界的にも珍しく、その社会的意義とインパクトはとても大きいと考えています。

欧米の著名投資機関との共同投資

今回のSioltaへの投資はKhosla Ventures、Seventure Patnersという欧米の有名VCとの協調投資案件(シンジケート)へ参加する形で実施いたしました。同社CEOであるNikole氏は研究データを議論することを好む「研究者タイプ」の経営者です。一流の研究者である一方、経営者としても優れており、ボードメンバーに予防薬開発で経験豊富なギリアド社の元会長を呼び込んだり、治験医師・アドバイザー・投資家など周りを巻き込む力も持っています。

バランス感覚に好感を覚えると同時に、私自身、同じく研究者出身のキャピタリストとして意気投合したことも付け加えておきます。

COVID-19の影響から健康増進や予防意識は今後も拡大していくと予想しています。特に病気の一歩手前の状態(未病状態)で如何にして発症を抑えるかは、健康寿命を延ばす上での重要な観点です。

予防薬の開発は開発期間が長くなったり、評価が難しかったりと治療薬よりも難しいことが多いですが、国民病であるアレルギー領域での予防薬開発のポテンシャルは計り知れません。

またマイクロバイオームによる治療薬もまだ世の中に出ていないモダリティであり、パイオニアとしてその市場を切り開いて欲しいと考えています。