スタートアップの知財戦略: コネクテッドロボティクスの場合
知財戦略について支援を実施した具体的な事例をご紹介します。
執筆: Universe編集部、共同執筆:GB知財支援チーム
GBではスタートアップの価値を高めるべく様々なバリューアップ支援を実施しています。本稿では知財戦略について支援を実施した具体的な事例をご紹介したいと思います。
今回支援を手がけたスタートアップはコネクテッドロボティクスです。同社は「調理をロボットで革新する」というテーマで日本の飲食業の人材不足を解決し、外食産業が抱える慢性的な人出不足や重労働、非接触対応などの社会課題に取り組んでいるスタートアップです。
魅力ある日本の「食」をますます世界中に広めるためにロボット制御システムとAIを用いた飲食店向け調理システムの開発を手がけており、これまでたこ焼きロボット、ソフトクリームロボット、そばロボットなどを実店舗へ納品し、実績を着実に積み重ねてきました。またNEDOの助成金を受けて複数の大学や産業技術総合研究所とも共同研究をしています。JR東日本と進めているそばロボットは、TVなどでも多数取り上げられ注目をされており、最近ではテイクアウト専門のハンバーガーショップ「BEX BURGER(ベックスバーガー)」を運営するsubLime社との共同開発も発表しています。
知財戦略のサポート概要
コネクテッドロボティクスの知財に対する取り組みはシリーズAの資金調達(2019年、8.5億円)前のシード期、2018年頃に遡ります。
飲食業界はレガシー産業で、AIやロボティクスのような最先端のテクノロジーを駆使したものがなく、このような業界に一石を投じたいというのが同社の創業にかける思いでした。技術的にもこの業界はブルーオーシャンに近く、そのため先駆者として知財面にもチャンスがあると感じたのが知財にいち早く取り組んだ理由です。当初はたこ焼きロボットやソフトクリームロボットに関する知財を出願しました。
GBとしての支援開始は2020年末頃からです。CEOである沢登哲也さんは知財対応について「それまで特許事務所や法律事務所を頼って活動はしていたもののもあくまでクライアントと依頼先という関係値で活動している感覚で、どうしても社内に専門的な知識がないために生じてしまうギャップがそのままになってしまっていることがあった」そうです。
そこでまずは沢登さん、COOの佐藤泰樹さんと定例ミーティングを重ね、最新の事業状況を踏まえながら押さえるべき知財を抽出することから開始しました。その後、抽出された知財(発明や商標)に関して、外部弁理士との出願に向けたミーティング、出てきたアウトプットのレビュー、特許庁からの拒絶理由対応をGB側で支援しています。可能な限り質の高い知財を取得したいという方針のもと、多少時間はかかりますが沢登さんや佐藤さんが主導して、知財の取得に動かれています。知財は同社にとって何よりも宝だと強調していました。
現在コネクテッドロボティクスには知財の専門チームや担当が不在となっています。そういった中でもGB知財チームが支えることにより、出願から権利化までをスムーズに進めるとともに、より質の高い権利が取得できるような活動ができています。パートナー企業との契約に関しては、GB提携パートナーのiCraft法律事務所内田誠弁護士が全面的にバックアップし、交渉スキームから契約書の策定までをサポートしております。結果、対応中のものを含め15件以上の特許・意匠・商標出願を実施し、5社以上のパートナー企業との交渉や契約書策定を支援しています。
沢登さんからも「特許や契約周りの戦略など支援の奥深さがあり、時間やリソースをここまで割いてくれた。社内にいるようなパートナーとして一緒に活動できていて、わからないところのギャップをちゃんと埋めながら活動ができている」と評価いただきました。
佐藤さんからも「通常、知財などの法務関連に関わる事は、事務所側から「御社の方針次第ですよ」とコメントを頂き、メリット・デメリットが整理されていない事も多くあります。廣田さんや内田先生はズバっと、会社の戦略としてはAを選択したほうが良いですとアドバイスをくださいます。状況を整理し的確なアドバイスをくださっていると常々感じております。今後採用予定の担当者は、ご自身で状況を整理し、自分の考えをもって会社にメリットのある決断が出来る方に知財責任者をお任せしたいと考えています。」とコメントをいただきました。
スタートアップ知財担当者の醍醐味
知財戦略は権利を保護する「守り」であると同時に、新たなビジネスチャンスを得るための「攻め」でもあります。複数のプロジェクトが具体的に進行していく中で必要な知財を取得するため、契約、交渉と出願の両輪をより円滑に回しながら、これまで以上に戦略的に質の高い出願を行っていく必要があります。さらに、過去の出願を現在の事業・製品に対応する形でしっかりと権利として刈り取っていきたいとも考えています。
そしてこの推進には自社内に知財体制を構築していく必要があり、現在、同社では知財責任者を募集中です。
スタートアップで知財を担当することの醍醐味はやはり、ゼロベースで自社に必要な知財組織を立ち上げる経験が得られることではないでしょうか。また、経営陣との距離感も近く、CEO・COOなどと直接議論しながら、エンジニアや営業メンバーとともに出願や契約関係の業務を推進することになるため、経営陣や事業に密接した知財活動が可能です。
コネクテッドロボティクスにて知財体制をゼロから構築し、調理ロボットによる飲食業界の変革を支える知財活動を推進していきたい方はぜひご応募してみてください。
【応募はこちらから】
https://herp.careers/v1/crinc/Gj9CmCVEImcF