Web3時代の「詐欺師」を見抜くKarma3の評価方法【GB Tech Trend #110】
分散型評価プロトコル「OpenRank」はチェーン上のデータを収集し、指定した評価軸によって各ユーザーのレピューテーションスコアを弾き出します。

執筆: Universe編集部
今週の注目テックトレンド
GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
Web3領域でバックグラウンドチェックを確立させようとしている「Karma3」が450万ドルの調達を発表しました。一時期、NFTの大ブームに乗って多くのキャンペーンが展開されましたが、詐欺被害にあってウォレットから多額の資産を抜き取られてしまったケースも少なくありません。匿名経済のなかでは、どのアカウントが信頼できるのか見分けるのは困難です。
Karma3はこの問題を解決するべく、分散型評価プロトコル「OpenRank」を提供しています。OpenRankはチェーン上のデータを収集し、指定した評価軸によって各ユーザーのレピューテーションスコアを弾き出します。開発者はOpenRankを活用することができ、自社のアプリやコミュニティ上のユーザー活動と紐づけて、独自のスコアリングをすることもできます。
Karma3が目をつけたバックグラウンドチェックのニーズは以前から高くあります。過去10年の動きを見ると、中央集権型のプラットフォーム事業者がその需要を引き上げてきたことがわかります。たとえばUber、Airbnb、Instacartなどの個人間(P2P)取引の仲介プレイヤーが登場し、ユーザーの犯罪歴や職歴を確認する必要性が高まりました。
そこに「Checkr」などのようなバックグラウンド情報をAPI提供するスタートアップが登場しました。CheckrはPeople Infrastructure(人々のインフラ)というキャッチコピーで、フリーランスやギグワーカーの膨大なデータを扱っています。
また、企業のバッググラウンドチェック需要も好調です。とりわけフィンテック・SaaS領域で、サービス提供先が信頼できる企業なのかを見分ける必要性が高まっており、企業活動や登録情報からスコアリングする「Middesk」のようなB2B向けのバッググラウンドサービスも台頭しています。
Web2で起こった高いバッググラウンドチェック需要は、Web3でも起こり得る可能性は十分にあります。しかし、プラットフォーム指向を持たない、かつ匿名性を主体とするWeb3領域では、これまでとは全く別のアプローチでユーザーの評価・信頼情報を獲得する必要があります。この市場チャンスに乗り込んできたのがKarma3というわけです。
奇しくも暗号通貨の相場が急速に上がっている昨今、改めてWeb3業界全体にスポットライトが集まり始めています。同時に、より透明性が高く、安心して利用できるサービス登場にも期待が集まっており、本当の意味でのWeb3の社会実装が心待ちにされています。バックグラウンドチェックの新業態として、Karma3がどの程度成長できるのか注目です。
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