スタートアップの「知財部門」となる、グローバル・ブレインの知財支援チーム
リソースが少なく、優先すべきプロダクトやグロース課題が迫りくる中、どの時点で知財戦略を取り入れるべきでしょうか。
執筆: Universe編集部 共同執筆: 西野 光慧、廣田 翔平
知財戦略で悩むテック・スタートアップ経営者の方は多いのではないでしょうか。大手企業との提携や競合との戦いにおいて、知的財産権が重要であることは当然として、難しいのは知財戦略の優先順位をどうすべきか、という点です。リソースが少なく、優先すべきプロダクトやグロース課題が迫りくる中、どの時点で知財戦略を取り入れるべきでしょうか。
この点についてグローバル・ブレイン(以下、GB)では社内メンバーに加え、外部提携パートナーとしてiCraft法律事務所の協力を仰ぎ、次のような知財支援体制を構築しています。
西野 光慧
Corporate Management Group: 弁護士
都内法律事務所の勤務弁護士、国内ゲーム会社の法務マネージャーを経てGBに参画。ゲーム会社では、ゲーム分野、エンターテイメント分野、VR分野の法務のほか企業法務全般に従事。
廣田 翔平
Investment Group: 弁理士、AIPE認定知財アナリスト(特許)
大手電機メーカー知財部門を経てGBに参画。大手電機メーカーでは、半導体、AI分野、衛星測位分野等の知財戦略立案、発明発掘、国内外での特許権利化に加えて、米国での特許係争等に従事。
<外部提携パートナー>
内田 誠
iCraft法律事務所代表: 弁護士・弁理士
経産省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」委員、IPAS知財メンター等。スタートアップの知財戦略構築、知的財産権紛争、システム開発紛争、個人情報保護法、データ取引、AI関連法務が専門。理系のバックボーンを活かし、技術・システムを把握し、適法なビジネスモデルを構築のうえ、知的財産権でそのビジネスモデルを守る方策の立案を得意とする。
スタートアップ知財戦略における課題と解決方法
知財については誤った活動をすると、競合企業による模倣、第三者の権利侵害といった事業上大きな問題が発生することもあります。そして、このような問題が発生してしまってからではリカバリーすることは困難で、シェアの低下や事業の停止等、事業への影響は避けられないことになります。一方、知財部門や知財専任者がいないことが多いスタートアップでは自ら知財活動を行っていくための人的リソースや専門的な知識が不足していることが多く、知財に関する潜在的な課題を抱えていることが少なくありません。
実際に支援を通じて協働したスタートアップの方々からはこのような課題感やご相談をいただいていました。
- 何を出願すべきか何が特許になるのかわからない
- 自社の事業分野に適した弁理士が見つからない
- 特許出願書類が適切な内容か自分達だけではわからない
- 競合企業が特許取得のニュースリリースをした際、自社に影響はあるのか
- 特許を取得しているが、大手企業などに新規参入された際に対抗できるのか
- 保有特許を活用できないのか
- 製品やサービスをリリースしてしまったが、これから特許出願できるのか
そこでGBでは、スタートアップの事業を円滑に成長させるために、内部の専門家と外部の専門家が連携して、投資先のビジネスモデルや事業戦略を踏まえた知財戦略の立案から、特許出願に必要となる、発明発掘、先行文献調査、特許事務所の紹介、特許出願書類のレビューまでを包括的にサポートできる体制を構築し、スタートアップのニーズに応じた知財支援を推進しております。
具体的には次のようなステップで対応しています。
STEP 0:知財教育・レクチャー・・・知財活動の目的、法制度・手続きなど、知財活動の前提となる知識について、必要に応じてスタートアップの経営陣や担当者の方にご説明いたします
STEP 1:ビジネスモデル・事業戦略ヒアリング・・・支援先スタートアップのビジネスモデル、プロダクト、さらには今後の事業戦略についてヒアリングを実施
STEP 2:知財環境調査・・・対象となるビジネスモデルやプロダクトに関連する他社先行特許・商標・意匠などの知財環境の調査の支援
STEP 3:知財戦略立案・・・ビジネスモデル・事業戦略と知財環境を踏まえて、スタートアップの成長に資する知財戦略の立案を支援いたします。具体的には、外部の弁護士・弁理士と協力し、投資先のビジネスモデルやマネタイズポイントを踏まえ、スタートアップの事業にとって取得すべき発明の発掘や、出願すべき発明と秘匿すべきノウハウの見極めなどのサポート
STEP 4:出願サポート・・・特許、商標など各種権利取得に必要な出願を支援いたします。特に高い専門性が必要となる特許出願に関しては、発明の発掘から、特許事務所選定、特許出願書類のレビューといった特許事務所とのやり取りまでを包括的にサポート
この部門が立ち上がったのは今年の4月からで、約8カ月の活動の中で、知財ミーティングを実施した投資先は12社で、その内、5社については具体的な特許出願を支援しているところです。スタートアップの知財戦略はなかなか手につかない会社が多いですが、上記理由もあり知財チームと共に具体的に動いている会社は増えてきているのです。
繰り返しになりますが、社内に知財部門や知財専任者がいないスタートアップにとって、自社のアイデアや技術を守るための適切な知財活動を行っていくことは非常にハードルが高く、外部の弁理士とは異なる立場で、スタートアップ側の立場から知財に関する適切なアドバイスが必要だと思われる場面に多々遭遇します。
そのため支援先のことをよく理解しているGBの知財チームがあたかも「各社の知財部門」のように寄り添い、知財の側面でも伴走することで、スタートアップの成長をサポートすることができると考えております。