未来を創るスタートアップが集結!GBAF 2023「Startup Pitch Battle」レポート
グローバル・ブレインが約1年間で投資を決定したスタートアップ企業から、注目の7社にご登壇いただきました。

執筆: Universe編集部
2023年12月1日に開催したグローバル・ブレイン(以下、GB)
本年審査を行ったのは、次の皆さまです。
- 起業家・エンジェル投資家 有安 伸宏 様
- Noxx Inc. Co-founder and CEO 小林 清剛 様
- STORES 株式会社 代表取締役社長 佐藤 裕介 様
- 株式会社ACSL 社外取締役 杉山 全功 様
今回はピッチの模様をレポートでお送りします。
【New Innovations】あらゆる業界の「無人化」を目指す
New Innovationsは「あらゆる業界を、無人化する」
root C (ルートシー)
本製品の特徴は、コーヒー業界の「コスト構造」
OMO 事業では、ソフトウェアとハードウェアを掛け合わせたソリューション提供をリアルビジネスを展開する企業向けに行っています。現在は、飲食、小売、宿泊、物流など幅広い業界を対象に製品を開発しています。
審査員から挙がった「一般的にコーヒーは単価が低く利益が出づらい商材なので、OMO 事業が売上のメインになっているのか」
【ブルーモ証券】投資初心者が直面する「壁」を打ち砕く
ブルーモ証券は「投資をみんなのものに」
代表取締役の中村氏は、日本での証券口座の開設数のデータなどを引用しながら、海外投資マーケットが広がっていると説明。投資に関心のある投資未経験層は国内に約1,000万人いるという推計もあり、個人投資家は確実に増えていくと語りました。
一方、個人投資家の多くは投資を続ける中で、ある壁に直面してしまうといいます。それは、最近投資を始めた人が広く利用するS&P500インデックスの「次の投資」
そうしたペインを解消するのが「Bloomo」
Bloomoには特徴的な2つの機能があります。1つは「ポートフォリオ投資機能」
中村氏はピッチの中で、創業期から自ら100件以上のユーザーインタビューを重ねて出会った興味深いインサイトなども紹介。正式リリースに向けてユーザー中心の製品を鋭意開発中であることを強調しました(※GBAF開催日時点)
【Spiral.AI】生成AIで「個性的で面白い」会話を実現
ChatGPTの登場により世界的な注目が高まった「生成AI」
代表取締役の佐々木氏は、世界のビッグテック企業はLLMでいかに正確な答えを出せるかという、「IQ」
具体的なサービスとして紹介したのが、芸能人の真島なおみと会話しているような体験を楽しめる「Naomi.AI」
Spiral.AIはこうしたエンターテインメント領域を中心に展開しながら、さまざまな産業領域でこうしたLLMの活用を進めていくとのこと。佐々木氏はさらに一歩進んだ世界観として、「自分自身の人格をLLMにする」
【カサナレ】カスタマーサポートを変革する生成AI企業
続いて登場したカサナレも、生成AIを用いたスタートアップです。彼らは生成AIで、ビジネスにおける「カスタマーサポート」
顧客は自分のITリテラシーや購買記録などに寄り添ったカスタマーサポートを求めています。しかし企業からすると、少ないリソースの中で全ての顧客の状況を把握し、細やかに対応してくのは困難です。
そのギャップを埋めるのが「Kasanare」
ここで代表取締役CEOの安田氏が強調したのは、Kasanareは単なるチャットボットではないという点。ユーザーが求める「人が横に付いて支えてくれているようなカスタマーサポート」
また、生成AIサービスでよく指摘が挙がるハルシネーション(AIが事実と異なる情報を生成すること)
最後に安田氏は「LLMの対応は全産業において不可避。LLMを用いてカスタマーサポートの変革を望むパートナーがいればぜひご一緒したい」
【Yanekara】「EVのジレンマ」をテクノロジーで解決
日本でも本格的な普及が始まっているEV(電気自動車)
Yanekaraは、こうした課題に対応するDeep Techスタートアップです。同社は「YaneCube」
YaneCubeは遠隔でオンオフが制御できる、日本初のEV用コンセントです。電力利用が集中する時間帯でピークカットすることにより、電力需給の逼迫を解消。電気料金の削減にも繋がります。YaneCubeはすでに約100台のEVを抱える銀座郵便局などで導入されており、エネルギー企業や家庭向けのエネマネサービスなどからも需要が高まっているといいます。
もう1つのYaneboxは、既存の充放電器サービスよりも低価格で、効率的にEV充電を行えるプロダクトです。同社では充放電器で当たり前とされていた回路構造をゼロから再検討し、300枚の基盤の試作を重ねてこのYaneboxを生み出しました。なお、Yaneboxを自宅に導入したユーザーには、エネルギー自給率が94%に達し、毎月の電気代がほぼゼロとなった方もいるといいます。
代表取締役CEO(兼CTO )
【Jij】企業の複雑な課題に「数理計算」で挑む
Jijは「企業の計算困難な課題を解決する」
数理最適化とは、数学的な手法を使って、与えられた条件や制約のもとで最適な解を見つける方法のこと。Jijはこの分野で2つの事業を展開しています。1つは「JijZept」
CEOの山城氏は、数理最適化において最も難しいのは問題を数式にしていく「定式化」
このJijZeptは、すでに発電機のコントロール、信号機の制御、通信に関わる計算、材料科学などあらゆる産業で活用がされているとのこと。JijZeptによって従来通りに計算コードを書くよりも70%もコストを削減できた事例もあるとし、その価値の高さを伝えました。
今後特に活用を進めたい業界についての質問に、山城氏は「エネルギー産業や製造業、材料開発の業界」
【シェルパ・アンド・カンパニー】ESG経営のペインをまるごと解消
近年、日本でもサステナビリティに関する取り組みが急速に進展しています。投資家やその他ステークホルダーへの透明性を高めるため、企業は自社のESG(Environment, Social, Governance)
そのため企業のサステナビリティ担当者からは、ESG情報の開示や評価機関から送付される年間100~200ものアンケート対応に追われ、ESG経営(ESGに配慮したサステナブルな経営)
こうしたESG経営に関するペインを解決するのが、シェルパ・アンド・カンパニーの「SmartESG」
「ワークフロー」
代表取締役CEOの杉本氏は「SmartESGは単なる業務効率化ツールではなく、ESG経営を高度化するツール」
杉本氏は今後の展開について、企業内での導入にとどまらず、ESG評価機関などさまざまなステークホルダーでの活用も進めていくと説明。SmartESGを「非財務情報のデファクトスタンダードツールにしていく」
ブルーモ証券、Spiral.AI、Yanekaraの3社が受賞
7社によるピッチ終了後、オーディエンスおよび審査員による審査を実施。その結果、GBAF AWARDにブルーモ証券、オーディエンスの投票によって決まるAUDIENCE AWARDにSpiral.AI、審査員が選ぶPITCH PANEL AWARDにYanekeraが選ばれました。
ロボティクスからAI、Fintech、Deep techなど幅広い領域のスタートアップが登壇したGBAF2023。来場していた大企業の方々はその発表を熱心に聞き入っていらっしゃいました。本ピッチがスタートアップと大企業の共創を生む、飛躍の機会となっていれば幸いです。