注目のスタートアップが集結！GBAF 2022「Startup Pitch Battle 2022」レポート（２）
グローバル・ブレインが2021年の末から約1年間に投資を決定したスタートアップ企業を中心に、今注目の8社に登壇いただきました。
執筆: Universe編集部
12月2日に開催したグローバル・ブレイン（以下、GB）の年次カンファレンス「Global Brain Alliance Forum 2022（GBAF 2022）」の終盤では、GBが2021年の末から約1年間に投資を決定したスタートアップ企業を中心に、今注目の8社による「Startup Pitch Battle 2022」を行いました。
本年審査を行ったのは、次の皆さまです。
- 起業家・エンジェル投資家 有安 伸宏 様
- Knot Inc. Co-founder and CEO 小林 清剛 様
- ヘイ株式会社 代表取締役社長 佐藤 裕介 様
- 株式会社ACSL 社外取締役 杉山 全功 様
今回は後半にプレゼンを実施した、下記4社のご紹介です。
【MOSH】個人やチームがエンパワーメントされる未来へ
今クリエイターエコノミーには大きなムーブメントが到来しています。広告の収益だけで食べていくのは難しい、というのは個人のクリエイターによくある問題ですが、SNSのリーチを活かしたあらゆるマネタイズが発展し、クリエイターエコノミーが益々広がる環境が整いつつあります。
「MOSH」は誰でもネットでサービスを売ることのできるサービスを提供しており、そのために必要な機能を幅広く取り揃えています。オフライン・オンライン問わず予約・決済が可能なほか、サブスクやデジタルコンテンツの販売がスマートフォン上で簡単に作成でき、ファン層別のCRＭで集客を強化したり、会員限定で動画コンテンツの提供したりすることも可能です。
現在200職種以上の様々なクリエイターが活躍しており、オンライン家庭教師や子供向けのコーチング、カフェを運営している方などの中には月に100〜500万ほど稼ぐ方も出てきているそうです。登録クリエイターも5万5,000人を突破。吉本興業などへの導入も進み、GMVも毎年200％で成長してるといいます。
国内クリエイターエコノミー市場は1.3兆円から、2034年くらいまでに10兆円になると見込まれており、今後さらに拡大する市場です。CEOの藪氏はピッチの最後に「インターネット自体が窮屈になってきている時代だからこそ、本来のインターネットの力をもっと信じて、個人やチームがエンパワーメントされる未来を創り上げるために事業を展開したい」と語りました。
【Veritas In Silico】ｍRNAに特化した創薬プラットフォームで今までにない薬を世界中へ提供
同社は、タンパク質の設計図であるｍRNAに特化した創薬プラットフォームを確立しています。mRNAを標的とする低分子医薬や核酸医薬、mRNAを補充するmRNA医薬に至るまで、mRNAをあらゆる形で創薬の対象にするのが特徴です。
特に注力しているのがｍRNAを標的とする低分子創薬です。医薬品市場の半数以上は低分子医薬が占めており、経口投与が可能であること・安さ・使用期限などの観点から、低分子医薬が一番望ましい薬であると、代表の中村氏は話します。
同社は標的をタンパク質からmRNAに変えることによって、タンパク質を標的とした従来創薬では創薬対象にすることが難しかった約3,000の疾患関連タンパク質に対して、新たに低分子創薬に取り組むことを可能にしました。
2016年に創業して以降、9社との共同創薬研究で医薬品を作り始めており、製薬会社から開示された創薬対象遺伝子（GOI）の数は既に100を超えています。これらGOIから分かる治療対象はがんが約30％、中枢神経疾患が約25％、希少疾患が約20％、その他は感染症から免疫や呼吸器、皮膚、筋骨など様々です。製薬会社の専門的な見地からも、同社の技術が様々な疾患に対応可能だということを示しています。
2021年11月には塩野義製薬株式会社と1020億円規模の事業提携に関する契約書を締結し、今後は同社の技術でより多くの薬を迅速に社会に届けるべく、世界中に事業を展開する予定です。
mRNA標的創薬によりアンメットメディカルニーズに応える医薬品を社会に提供することで、治療薬がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、希望に満ちたあたたかい社会の実現を目指しています。
【MAZIN】工場の技能者不足を解消するAIソフトウェアの開発により自動化・無人化工場を目指すIIoTスタートアップ
今、工場の95％が人材不足、84％が技能者不足と言われています。人は沢山いても技能者が数名しかおらず、同時に休んでしまうと生産できない現場では、技能者の人材配置がボトルネックになり業務効率をなかなか上げられない、また技術者の技能継承が課題となっているのが現状です。
同社は旋盤、マシニングセンタなどの切削加工やプラスチック、金属などの射出成形の業務行程を分解することで各工程に対するAIを搭載したソフトウェアを提供し、工場における作業の自動化・無人化を実現できるIIoTサービスを提供しています。現状は切削工具管理のプロダクトの開発が進んでおり、工作機械の状態を自動でセンシングしモニタリングすることで、切削工具の異常を検知して工作機械の停止や異常発生の通知などを実現しています。さらに切削工具の摩耗・欠損の検知を自動化するシステムは既に現場のロスコストの削減、品質向上に貢献しており、現在大手自動車メーカーなど数十社に導入されています。
国内では工作機械が約100万台も使用されており、切削工具管理の市場としては国内2,000億円のマーケットがあります。さらにグローバルもニーズは顕在しており、およそ10倍の約1,000万台あることを考えると非常に大きなマーケットであることが見込まれています。
「今後は切削加工にとどまらず、射出成型、研削加工、溶接加工、鋳造加工、プレス加工などにおいても、1つ1つ自動化・無人化できるよう研究開発を進めており、現場での実証実験でも実績も出始めており手応えを感じています。
現在は切削加工工場向けの自動化ソフトウェア販売が中心ですが、ゆくゆくは全部の工程を自動化できるようにすることで、技能者不要で生産活動ができる工場の実現を目指しています。生産技術のソフトウェア化を推進し、世界中に「強い工場」を造りたい」と代表の角屋氏は最後に語りました。
【パートナーサクセス】売れる代理店を増やすPRMを開発・提供
MicrosoftやGoogle、AWS、Salesforce、Zoomなど、多くのプロダクト企業が代理店販売チャネルを活用しています。BtoB流通金額の75％は代理店販売チャネルと言われており、例えばZoomは、日本の売り上げの70％以上は販売代理店経由です。同社は売れる代理店を増やすPRM（代理店連携管理クラウド）「パートナーサクセス」の開発と提供を行っています。
代理店の課題は大きく3つで、パートナーの売上が中々上がらない、良いパートナーが見つからない、さらには管理やコミュニケーションが非常に大変なことといいます。コミュニケーションや管理がブラックボックス化し、勝ちパターンが見いだせない現状に対して、管理コミュニケーションの課題を解決しデータを集めることで、より戦略的なパートナービジネスへ進化させています。
代理店企業を多く抱えている業界での導入が進んでおり、2022年の1月に正式版をリリースしたのちわずか10か月で720社へ導入。大企業のアカウントが多く開設されており、20の業界で活用されています。のち3月には日本最大手のIT総合商社のSBC&S社と提携が決まり、取り扱いメーカー4,000社と提携されている代理店様1万2,000社に対してアプローチを開始しているそうです。
PRM市場は、アメリカでは既に急速に成長して注目を集めており、ユニコーン企業も3社ほど出ています。同社は日本国内唯一のPRMカンパニーとして、国内マーケット形成のみならず、カスタマーサクセスの次となるパートナーサクセスの職種浸透に至るまで、大きなチャレンジをしています。
パンフォーユー、パートナーサクセス、MAZINの3社が受賞
以上8社によるピッチが行なわれ、GBAF 2022「Startup Pitch Battle 2021」受賞企業は、GBAF AWARDにパンフォーユー、オーディエンスの投票によって決まるAUDIENCE AWARDにパートナーサクセス、そして審査員が選ぶPITCH PANEL AWARDにMAZINが選ばれています。
