注目のスタートアップが集結!GBAF 2022「Startup Pitch Battle 2022」レポート(1)

グローバル・ブレインが2021年の末から約1年間に投資を決定したスタートアップ企業を中心に、今注目の8社に登壇いただきました。

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執筆: Universe編集部

12月2日に開催したグローバル・ブレイン(以下、GB)の年次カンファレンス「Global Brain Alliance Forum 2022(GBAF 2022)」の終盤では、GBが2021年の末から約1年間に投資を決定したスタートアップ企業を中心に、今注目の8社による「Startup Pitch Battle 2022」を行いました。

本年審査を行ったのは、次の皆さまです。

  • 起業家・エンジェル投資家 有安 伸宏 様
  • Knot Inc. Co-founder and CEO 小林 清剛 様
  • ヘイ株式会社 代表取締役社長 佐藤 裕介 様
  • 株式会社ACSL 社外取締役 杉山 全功 様

今回その模様を2回に分けてお届けします。

【パンフォーユー】冷凍とITの技術で地域のパン屋さんに貢献

株式会社パンフォーユー 代表取締役 矢野 健太氏 https://panforyou.jp/
株式会社パンフォーユー 代表取締役 矢野 健太氏

昨今国内では“パンブーム”と言われていますが、日本人の洋食化と共働き世代の増加で利便性を求める傾向もあり、パンは人口減少にも関わらず拡大をし続けているマーケットです。

海外市場をみると人口の拡大とともに順調に伸びており、50〜60兆円規模に至ります。その中でも先進国では、大量生産食品に対するアンチテーゼにより、少量多品種生産者によるパンが好まれる傾向が顕在化してきています。

国内パン市場1.5兆円の内訳は、スーパーなどの量販店で4,900億円、コンビニで4,100億円、パン屋さんで3,700億円を占めます。しかし、大半のパン屋さんはローカル消費の業態であるため、同社は冷凍とITの力でいかに消費者と結びつけるかをテーマに事業を行っています。

同社の特長は、水分をもちもちに保った状態でパンの冷凍が可能なフィルムを用いた独自の冷凍技術。瞬間冷凍機などの設備投資が不要なこの技術をベースに、サブスク事業や販路拡大プラットフォーム、販売オペレーションシステムなどを展開しています。

全国のパン屋さんから届く定期便「パンスク」は3万名の会員登録を突破し、コロナ禍においてBtoCで急成長を遂げています。

現在のベーカリー業態では1つの街に存在するパン屋さんの数は限られるものの、同社のモデルなら全国各地や海外にも販売できるようになるため、パン屋さんを増やすことができると代表の矢野氏は語ります。閑散とした地方で人がいなくても売り上げを立ててもらえるような街づくりを、自治体や地域の方々と共創していく予定とのことです。

【エステートテクノロジーズ】Win-Win-Winの不動産DXへ

エステートテクノロジーズ株式会社 代表取締役CEO 澤 博史氏
 https://www.estate-tech.co.jp/
エステートテクノロジーズ株式会社 代表取締役CEO 澤 博史氏

「不動産業界においてもDXは必然的に訪れる」と、CEOの澤氏は冒頭で強調しました。澤氏は2014年にデータセクション株式会社を東証マザーズ市場に上場させたシリアルアントレプレナーです。2019年に創業したエステートテクノロジーズは、日本のGDPの約7%を占める36.5兆円の国内不動産流通市場をメインターゲットに事業を展開しています。

メルカリのようなCtoC一般消費材流通市場と比較して約13倍にもなるこの巨大取引市場のDXのカギは「信頼できる情報提供」であると澤氏は語ります。以前実施したアンケートによると、投資用マンションや住まいを検討する際、顧客が最も知りたい情報は「適正な価格」とされ、同社は公正で透明化された不動産取引を実現することで、持続可能な社会の発展や豊かな社会の実現を目指しています。

同社の組織は、澤氏とともにデータセクションを上場させた池上CTOをはじめ、世界的なコンペティションであるKaggleのGrandmasterや、東京大学で人工知能・データ分析の権威である大澤教授など、高い技術力を誇るメンバーを中心に構成されています。機械学習・ビックデータ分析・自然言語処理などを活用した、不動産価格査定精度・最小誤差率No.1の技術を強みにしており、既に不動産買取再販事業者、不動産仲介事業者、不動産ローン事業者やウェルスマネジメント事業者など、さまざまな大手企業が同社のサービスを利用しています。

「技術をトリガーにして価格精度を向上させることが企業利用・取引増加に繋がり、情報が益々増えることが技術の精度を上げていく。このスパイラルを企業の皆様と一緒に加速させることが成功の要。個人のお客様、企業の皆様、弊社がWin-Win-Winとなる関係性を大切にして事業を行うことを続けていきたい」と最後に澤氏は語りました。

【TURING】テスラを超える完成車メーカーに

TURING株式会社 代表取締役 山本 一成氏 https://www.turing-motors.com/
TURING株式会社 代表取締役 山本 一成氏

“We overtake Tesla” テスラを超える完成車メーカーになる、というのが同社のミッションです。自動車産業は世界でおよそ300兆円、日本で50兆円位の規模と言われていますが、今自動車産業には3つの大きな波が来ています。1つは自動運転、2つはEV・電気自動車化、3つはソフトウェアを中心としたUI/UX。これらの変化に対して自動車業界は柔軟に対応していく必要がある、とCEOの山本氏は語ります。

山本氏は名人に勝利したことでも有名な将棋AIのPonanzaを開発。2018年に上場したHEROZに初期から参画し、より大きな夢を実現したいという思いから2021年に同社を創業しました。

TURINGではAI-BasedのPoC自動運転システムを開発し、シードで10億円を調達。本拠地の柏市で自動運転のテストを行なっています。今年の10月には自動運転で北海道を一周できることを実証しました。同社は完成車メーカーになるためにソフトウェアや自動運転の開発を行うのみならず、0から車を設計していることに特徴があります。メンバーはカーネギーメロン大学で自動運転を長年研究してきた共同創業者の青木CTOや、AIの専門家、日産出身のエンジニアなど、優秀な人材が数多く集まっています。

自動車産業は車のハードウェアとソフトウェアが2つに分かれていますが、良いリーダーシップをもって組み合わせることで、日本でまたさらに良い車を作る準備を進めているといいます。

【ジョーシス】ITデバイスとSaaSの一元管理を実現

ジョーシス株式会社 CPO 横手 絢一氏 https://jp.josys.com/
ジョーシス株式会社 CPO 横手 絢一氏

2020年春、新型コロナウイルスの感染が拡大。在宅命令が出るなど、多くの人がオフィスに行けず、コミュニケーションや業務がままならない状況に陥ったこともあり、たった数週間で世界中であらゆる規模の会社がリモートワークに対応することになりました。そこから2年が経った今ではリモートワークが一般化し、それを支えるソフトウェアの導入も大きく加速しています。

SlackによるコミュニケーションのDX、ZoomによるミーティングのDXなど、アメリカでは1社あたり約80個のSaaSを使うと言われています。日本では1社あたり約17個のSaaSを利用しており、まだ少ないとはいえ年々数が増えている状況です。それに伴い、リモートワークとハイブリッドを前提としたITインフラの再構築や、急増するソフトウェアの管理業務の増加、複雑化するセキュリティへの対応などが当たり前のように求められる世界になっています。

同社は、情報システム部門(情シス)の方々をサポートし、ポストコロナのITインフラ強化を支援。具体的には、従業員の入退社や異動・出向・昇進などの異動に伴って発生する情シス部門のノンコアな業務(デバイスの購入や初期セットアップ、SaaSアカウントの発行や停止など)を効率化し、業務コストとITコスト削減とセキュリティレベル向上を実現しています。

また、デバイスとSaaSを統合的に管理するプラットフォーム「ジョーシス」を提供するだけではなく、効率化したノンコア業務そのものをアウトソースできる仕組みも展開する予定といいます。

管理をする対象のデバイスは全てグローバルで共通しているため、情シスが抱えるITデバイスとSaaSの管理にまつわる課題は、グローバルでも同じです。同社は日本から世界と伍するグローバルプロダクトを生み出すために、日・印2ヶ国で組織を構築し事業を拡大しています。

後編では、下記4社をご紹介します。