ARTICLE

GB Tech Trend #023: リモートワークに商機を見出す「ビジネス向け」音声サービスたち

コンシューマー市場での行動体験は、時期をずらしてビジネス市場へと応用される場合が多々あります。

500万ドルの調達を発表した「Spot Meetings」。Image Credit: Spot Meetings。
500万ドルの調達を発表した「Spot Meetings」。Image Credit: Spot Meetings。

執筆: Universe編集部

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

音声SNS「Clubhouse」の登場により、ビデオ通話ではなく声だけの対話体験が一般に認知されました。コンシューマー市場での行動体験は、時期をずらしてビジネス市場へと応用される場合が多々あります。

今回取り上げる「Spot Meetings」もその一つです。同社は座りながらビジネス会議を行う従来のサービスとは違い、音声だけでハンズフリーに会議を行えるユーザー体験の実現を目指しています。5月20日には500万ドルの資金調達を発表しました

Spot Meetingsアプリ上では、音声アシスタント「Spot」がユーザーの音声コマンドを理解してタスク処理をしてくれます。たとえば「Spot Fetch」と言うと、コマンド後40秒の内容を録音して書き起こし、会議中メモとして保存しておいてくれます。また、会議参加者が共有できるノート機能も実装されており、会議アジェンダを事前に書き込んだり、発言録にコメントを足しておいて議事録としてシームレスにシェアできる動線も用意されているとのこと。

昨今、ビジネスシーン向けの音声プロダクトの活躍を徐々に聞くようになりました。たとえばSlack Fundから出資を受ける「Yac」が挙げられます。同サービスは非同期型の音声コミュニケーションツールです。アプリかウェブアプリをインストールして、同僚や上司に向かって録音メッセージを送り合う体験を実装しています。録音記録は手軽にシェアできる動線もあり、まさに「音声版Slack」としての市場ポジションを狙っていることが伺えます。同社は1月25日に750万ドルの調達に成功しています。

他にも現在ステルスで活躍する「Riff」や、Y Combinator出身でリアルタイム・コラボレーションツール「Tandem」もその一つとして数えられるでしょう。どんな場所・タイミングからでも気軽に参加できて、ミーティング参加後体験までしっかりと設計された音声系サービスが待望されています。

一般的に音声系スタートアップサービスは、「議事録作成」「音声書き起こし」などのキラー機能を謳う傾向にありますが、その点はZoomによってカバーされています。Zoomもマーケットプレイスを通じたAdd-Onサービスの導入により、その体験性を確実に強化しているためです。たとえばAI自動翻訳サービス「Otter.ai」との連携があれば、Zoom音声を高精度に書き出し可能です。AI翻訳の面においては、Spot Meetingsやその他各サービス以上のアウトプットを出せることでしょう。

そのためユーザー体験の刷新でしか戦える場所がありません。このユーザー体験が抜本的に変わるきっかけになったのが冒頭で紹介したClubhouseの登場です。コンシューマーの行動が変われば、その流れがビジネス市場へと流れ込むのは必然です。こうしたユーザー行動を軸にした市場変化を見逃さず、次のワーク・コミュニケーションツールとして支持されるべき、各スタートアップが活躍しているのが現在です。どこまで音声チャットがビジネス領域で市民権を得られるのかは未知数ですが、Clubhouseによって音声対話の良さを知ってしまった今、主要サービスの登場が期待されます。

今週(5月18日〜5月24日)の主要ニュース

Snapが発表した新型「Spectacles」。Image Credit: Snap。
Snapが発表した新型「Spectacles」。Image Credit: Snap。

Snap、ARグラス企業「WaveOptics」を買収

SnapはARメガネ「Spectacles」の最新モデルを発表。この報道に加えて、イギリスを拠点とするARスタートアップで、ARグラスに使用される導波管やプロジェクターを製造する「WaveOptics」を買収したと発表。SnapはBoschやOctopus Venturesなどの投資家から6,500万ドルを調達していたWaveOpticsを、現金と株式合わせて5億ドル以上を支払って買収すると報じられている。— 参考記事

Amazonブランド買収「Factory14」2億ドル調達

ルクセンブルグを拠点とし、Amazon上で事業運営する中小企業を買収・事業継承する「Factory14」は、株式および負債による2億ドルの資金調達を行った。DMG VenturesとDN Capitalが共同で実施したという。その一方で、Victory Park Capitalからのクレジット・ファシリティも用意しているという。— 参考記事

動画メッセージサービス「Loom」1.3億ドル調達

ビデオメッセージングプラットフォーム「Loom」は、シリーズCラウンドとして1億3,000万ドルを調達した。Andreessen Horowitzがこのラウンドをリードし、KPCB、Sequoia Capital、Cootue、General Catalyst、ICONIQが参加した。このラウンドにより、同社の価値は15億3,000万ドルとなった。— 参考記事

プレゼン資料作成SaaS「Pitch」8,500万ドル調達

ドイツ・ベルリンを拠点とするプレゼンテーションコラボレーションサービス「Pitch」は、LakestarおよびTiger Global ManagementからシリーズBラウンドとして8,500万ドルを調達した。これまでの出資者には、Index Ventures、Slack Fund、ZoomのCEOであるEric Yuan、Instagramの創設者であるKevin SystromとMike Kriegerなどがいる。— 参考記事

大手金融プラットフォーム「SoFi」創業者が立ち上げた「Figure」2億ドル調達

SoFiの創業者であるMike Cagney氏が設立した消費者金融プラットフォーム「Figure」が、10T HoldingsとMorgan Creek Digitalの共同リード出資により、2億ドルの資金を調達した。他の投資家には、Digital Currency Group、Ribbit Capital、DCM、DST Globalが含まれている。これで、同社は累計で4億2500万ドルを調達したことになる。— 参考記事

Amazonブランド立ち上げから買収までをカバーする「Heyday」7,000万ドル調達

Amazonブランドの立ち上げや買収までを一貫して行い中小企業を支援する「Heyday」は、既存出資者であるGeneral Catalyst、Khosla Ventures、Arbor Ventures、およびHeydayの創業者が中心となり、シリーズBで7,000万ドルの資金を調達した。今回の投資により、同社の資金調達額は2億5,000万ドルを超えた。— 参考記事

地図情報プラットフォーム「NextBillion.ai」625万ドル調達

シンガポールとカリフォルニア州マウンテンビューを拠点とし、モジュール式で設定可能な地図と位置情報を提供するSaaS企業「NextBillion.ai」は、シリーズAエクステンション・ラウンドとして625万ドルを調達・先に発表したラウンドと合わせて1,325万ドルとなった。MicrosoftのベンチャーファンドであるM12が今回の資金調達をリードした。— 参考記事

会話型メンタルヘルス「Wysa」550万ドル調達

AIを活用した会話型のメンタルヘルス・プラットフォームで、ハイリスクなユーザーに対して早期ケアを実現する「Wysa」は、シリーズAラウンドとして550万ドルを調達した。このラウンドは、W Health Venturesがリードし、Google Assistant Investment、pi Ventures、Kae Capitalが参加した。— 参考記事