わずか数秒で洋服をデザイン。アパレル製造を高速化する「Raspberry AI」【GB Tech Trend #131】

テキストプロンプトを入力することで、写真で撮ったかのような洋服画像を生成できる「Raspberry AI」。より短期間で人気商品を市場に投入できるようになる同サービスは、アパレル製造の仕組みを変えるかもしれません。

わずか数秒で洋服をデザイン。アパレル製造を高速化する「Raspberry AI」【GB Tech Trend #131】のカバー画像

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

2,400万ドルの調達を発表した「Raspberry AI」(Image Credit: Raspberry AI)

昨今のファッション業界において、次世代の生産体制を支えるAIサービスが注目を集めています。特に話題となっているのが、生成AIプラットフォーム「Raspberry AI」です。同社はAndreessen Horowitzらから2,400万ドルの資金調達を成功させており、AIを活用してアパレルデザインプロセスを飛躍的に効率化し、業界の課題を解決するソリューションを提供しています。

Raspberry AIは、テキストプロンプトを入力することで、写真で撮ったかのような洋服画像を生成できるサービスです。

このプラットフォームの特徴は、アパレルブランドが商品開発に要する時間を圧倒的に短縮しつつ、商品アイデアの数を最大化できる点にあります。たとえば、通常の洋服のスケッチや物理的な試作には数週間を要しますが、Raspberry AIを活用すれば数秒で複数のデザインバリエーションを生成可能です。

現在のRaspberry AIはプロンプトベースでアパレル商品を生成するサービスですが、SNSのトレンド情報なども組み込めるようになれば、よりニーズや売上を踏まえたうえで商品アイデアをアウトプットできるようにもなるでしょう。トレンド商品をニーズ以上に過剰生産してしまうことなく、適正量で販売できる仕組みも可能になるかもしれません。

いまは企業だけでなく、個人のインフルエンサーが自分のブランドを立ち上げ、アパレル商品を展開するケースも増えています。こうした小規模チームにおいても、時間をかけずにオリジナリティの高い商品を生産したいというニーズは高まっており、Raspberry AIの顧客の幅は広がっているといえそうです。

Raspberry AIのような生成AIを活用することで、より短期間で人気商品を市場に投入することができるようになるでしょう。このような技術の進化は、アパレル業界全体に新たなチャンスをもたらすと考えられそうです。

1月14日〜1月27日の主要ニュース

2億5000万ドルの調達を発表した「ElevenLabs」(Image Credit:ElevenLabs)

ブルックリン発の音声AI「ElevenLabs」、2億5000万ドル調達

異なる言語、アクセント、感情をベースにした音声クローン技術を開発するブルックリン拠点の「ElevenLabs」は、約30億ドル前後の評価額で2億5,000万ドルを調達をした。 ICONIQ Growthがリードを務め、以前の投資家Andreessen HorowitzもこのシリーズCラウンドに参加している。

TechCrunchによると、36の企業がコンテンツ制作にElevenLabsの技術を使っており、ARRは2023年の2,500万ドルから8,000万ドルに成長したという。 — 参考記事

10万人のクリエイターが支持する「ShopMy」、7,750万ドル調達

インフルエンサーマーケティング・キャンペーンの管理と最適化を支援する「ShopMy」は、4億1,000万ドルの評価額で7,750万ドルをシリーズBラウンドで調達した。 Bessemer Venture PartnersとBain Capital Venturesが共同リードを務め、Menlo Ventures、Inspired Capital、AlleyCorpらがラウンドに参加した。

ShopMyは、広告主がギフトプログラムを管理したり、効果的なマイクロインフルエンサーを特定したり、ネットワーク内のインフルエンサーがフォロワーと共有するためのコマースリンクを生成したりするのに役立つツールなど、数多くのツールを提供している。設立4年目のShopMyは、550以上のブランドと契約しており、10万人以上のクリエイターが登録しているという。— 参考記事

インド発ロボティクス企業「Ati Motors」が2,000万ドル調達

工場や倉庫のような環境向けに設計された自動運転車技術を開発する「Ati Motors」が、シリーズBラウンドで2,000万ドルを調達した。 Walden Catalyst VenturesとNGP Capitalが共同リードを務め、これまでの投資家であるTrue Ventures、Exfinity Venture Partners、Athera Venture Partners、Blume Venturesらもラウンドに参加した。

Ati Motorsは、Airbus、Ceat Tyres、Forvia、Hyundai、Samsung、TVS Motorなど40のメーカーと提携しているという。 同社の全顧客ベースのうち、80%は自動車部門で、米国が収益の大半を占めている。 — 参考記事

次なるTikTokを目指す「Favorited」、130万ドル調達

次なるTikTokを目指すスタートアップ「Favorited」がプレシードラウンドで130万ドルを調達した。 投資家にはAndreessen Horowitz、Soma Capital、HF0が含まれる。FavoritedはTikTok Liveによく似ており、クリエイターがリアルタイムでフォロワーとエンゲージできる。主な機能には、ギフト、インタラクティブゲーム、ストリーク、リーダーボードなどがある。

Favoritedの特徴の1つは、クリエイターに対して70/30という収益分配率であり、これは約50%を占めるTikTokよりも有利な可能性がある。 Favoritedで自分のストリームを始めるには最低100人のフォロワーが必要だが、既存のストリームには誰でも参加できる。 — 参考記事

AIでメンタルヘルス業界を支持する「Eleos」、6,000万ドルを調達

AIを利用してセッションノートを自動作成し、患者との対話から洞察を提供することでメンタルヘルス専門家を支援する「Eleos」は、シリーズCラウンドで6,000万ドルを調達した。 Greenfield Partnersがリードを務め、Michael & Susan Dell Foundation、Union Tech Ventures、 Centerstone、F-Prime Capital、Eight Roads、Menlo Ventures、IONらがラウンドに参加した。 同社は総額1億2,000万ドル以上を調達している。

過去1年間で、15,000〜20,000人のセラピストと数十万人の患者がEleosのサービスを利用したという。 Eleosは通常治療と比較して、クライアントのエンゲージメントを倍増させ、プログレスノートの提出時間を80%以上改善したとのこと。— 参考記事