音声AIエージェント市場のユニコーン候補、「Hamming AI」の可能性【GB Tech Trend #130】
コールセンターのオペレーター業務などを代替する存在として、注目が高まっている「音声AIエージェント」。この開発に伴う工数の多さを解消するのが、音声AIエージェントのテスト自動化ツール「Hamming AI」です。

執筆: Universe編集部
今週の注目テックトレンド
GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
AIの社会実装が進む中、注目が集まっているのが音声AIエージェントです。
実際、コールセンターに顧客と対話をするために配置している何百人ものオペレーターを、AIの自動対応に置き換えるようなトレンドが加速度的に進んでいます。音声AIエージェントを活用すれば対応ミスを格段に減らせるだけでなく、音声データ解析を挟むことでより満足度の高い顧客対応を実現できることから期待が高まっています。
しかし、音声AIエージェント開発には膨大なテスト作業とデバッグプロセスが必要であり、それが多くの企業にとって開発スピードを阻む要因となってきました。
この課題解決を目指すのが、音声AIエージェントのテスト自動化ツール「Hamming AI」
音声AIエージェントの開発を効率化
Hamming AIは、音声AIエージェントのテストプロセスを効率化するプラットフォームです。従来、AI開発チームは音声エージェントの手動テストに何時間も費やしており、プロンプトや機能呼び出し、またはモデルの小さな変更が引き起こす致命的なバグや重大なエラーの対応だけで手一杯でした。
また、サービスデプロイ後には開発チームが見落としたバグを発見するためのデバッグチームが別途配置され、人力で電話をかけて確認する必要も生じていました。
そうした課題を解決するのがHamming AIです。同サービスのプラットフォームでは、数千もの同時通話テストを行い、音声AIエージェントのテストを効率化することができます。
Hamming AIでは各顧客のサービスに応じて、想定される電話問い合わせのシナリオを作成。シナリオ通りに作られたAIエージェントが実際にテストコールも行います。各テスト内容が十分な顧客満足度で終えられるかの審査もHamming AIが全自動で実行可能です。
こうしたAIエージェントのシナリオ作成から審査を一気通貫で行える仕組みは、Hamming AIが開発したLLMを基盤に行われており、技術的な強みとなっています。
具体的な導入実績も出ています。こちらの記事によると、あるドライブスルー企業はHamming AIを活用して何千もの電話注文のシミュレーションを行い、99.99%の注文精度を達成するAIの開発に成功しました。このようにAIエージェントの品質向上を効率的に実現できれば、その開発サイクルも劇的に短縮することが可能です。
こうした実績をもとにすれば、厳しいコンプライアンスが求められる医療や法律などの分野にHamming AIが市場参入する可能性も考えられるでしょう。
ユニコーン企業となる可能性も
冒頭で紹介した通り、音声AIエージェント市場は近年急速に成長しており、特にカスタマーサポート分野での活用が進んでいます。2024年には「Bland AI」
同社はノンエンジニアでもAIによる電話対応フローを組めるワークフロービルダー「Pathways」
Bland AIではワークフロー(質問や対話の分岐の設計)
Bland AIをエンドユーザー向けの「サービスレイヤー」
振り返れば5年前、ライブ音声配信市場で「Clubhouse」
12月31日〜1月13日の主要ニュース
生成AIで医療現場をサポートする「Hippocratic AI」が1億4,100万ドル調達
患者とのコミュニケーション、事務的なサポート、臨床指導などのタスクで医療専門家を支援する生成AIツールを開発する「Hippocratic AI」
Hippocratic AIは、わずか23週間で23の医療システム、製薬会社のクライアントと契約を結び、そのうち16のクライアントと本稼働を開始している。これら医療機関の患者20万人以上との患者からレビューをもらい、平均評価は8.7だったとのこと。 — 参考記事
ライブコマースプラットフォーム「Whatnot」、2億6,400万ドル調達
トレーディングカード、コミックブック、ガジェットなどのアイテムをライブビデオストリーミングを通じて売買できるオンラインプラットフォーム「Whatnot」
Whatnotのセラーの3分の2以上が毎月1万ドル以上の収入を得ており、3人に1人が6人以上のスタッフを雇用している。また、ライブストリーム販売の年間商品総額(GMV)
停電時間を70%短縮するAI電力サービス「Gridware」、2,640万ドル調達
機器の故障や送電線のダウンなどをリアルタイムで検知し、電力会社の問題対処と停電防止を支援する「Gridware」
電力会社のオペレーターはどこから故障を探せばよいのかほとんど分からない状態であったが、Gridwareの顧客は問題を迅速に特定できるようになり、より効率的な検索プロセスによって、停電時間を70%以上短縮することができるようになったという。現在、米国10州にまたがる数百万の顧客にサービスを提供している。— 参考記事
AI活用のモバイルゲーム企業「Grand Games」が3,000万ドル調達
Magic SortやCar Matchなどのモバイルゲームを開発するイスタンブール拠点の「Grand Games」
Grand Gamesは、各ゲームに使用されるコードベースの最大30%をAIで構築し、Midjourneyのようなプラットフォームを使用してアートコンセプトを生成することで、タイトルの作成と公開にかかる時間を短縮し、競合他社よりも迅速に構築、テスト、反復を行うことを可能にしている。
10か月以内に、モバイルゲームで最も人気のある2つのタイトル「Magic Sort」
チャージバック特化のAI企業「Justt」が3,000万ドル調達
オンラインビジネスのチャージバック管理(クレジットカードの不正利用などによって利用代金の支払に同意しない場合に、クレジットカード会社がその代金の売上を取消しすること)
Justtは2027年までに黒字化を目指しており、同社が最後に資金調達を行ったのは2021年で、以来2023年には収益が3倍になり、2024年には再び2倍になった。 またJusttが管理するチャージバック総量が前年比でほぼ倍増したという。— 参考記事