GB Tech Trend #105: ポストZenlyは誰の手に?位置情報レースを争うスタートアップたち

独自の技術や機能から差別化を図るアプリも登場しています。

GB Tech Trend #105: ポストZenlyは誰の手に?位置情報レースを争うスタートアップたちのカバー画像
非公開額でシリーズAラウンドでの調達を発表した「Jagat」(Image Credit: Jagat)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

元Zenlyの開発チームが位置情報アプリ「Amo」をローンチしたニュースが市場を騒がせています。2023年は、こうしたロケーションアプリトレンドに注目が集まり、アジアにも飛び火した年でした。

3月にローンチされた「Jagat」は、世界ユーザー数が1,000万に到達したことを明かしています。本アプリは位置情報交換SNSで、まさにZenlyを模倣したプロダクトです。リアルタイムで友人と連絡を取り合ったり、周囲の新しい人々やアクティビティを発見したりすることができます。Jagatはシンガポールとインドネシアを拠点に、東南アジア市場でアプリ展開をしています。また、10月に非公開額でシリーズAラウンドを完了しています。

現在、広く使われているZenlyに続くアプリは、近場にいる友人や恋人との情報交換ツールとして使われています。ただ、こうしたアプリはユーザー数を多く抱えた先行アプリが市場を獲得する(Winner Takes All)様相になりやすくなります。先ほど紹介したJagatも地域、つまりアジア市場における位置情報のポジションをいち早く取りたいとレースに参加している1社、というわけです。混沌とする市場状況の中、地域とは異なる独自の技術や機能から差別化を図るアプリも登場しているので一部を簡単に紹介します。

たとえば元Twitterのプロダクトマネージャーと1Passwordのエンジニアが発表したアプリ「Rex」が挙げられます。同アプリはAI機械学習を用いて、ユーザーのカメラロールからレストランなどの店舗やアウトドア先の写真を自動で選定。撮影場所情報と実際のスポット情報を紐づけて、ユーザーのお気に入りの場所として自動でキュレートし、友人とシェアできる新しい地図アプリです。

リアルタイムで位置情報を交換する機能はありませんが、インフルエンサーや口コミ情報に影響を受けてきた外出体験を変えるべく、友人同士で近場のスポット情報を手軽に交換できるSNSとして注目を集めつつあります。すでにAccelやKhosla Venturesから396万ドルの資金調達を実施しています。

また、本メディアでも伝えた、お気に入りの場所にいいね!やコメントを付けたり、おすすめの行き先情報リストを発表できる「Atly」や、ショート動画で行き先情報を確認できるビデオマップアプリ「Atmosfy」も2023年に登場しました。こうした位置情報および地図アプリの動向を見ていると、かつて母親ユーザー向けに子供が遊びやすい公園やレストラン情報をキュレートした情報特化型の地図アプリ「Winnie」のように、デモグラフィックを細分化する流れが2024年度以降に出てくるかもしれません。

12月12日〜12月25日の主要ニュース

4,800万ドルの調達を発表した「Podimo」(Image Credit:Podimo)
4,800万ドルの調達を発表した「Podimo」(Image Credit:Podimo)

オーディオ・サブスクプラットフォーム「Podimo」が4,800万ドル調達

様々なポッドキャストやオーディオブックを聴けるサブスクリプションサービス「Podimo」は、デンマーク輸出投資ファンド(EIFO)がリードを務め、HighlandXとAugustinus Fabrikkerも参加したラウンドで4,800万ドルを調達した。同社は総額2億2,000万ドル以上を調達している。— 参考記事

法律自動化サービス「Harvey.ai」、シリーズBラウンドで7億1500万ドル評価額、8,000万ドル調達

複雑な法務タスクやプロセスを自動化・合理化することで法律事務所を支援することをミッションとする「Harvey.ai」は、シリーズBラウンドで7億1,500万ドルの評価額で8,000万ドルの資金調達を実施したと発表。Elad GilとKleiner Perkinsがリードを務め、OpenAI Startup FundとSequioa Capitalがラウンドに参加した。同社はこれまでに総額1億ドル以上を調達している。— 参考記事

ブロックチェーン分析「Addressable」、BITKRAFT Venturesリードで600万ドル調達

ブロックチェーンデータを分析して暗号通貨ウォレットの所有者を特定・分類し、ターゲットを絞った広告やマーケティングキャンペーンを行う「Addressable」は、BITKRAFT Venturesがリードし、Karatage、Viola Ventures、Fabric Ventures、Mensch Capital Partners、North Island Venturesが参加したシードラウンドで、600万ドルの資金調達を実施した。同社は合計1,350万ドルを調達している。— 参考記事

Animoca Brandsらが出資、「Farcana」が1,000万ドルの資金調達

NFT eスポーツゲームを開発する「Farcana」は、Animoca Brands、Polygon Ventures、Fenbushi Capital、Merit Circle、Rarestone Capital、MMPro Trust、Unpopular Ventures、Kapo Capital、Emchain、Hasu Capital、Dravus Investmentらが参加したシードラウンドで1,000万ドルの資金調達を実施した。— 参考記事

ソーシャルリワードネットワーク「Claim」、Sequioa Capitalリードで400万ドル調達

ユーザーが獲得した報酬を友人と交換できるようにする「Claim」は、Sequioa Capitalがリードした、シードラウンドで400万ドルを調達した。同社は総額600万ドルを調達している。— 参考記事

ビジュアル・キャンバス「Kosmik」、370万ドル調達

PDFリーダーとウェブブラウザ機能を搭載したビジュアル・キャンバス「Kosmik」は、Creandumがリードし、Alven、Kima Ventures、Betaworksが参加するシードラウンドで370万ドルを調達した。— 参考記事