GB Tech Trend #101:インフルエンサーと共同でフードデリバリー事業を開発する「Lanch」

フードデリバリー時代の新たなフランチャイズビジネスの形と言えるのではないでしょうか。

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690万ドルの調達発表した「Lanch」(Image Credit: Lanch)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

UberEats、Postmates、DoorDashなどのフードデリバリーサービスの台頭後、ゴーストキッチンやバーチャルキッチンなど、デリバリーに特化した業態に注目が集まりました。これらは、巨大プラットフォームから派生した市場として急成長しています。今回紹介するスタートアップも、フードデリバリー業界に関連するビジネスを展開しています。

Lanch」は、インフルエンサーと協力してフードデリバリーブランドを開発する企業です。最近、690万ドルの資金調達を発表しました。この会社は、人気のあるインフルエンサーと共同で、デリバリーサービス上で提供されるブランドを構築します。提供する料理が決まると、調理場所の受け入れを希望するレストランを探し、インフルエンサーとマッチングさせます。

レストラン側は、キッチンの稼働率を高めたり、ブランド価値を向上できたりするといったメリットを受けられます。売上の3分の1はレストランが受け取り、残りはインフルエンサー、Lanch、そして提携したフードデリバリーサービス事業者に分配されます。Lanchは食材卸を行い、また、インフルエンサーとレストラン事業者の両方にどの商品が売れているのか、どの顧客層が関心を持っているかなどのデータを提供し、ブランドの持続的な成長を支援します。Lanchのうまい点は、卸とデータ提供を通じて、ブランドが確立された後も安定的な収益を確保できることです。

Lanchの実態は、「マッチング事業者」と言えます。ブランド構築や料理開発にハンズオンで取り組む初期コストがかかる一方、成功すればフランチャイズ形式で提携店舗を増やし、収益を拡大することができます。まさに、フードデリバリー時代の新たなフランチャイズビジネスの形と言えるのではないでしょうか。

最近、インフルエンサーがプラットフォームを利用して、ブランド展開や収益源を増やす事例が増えています。たとえば過去にご紹介した、インフルエンサーがお気に入りの場所を地図プラットフォーム上で共有する「Atly」や、インフルエンサーがEコマースブランドを展開するための「Pietra」などが挙げられます。

YouTubeやTikTokで活躍するインフルエンサーが、こうしたSaaSビジネスを使い、ブランドを横展開していく需要が増えている印象です。今後は、これらのブランドやプラットフォーム機能を統合するコンパウンドスタートアップ的なサービスや、ロールアップ型で各ブランドを買収するインフルエンサー特化のファンドが登場する可能性もありえるかもしれません。

10月17日〜10月30日の主要ニュース

400万ドルの調達を発表した「1337」(Image Credit:1337)
400万ドルの調達を発表した「1337」(Image Credit:1337)

生成AIインフルエンサーコミュニティ「1337」プレシードラウンドで400万ドル調達

生成AIを活用してAI主導のマイクロインフルエンサーのコミュニティを構築する「1337」は、Credo Ventures、GFR Fund、Treble VC、Roosh Venturesから、プレシードラウンドで400万ドルを調達したと発表した。— 参考記事

セレブ向けビューティブランド・インキュベータ「FounderSix」1,200万ドル調達

有名セレブ向けのビューティブランドをインキュベートする「FounderSix」が、1,200万ドルの資金を調達した。KDキャピタルがディールをリードした。— 参考記事

ドローンパイロットネットワーク「FlyGuys」1,000万ドル調達

ドローンパイロットのネットワークを構築し、クライアントに航空データを提供する「FlyGuys」は、シリーズAラウンドで1,000万ドルを調達したと発表した。Mitchell CapitalとAdvantage Capitalが本ラウンドに参加した。— 参考記事

金融文書データ抽出プラットフォーム「Arteria AI」3,000万ドル調達

AIを使って金融関連の文書からデータを抽出する「Arteria AI」は、GGV Capital U.S.がリードしたシリーズBラウンドで、3,000万ドルを調達したことを発表した。これまでの投資家であるIlluminate Financial、Information Venture Partners、BDC Capital、Citiも本ラウンドに参加した。同社は総額5,000万ドルを調達している。— 参考記事

3D/AR開発者ツール提供「Threedium」1,100万ドル調達

ブランドが3DやAR体験をつくるための開発者向けツールを提供するロンドン拠点の「Threedium」は、シリーズAラウンドで1,100万ドルを調達したと発表した。Interpublic GroupとOlma Partnersが共同でリードを務め、Mesh Consensys、Reflexive Capital、Nirvana Family Office、Lyra Venturesらが本ラウンドに参加した。— 参考記事

法律業務の効率化目指す、AIプラットフォーム「Eve」が1,400万ドル調達

文書レビュー、ケース分析、リサーチなどの法律業務を処理するAIプラットフォーム「Eve」は、Lightspeed Venture PartnersとMenlo Venturesが共同でリードするシードラウンドで、1,400万ドルを調達した旨を発表した。— 参考記事