GB Tech Trend #100: Web3会員サービス「Blackbird Labs」レストラン顧客のリテンション問題を解決できるか
食事客の様々なデータを取得して、ターゲティングプロモーションを実施できるようになります。

執筆: Universe編集部
今週の注目テックトレンド
GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
レストラン向け会員アプリを開発する「Blackbird Labs」
Blackbird Labsは、小規模レストランが利用できる顧客会員アプリを提供しています。ユーザーは専用NFCリーダーにタッチすることで各店舗の会員権を獲得でき、店舗に通うほどランクアップしたり、メニュー外の商品やダイレクトメッセージ・コンシェルジュなどの特典を受けたりすることができます。また、来店ごとに暗号通貨を獲得し、Blackbirdのスマートフォンアプリを通じて、レストランでの食事やドリンクなどの商品購入や、会員特典に利用できます。レストラン側はBlackbird Labsを通じて、食事履歴、誕生日、自宅住所など、食事客の様々なデータを取得して、ターゲティングプロモーションを実施できるようになる、というものです。
TechCrunchの記事でも示されている通り、レストラン事業の成功率は約20%と、とても低い状況にあるようです。一方でコロナ禍で私たちも目にしたように、レストランは生き残りをかけていろいろなアイデアを出しました。Blackbird Labsの創業者は、パンデミック初期にレストランが衣料品ラインの展開やパンケーキミックスの販売など、顧客向けの独自の施策を展開している姿を見て、このWeb3会員サービスのアイデアを閃いたそうです。
さて、Blackbird Labsが解決する問題は、レストラン顧客のリテンション率問題です。米国では日本における食べログのようなサービス「Yelp」
リテンション率問題を解決するために注目を集めているのが、Blackbird Labsのような小売店向け会員サービスを提供するスタートアップというわけです。競合には「Select」
Selectはコミュニティマネージャーを雇うことで各会員に手厚いサービスを提供するだけでなく、提携店舗への送客も行っています。一方、Blackbird Labsでは、顧客獲得とコミュニケーションは各店舗の責任です。この点、Blackbird Labsの暗号通貨を活用したシステムと店舗の自己努力によって、リテンション率の問題がどの程度根本的に解決されるかはまだ明確ではありません。
一般的にNFTなどのブロックチェーン技術を活用した会員権サービスのよさは管理コストにあると言われています。会員証をパブリックチェーンに乗せることで、情報の透明性を担保しつつ、データ管理をチェーンに委ねることができるからです。ウォレットの使いにくさなどがハードルになるかもしれませんが、Blackbird Labsの取り組みがうまくいけば、Web3の技術を駆使した新たな小売マーケティング戦略の成功事例として語られることになるのではないでしょうか。
10月3日〜10月16日の主要ニュース
高齢者向けの金融詐欺対策「Carefull」が1,650万ドル調達
銀行が高齢の顧客を詐欺や詐欺から守るのを支援する「Carefull」
太陽光発電所マッチングの「Perch Energy」、3,000万ドル調達
近隣の太陽光発電所と消費者をマッチングさせることで、消費者や企業がクリーンエネルギーの割引を活用できるようにする「Perch Energy」
オンラインペットケア「Dutch」が1,800万ドル調達
ペットのケアと処方箋をオンラインで提供する「Dutch」
LLMセキュリティサービス「Lakera」が1,000万ドル調達
データ漏洩といったLLMセキュリティの弱点から企業を守る「Lakera」
ピアツーピアのファッションレンタル「Pickle」が800万ドル調達
自分のクローゼット内の私物を貸し出せる、ピアツーピアのファッションレンタルサービスを運営する「Pickle」
「Parsec」が400万ドル調達、金融機関にDeFiとNFTデータの洞察を提供
金融機関にDeFiとNFT分析を提供している「Parsec」
投資アプリ「Stash」が4,000万ドル調達
投資家が株式を購入できるアプリを提供する「Stash」