GB Tech Trend #090: 対話型AIがアプリ開発を変える「Builder.ai」が2.5億ドル調達

対話型AIを活用したアプリ制作ユースケースとして、今回の動きは日本にも早々に到来するかもしれません。

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2.5億ドルの調達発表した「Builder.ai」(Image Credit: Builder.ai)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

ChatGPTのような対話型AIトレンドがノーコードアプリ制作市場を呑み込みつつあります。

5月23日、アプリ制作プラットフォーム「Builder.ai」がシリーズDにて2.5億ドルの資金調達を行ったと発表しました。本ラウンドには、Iconiq Capital、Jungle Ventures、Insight Partnersを含む既存および新規の投資家が参加しています。

Builder.aiはオーダーメイドアプリを安価に発注できる開発プラットフォームです。ユーザーはマーケットプレイス上からひとつ一つ欲しい機能を選択し、ECサイトの要領でカゴに入れて決済。UberやInstacartのようなアプリをベンチマークとしている場合は、同じアプリを選択すればそのまま模倣機能を発注できます。開発だけでなく保守点検まで一気通貫に投げられるため、アプリ開発をそのまま外注できる利便性が売りです。

発注された後、Builder.aiは世界中で囲っているフリーランスエンジニアから最適な人材を選び、チーム組成して開発に至ります。特徴的なのは過去に携わったプロジェクトで開発したコンポーネントを二次利用し、開発スピードを上げている点にあります。つまり似たような開発案件を積み重ねるほどに開発コストが下がり、利益率も上がるという仕組みです。

今回の資金調達の発表とほぼ同じタイミングで、Builder.aiはMicrosoftとの戦略的投資も発表しています。MicrosoftのTeamsと、Builder.aiのアシスタントAI「Natasha」との連携を目指すとのことです。つまりTeamsを利用している企業が、Natashaとの対話を通じて簡単なアプリ制作まで完了できてしまうことになります。

先述の通り、Builder.aiは開発コンポーネントのライブラリーを多く所有しているため、対話型AIのNatasha経由であっても基本的なアプリ機能構築は可能だと思われます。つまり、その場でNatashaと「会話しながら」プロトタイピングし、アプリを社内で見せられるようになる程度はTeamsで完結するようになるでしょう。Builder.aiからすればNatashaを使ってプロトタイプ制作する企業はリード案件となり、MicrosoftからすればTeamsのサブスクリプションユーザー獲得へ大きく貢献する機能となりそうです。対話型AIを活用したアプリ制作ユースケースとして、今回の動きは日本にも早々に到来するかもしれません。

5月16日〜5月29日の主要ニュース

1.190万ドルの調達を発表した「Acadeum」(Image Credit:Acadeum)
1.190万ドルの調達を発表した「Acadeum」(Image Credit:Acadeum)

大学間のコース共有プラットフォーム「Acadeum」シリーズBラウンドで1,190万ドルを調達

大学同士がオンラインコースを相互共有できるプラットフォーム「Acadeum」は、Green Street Impact Partnersがリードし、ECMC GroupとPearson Venturesも出資するシリーズBラウンドで1,190万ドルを調達したことを発表した。同社は合計で2,390万ドルを調達している。— 参考記事

特許技術で砂糖の味をより甘くする「Incredo」が3,000万ドルを調達

砂糖の味をより甘くする特許技術を持つ「Incredo」は、dsm-firmenich VenturingとSienna Venture Capitalが共同リードし、Teseo CapitalとPitango、BlueRed Partnersが加わった形で、シリーズCラウンドにて3,000万ドルの資金調達を行ったと発表した。同社は合計6,020万ドルを調達している。— 参考記事

ノーコード社内ツール構築「Basedash」450万ドルを調達、ビジネス効率を向上

社内ツールをノーコード構築できるモントリオール拠点の「Basedash」がMatrix Partners、Y Combinator、Form Capital、Worklifeらから450万ドルの資金調達を実施したことを発表した。— 参考記事

ゲームの戦利品ボックスとNFTデジタル・コレクティブルサービス「Loot Labs」が150万ドルを調達

ビデオゲームで配布される「戦利品ボックス」とNFT作品を紐付けるデジタル・コレクティブルの新しいプラットフォーム「Loot Labs」は、BITKRAFT Venturesをリードに、Polygon Ventures、Mechanism Capital、Lofty Ventures Syndicateも参加した150万ドルのプレシードラウンドを発表した。— 参考記事

産婦人科医院と提携する「Mate Fertility」520万ドルを調達、ミニ体外受精ラボの展開拡大

既存の産婦人科医院と提携し、十分なサービスを受けていない地域にミニ体外受精ラボを建設する「Mate Fertility」は、Struck CapitalとCortado Venturesが共同リードし、Rise of the RestとOklahoma Life Science Fundが参加するシリーズAラウンドにて520万ドルを調達した旨を発表した。同社は合計800万ドルを調達している。— 参考記事

財務データの統一APIを提供する「RootFi」150万ドルのシードラウンド獲得

ビジネスの財務データの統一APIを提供するベンガルールの「RootFi」がシードラウンドにて150万ドルを調達したことを発表した。投資家には、Y Combinator、Pioneer Fund、Soma Capitalが含まれている。— 参考記事