GB Tech Trend #080: 「Web3版インスタ」Revelが提案する新しいフォローのカタチとは

投稿した写真をNFT化して取引できるOpenseaのようなマーケットプレイス機能も備えています。

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780万ドルの調達発表した「Revel」(Image Credit: Revel)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

「Web3版インスタ」とも言えるプロダクト「Revel」が780万ドルの調達を発表しました。Revelはユーザーが写真を投稿できるだけでなく、投稿した写真をNFT化して取引できるOpenseaのようなマーケットプレイス機能も備えたプロダクトになっています。iOS及びAndroidアプリとして展開中。

NFTマーケットプレイスの有名どころでは先述のOpenseaやNifty Gatewayなど、様々なプレイヤーが登場しています。扱うNFTコンテンツに方向性の違いはありますが、これらサービス上ではあくまでも「コンテンツ主体」であって「ユーザー主体」のやり取りは希薄です。そこで登場したのがRevelです。ユーザーとNFTコンテンツ売買をうまく融合させた提供価値を提案しています。

Revelの特徴は言わば「ソーシャルゲーム的経済学」です。気になるユーザーが提供する3つの種類(「Common」「Rare」「Unique」)にラベリングされた写真を獲得すると、ひとつのシリーズ(「Series」)としてコレクションされます。シリーズを獲得すると、シリーズコンテンツを提供するユーザーがそれ以降に投稿する任意の写真が自動的に配布されるようになります。つまり、3つの写真を集める条件を満たすことで通常のフォロー・フォロワーより一歩進んだ関係になれる、というわけです。

NFT配布を通じたソーシャル哲学を、Revelでは「Social Collectives」と呼んでいます。ソーシャル性に基づいた収集と直訳できますが、まさにユーザー同士のNFT購買とソーシャルには欠かせないフォロー関係をマッチングさせた仕組みにしているのです。

Twitterでは初日に5名以上をフォローするユーザーは継続率が高いとする「マジックナンバー」説がありますが、それぞれの希少性に分かれた3つの写真を集めることで、投稿率やフォロワー同士のコミュニケーションが急激に活性化される、そんな特別な数値設定になっているのかもしれません。

また、Revelを紐解いていくと「Personal Media」としての特徴も浮かび上がってきます。これは米国で言うところのMedium、日本でいうところのnoteにも近いアプローチとも言えます。個人が自分のブログ発信の場として使えるだけでなく、ファンの人に好きなコンテンツを買ってもらうことで金銭的なメリットも発生する「稼げるインスタ」としての訴求力も持っていると感じられます。

ただ、Revelが現在囲い込んでいるユーザー層がどのようなモチベーションでコミュニケーションと売買を両立させるのか、まだイマイチ見えてこない部分もあります。ソーシャルアプリとして独り立ちさせるには、どんなコンテンツを扱うのか、Depopのようなファッションなのかもしれませんし、それ以外のアニメや漫画といった世界観になってくるのかもしれません。いずれにせよ、対消費者向け領域のど真ん中をWeb3アプローチで攻めてきたRevelの動向は注目に値します。

12月13日〜1月10日の主要ニュース

2,150万ドルの調達を発表した「Doorstead」(Image Credit:Doorstead)
2,150万ドルの調達を発表した「Doorstead」(Image Credit:Doorstead)

家賃支払い保証サービス「Doorstead」2,150万ドル調達

住宅所有者に「家賃支払い保証」を提供する「Doorstead」がシリーズBラウンドで2,150万ドルの資金調達を実施した。Avanta Venturesが本ラウンドをリードし、MetaProp、M13、Madronaも参加した。Avantaは、CSAA Insurance Group(米国自動車協会としても知られる)のベンチャー部門。Opendoorの元CEOであるEric Wu氏とCPOであるTom Willerer氏も出資者として参加した。同社は現在、合計で3,700万ドルを調達している。— 参考記事

LiDARセンサー技術を提供する「PreAct Technologies」1,400万ドル調達

自動車、ヘルスケア、ITS、産業、家電、ロボット、トラック輸送など幅広い業界にLiDARセンサー技術を提供する「PreAct Technologies」は、I Squared Capitalをリードに、State Farm Ventures、Luminate、Trayor Capitalも参加した1,400万ドルのシリーズBの資金調達ラウンドを発表した。同社は合計4,100万ドルを調達している。— 参考記事

学生向けローンを提供する「Eduvanz」1,260万ドル調達

学生に学費やコーチング、試験準備費用などのローンを提供する「Eduvanz」は、Rethink Educationがリードし、Sequoia Capital、Juvo Ventures、Unitus Venturesが追加参加したシリーズB拡張ラウンドで1,260万ドルの資金を調達した。同社は合計5,010万ドルを調達している。— 参考記事

自閉症検出を髪の毛一本から行う「LinusBio」1,600万ドル調達

髪の毛一本から自閉症のマーカーを検出できる新しい検査手法を開発した「LinusBio」が、GreatPoint VenturesとBow Capitalが共同でリードした1,600万ドルのシリーズAラウンドを公表した。— 参考記事

ユーザー・エクスペリエンスの研究者向け参加者調達サービス「User Interviews」4,350万ドル調達

ユーザー・エクスペリエンスの研究者が、さまざまな属性や行動基準で研究参加者を募れるよう支援する「User Interviews」がSageview Capitalをリードに、Teamworthy、Accomplice、Las Olas VC、Trestle Partners、ValueStream、Remarkable Ventures、FJ Labsも参加した2,750万ドルのシリーズBラウンドを公表した。同社は合計4,350万ドルを調達している。— 参考記事

プレミアエイジ女性向けプライマリケアサービス「Herself Health」700万ドル調達

65歳以上の女性に高度なプライマリケアを提供する「Herself Health」は、創業パートナー企業のJuxtaposeをリードに700万ドルのシードラウンドを発表した。同社は、ミネアポリスにオープンする最初のクリニックを皮切りに、オムニチャネルアプローチを採用し、その後、在宅ケアやバーチャルケアのタッチポイントを含めるよう拡大する計画だという。— 参考記事