ARTICLE

GB Tech Trend #078: SlackにGmailにTwitter——たまり続ける「タブ消化」に特化したブラウザSigmaOS

彼らの成長を加速させた要因に「エクストリームユーザーニーズ」の存在が挙げられます。

画像:400万ドルの調達を果たした「SigmaOS」(Image Credit: SigmaOS)
画像:400万ドルの調達を果たした「SigmaOS」(Image Credit: SigmaOS)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今やSlackやGmail、Twitter、Dropboxに至るまで、多くの人が各アプリを縦横無尽にスイッチングしています。このスイッチコストを減らすプロダクトが多く誕生しており、2018年のY Combinator参加組である「Station」などが有名どころとして挙げられます。

今回紹介する「SigmaOS」も、こうした一括管理ニーズに通底したサービスを展開しています。ユーザーが普段使うサービスと連携して1つのウェブアプリ上でサクサクと使えるようにする概念のもので、同社は11月16日に400万ドルの資金調達を発表しています。Stationと同じくY Combinator参加組です。

SigmaOSの特徴は、アプリではなく「タブのスイッチコスト」に注目している点です。Safari、Chrome上で2つ、3つとウィンドウを開き、各ウィンドウ上で多くのタブを開いてしまうといった使い方を誰もが一度はしたことがあるのではないでしょうか。

このタブ問題に一括管理の思想を持ち込んだのがSigmaOSです。同社はブラウザそのものを開発し、「Workspace」と呼ばれる大カテゴリー別にタブを開くことで管理しやすく、かつショートカットキーを使って即座に閉じることができるようにしました。

タブを「タスク」と捉え、なるべくユーザーが大量のタブを抱えないようにする考え方です。

従来の一括管理サービスは、各種メッセンジャーやSNS、データストレージサービスを一つに集約させ、「見やすくなる」「スイッチしやすくなる」といったニーズを満たす目的がありました。他方、SigmaOSは「タブ消化」に特化した生産性ニーズに応えています。

SigmaOSのプロダクト開発が始まったのが2021年で、約2年でここまでの調達に漕ぎ着けています。彼らの成長を加速させた要因としてはStationのような先行事例があったことに加え、「エクストリームユーザーニーズ」の存在が挙げられます。

ここでいう「エクストリームユーザーニーズ」とは、ビジネスマンの中でも特に多忙でありながら、メール対応やブラウジングといった仕事に多くの時間を割いてしまっている、エクストリームユーザー層の生産性ニーズを指します。

このコンテキストにうまく応えた例として、Gmailと連携して高速にメール返信できるサービス「Superhuman」が挙げられます。

Superhumanは1日3時間以上メールに使う、マネージャークラス以上のハイエンドユーザー向けメールサービスです。Gmailと連携すると、Superhuman独自のインターフェース上でGmail経由で舞い込んでくるメールに対応できるようになるもので、月額30ドルとかなり高価なサービスです。特徴的なのはSigmaOSと同様に、メールを「タスク」だと捉え、ショートカットキーを用いて秒速でタスク対応できるUXを採用している点にあります。

現在、SigmaOSがSuperhumanほどにハイエンドユーザー向けに振り切っている印象はありませんが、少なくとも「メール消化」を「タブ消化」に置き換え、ショートカットキーですぐに対応できるようにする導線には共通点が多くあります。

Superhuman同様、1つの仕事に1日の大半の時間を費やすハイエンドユーザー層へアプローチできる可能性をSigmaOSは秘めています。今後どこまでユーザー数を伸ばせるのか期待が高まります。

11月15日〜11月28日の主要ニュース

1,200万ドルの調達をした「Fizz」(Image Credit:Fizz)
1,200万ドルの調達をした「Fizz」(Image Credit:Fizz)

大学生特化SNS「Fizz」1,200万ドル調達

大学生専用のソーシャルメディアプラットフォーム「Fizz」は、NEAがリードし、Lightspeed Venture Partners、Rocketship VC、Owl Ventures、Smash Ventures、New Horizonが参加するシリーズAラウンドで1200万ドルを調達した。— 参考記事

デジタルフレーム向け写真共有アプリ「Aura」4,090万ドル調達

デジタルフレーム向け写真共有アプリ「Aura」は、Lago Innovation Fundのリードで2,600万ドルを調達した。同社は合計4090万ドルを調達している。— 参考記事

フィーチャーフォンOS「KaiOS」8,240万ドル調達

フィーチャーフォンOSを開発している「KaiOS」がFinnfundから340万ドルの資金を調達した。同社は累計で8,240万ドルを調達している。— 参考記事

AIセールスボット「Saile」135万ドル調達

AIセールスボットを開発する「Saile」は、Valor Venturesがリードした135万ドルのシードラウンドを完了した。このラウンドにはKCRise Fundも参加した。— 参考記事

ノーコードインターフェース「Taktile」2,000万ドル調達

ドイツを拠点とする「Taktile」は2,000万ドルのシリーズAラウンドを完了した。非エンジニア従業員が銀行などの垂直分野で意思決定フローを構築、調整、評価できるノーコードサービスで、Index VenturesとTiger Globalが共同リードを務めた。同社は合計で2470万ドルを調達している。— 参考記事

中小企業向け銀行プラットフォーム「Novo」3,500万ドル調達

中小企業向け銀行プラットフォームを開発する「Novo」は、GGV Capitalから3,500万ドルのシリーズBラウンドを完了している。同社はこれまで合計1億7,000万ドルを調達している。— 参考記事

AI向け医療画像セットを提供する「Segmed」520万ドル調達

臨床医、研究者、開発者向けに、AIアルゴリズムのトレーニングや検証に使用する医療画像データセットを提供する「Segmed」は、520万ドルのシードラウンドを完了した。リードはNina Capitalで、iGan Partners、M3 Inc、Mighty Capital、Expeditions Fund、Alchemist Acceleratorらが参加した。同社は合計1,000万ドルを調達している。— 参考記事