GB Tech Trend #077: メンションでTwitterスレ要約、AIノートアプリ「Mem」に注目
AIの社会実装が急速に進む昨今ですが、その流れがノートアプリにも到来しています。

執筆: Universe編集部
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AIの社会実装が急速に進む昨今ですが、その流れがノートアプリにも到来し、新たなトレンドが生まれつつあります。たとえばAIノートアプリ「Mem」はAIがノート内容を自動最適化することを指して「Self-Organizing Workspace(自己組成型ワークスペース)」というサービス展開を進めています。
Memは11月11日に「OpenAI Startup Fund」より2,350万ドルの調達を実施したことを発表しています。ノートアプリは数多く存在しますが、Memの特徴は雑多情報の管理に特化している点です。NotionやEvernoteのように、チーム議事録やナレッジを全て構造化して蓄積するワークスペースの打ち出し方ではなく、サイトのリンク情報、共有カレンダーへのメモ、SMSやメッセンジャーアプリから直接画像等の情報をアップロードするなど、細かな情報管理、そしてそれらの情報をAIによる編集・執筆機能を使ってパーソナライズ化させることを主なユースケースとして取り扱っています。
最も特徴的なのは「スマート編集・執筆」機能です(現在一般公開前)。たとえばブレスト会議向けに書き溜めておいたメモ書きを、瞬時にしてEメールの送信文に変換したり、箇条書きの内容を会議向けの長文へとその場で変換できる機能です。
サマリー文の挿入や、メモ内容に関連するファクト情報(市場の数値データなど)の自動追記も可能で、ショートカットコマンドを入力するだけで、AIによる編集・執筆機能へ即座にアクセスできるのがMemの強みといえます。
また、サービスの市場投入戦術も昨今のトレンドを上手く踏襲できている印象です。その1つとしてTwitterのスレッド要約機能の実装が挙げられます。使い方は非常にシンプルで、Twitter上で気になる長文スレッドを見つけた際に、Memをメンションするだけでワークスペース上に自動で要約文を生成し、内容をまとめて管理できるようになっています。
多くの長文スレッドが立ち上げられている最近のTwitter事情に対応しつつ、サービス訴求できている点が評価できるでしょう。
一見、大手のノートアプリと直接競合するような佇まいですが、実態で比較するとMemの使い勝手はNotionやConfluenceといった市場代表サービスと共存できる可能性を秘めています。たとえば、ネットからの情報を管理するノートアプリはMem、重要なドキュメントをまとめて組織で管理するのはNotion、こういった棲み分けができるかもしれません。
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