GB Tech Trend #069: NFTで「会員顧客」をステークホルダーにするHang

Web3領域では「Unbundle(アンバンドル)」をキーワードに新たなサービスが多く登場しています。

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1,600万ドルを調達した「Hang」(Image Credit:Hang)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

Web3領域では「Unbundle(アンバンドル)」をキーワードに新たなサービスが多く登場しています。プラットフォーマーが構築してきたビジネスモデルや提供価値の一部に特化することで格段に優れたサービスを提供したり、より「民主的」なアプローチで新しい価値提供を目指そうというものです。

今回紹介する「Hang」は従来のメンバーシップをアンバンドルしようというスタートアップで、同社は7月15日に1,600万ドルの資金調達を発表しています。

Hangは提供ブランドにブロックチェーンベースのメンバーシッププログラムを提供できるようにするもので、ブランド側はEthereumやSonalaといったチェーンを選択し、メンバー向けのホームページをノーコードで直感的に作成すれば、特典サービスをメンバーのステータス別に提供できるようになります。

最大の特徴はHangが「会員全員をステークホルダーに」と謳っている通り、会員がブランドからの特典を受け取るだけの「会員」ではなく、経済的資産を伴った「利害関係者」という結び付きを構築できる点にあります。数カ月・数年以上、会員としてブランドを応援しているメンバーに向けてNFT特典を特別に提供でき、かつ、ブランド独自の二次流通マーケットで販売することが可能になっています。

例えば有名な洋服ブランドが3年以上会員となっている人だけに、有名人と限定コラボしたNFTジャケットを無料で配布するとします。会員はジャケットを受け取り、大切に手元に取っておくもよし、マーケットで販売し、EthereumやSolanaなどの暗号資産(仮想通貨)に換えることもできます。 Hangの出資者やエグゼクティブには「Warby Parker」や「Allbirds」といった大手小売ブランド出身者がいることから、まずはこうしたブランド向けの展開が想定されます。最終的に様々なブランドのNFT化された特典が流通する、巨大なマーケットプレイスをHangは手にできるようになるかもしれません。

今後もブロックチェーンをベースとしたアプローチから既存サービスのアンバンドルを仕掛けてくるスタートアップが登場してきそうです。

7月12日〜7月25日の主要ニュース

2.6万ドルの調達をした「Whatnot」(Image Credit:Whatnot)
2.6万ドルの調達をした「Whatnot」(Image Credit:Whatnot)

ライブコマース「Whatnot」2.6億ドルの大型調達

ロサンゼルスを拠点とするライブストリーミング・ショッピングプラットフォーム「Whatnot」は、シリーズDラウンドとして2億6,000万ドルを調達した。DST GlobalとCapitalGが本ラウンドを共同でリードし、Andreessen HorowitzとYC Continuityらが加わった。— 参考記事

代替食品「Meati Foods」が1.5億ドルの大型調達

代替食品を開発する「Meati Foods」は、Revolution Growthがリードし、CPP Investments、Grosvenor、Wellington Management、ChipotleのCultivate Nextが参加するシリーズCラウンドで1億5,000万ドルを調達した。— 参考記事

移民・留学生向けのクレジット企業「TomoCredit」1.22億ドルの調達

米国でクレジットヒストリーのない移民や留学生をターゲットにした消費者向け金融「TomoCredit」は、1億2,200万ドルを調達した。投資シンジケートのメンバーには、Morgan StanleyのNext Level Fund、MasterCard、Silicon Valley Bank(債券を提供)が含まれている。GoldHouse、Asian Hustle network、Hyphen Capitalも本ラウンドに参加している。— 参考記事

公共安全ソフトウェアを開発する「CivicEye」1,200万ドル超調達

法執行機関、検察、裁判所向けにクラウドベースの公共安全ソフトウェアを提供する「CivicEye」は、シリーズAで1,240万ドルの資金を調達した。Cercano Managementが本ラウンドをリードし、Relevance Venturesと個人投資家が参加した。— 参考記事

コンピュータ・オーケストレーション「Zededa」、2,600万ドル調達

コンピュータ・オーケストレーションのスタートアップ 「Zededa」は、シリーズBラウンドとして、新規および先行投資家から2,600万ドルを調達した(昨年、シリーズAラウンドで1,250万ドルを調達)。Coast Range Capital、Lux Capital、Energize Ventures、Almaz Capital、Porsche Ventures、Chevron Technology Ventures、Juniper Networks、Rockwell Automation、Samsung Next、EDF North America Venturesらが、本ラウンドで投資した。— 参考記事

スプシ分析プラットフォーム「Equals」660万ドル調達

リモートベースのスプレッドシート分析プラットフォーム「Equals」がシードラウンドとして660万ドルを調達した。Craft Venturesが本ラウンドをリードし、BoxGroup、Worklife Ventures、そしてIntercomの創業者、FrontのMathilde Collin、LatticeのJack Altmanなど、多数の著名な個人投資家が参加した。— 参考記事

超音波がん治療技術を開発する「Oncoustics」430万ドル調達

トロントを拠点とする超音波によるがん治療評価技術会社「Oncoustics」が、430万ドルのシードラウンドを実施。Creative VenturesとSaltagen Venturesが本ラウンドをリードし、NorthSpring Capital Partners、Fraser Kearney Capital、Pallasite Venturesらが参加した。— 参考記事