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GB Tech Trend #065: ハイブランド向けWeb3「Arianee」が目指すデジタルツインな未来

デジタル世界におけるブランド商品の楽しみ方も登場し、顧客接点をデジタル世界へと拡げる必要性が出てきました。

2,000万ドルを調達した「Arianee」(Image Credit:Arianee)
2,000万ドルを調達した「Arianee」(Image Credit:Arianee)

執筆: Universe編集部

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

ファッションブランドがNFTを作成・配布するためのWeb3ソリューション「Arianee」が2,000万ドルの資金調達を発表しました。ユーザーはArianeeのパートナーブランドの商品を購入すると、保証書に記載されたQRコードを読み取ることで物理商品とリンクする形でNFTを獲得できます。

NFTは該当商品の属性や履歴などの情報を伝えることができるほか、商品のAR体験や、ブランドがNFTの保有者にロイヤリティ報酬を送ることができる「エアドロップ」機能などの追加機能を提供することができます。

Arianeeは、LVMH、Prada、Richemont’s Cartierが2021年に立ち上げたブロックチェーン・プラットフォーム「Aura」の主要な競合サービスとして認識されています。ハイブランドの中でも、Auraのパートナーに入らず、ArianeeのAPIを活用することで自社ブランドベースのブロックチェーン網を構築したいというニーズを持つ企業獲得へ動いている模様です。

さて、今回のArianeeは物理商品に紐づく形のデジタルデータを配布する「デジタルツイン」企業と捉えることができるでしょう。昨今話題のNFTの切り口から、物理世界とデジタル世界の架け橋となるブランド体験を実現しようとしています。具体的にはトークノミクスの実現とも言えるかもしれません。

従来、ブランド側は物理商品の購買活動だけでしか顧客接点を持つことができませんでした。

しかしNFTの概念が普及してから、メタバースを中心にデジタル世界におけるブランド商品の楽しみ方も登場し、顧客接点をデジタル世界へと拡げる必要性が出てきました。そこで物理商品にリンクする形でNFTを発行し、物理とデジタル、両方におけるブランド体験を包括的に提供する仕組みが求められ、Arianeeのようなサービスが登場しているのです。

ただし、NFTを作成・配布するだけがArianeeの真価ではありません。NFTホルダー向けにブランドが独自トークンを発行する機能があり、これによりトークンベースに顧客接点を長期的な視点で持つことができるようになります。

ブランドファンの活動によりトークンを通じた報酬提供ができるので、たとえばメタバースでどの程度ブランド商品NFTを楽しみ、エンゲージし、周りのユーザーに周知してくれたのかといったアンバサダー的な動きの指標を元に、報酬提供する仕組みが将来的に登場してくるかもしれません。

NFT配布をベースにしたデジタル世界とのブリッジ、そしてトークン配布による長期ファンコミュニティ育成。この2つの実現性こそがArianeeのサービス価値だと言えるでしょう。NFT市場の加熱は日本にも伝わってきていますので、Arianee同様のサービスが今後登場してきてもおかしくないでしょう。

5月17日〜5月30日の主要ニュース

6,000万ドルの調達を発表したフィンテック企業「Stable」(Image Credit:Stable)
6,000万ドルの調達を発表したフィンテック企業「Stable」(Image Credit:Stable)

ニューヨーク拠点の農業フィンテック「Stable」6,000万ドル調達

農家向けに変動する商品価格変動(ボラティリティ)から守るサービスを展開する「Stable」は、Acrewがリードし、Greycroft、Notion Capital、Syngenta、Continental Grain Coが参加したシリーズBラウンドで6,000万ドルの調達をした。 同社は合計1億1250万ドルを調達している。— 参考記事

SDGs文脈での建築市場向けモニタリング企業「Converge」1,500万ポンド調達

建設現場でのコンクリートの使用状況を監視することで二酸化炭素排出量を削減する「Converge」は、OGCI Climate Investmentsがリードし、TO Venturesが追加出資したシリーズAラウンドで1,500万ポンドの資金調達した。— 参考記事

イベントチケット販売「Gametime」3,000万ドル調達

スポーツイベントやライブエンターテイメントの直前チケット販売に特化するモバイルチケットのマーケットプレイス「Gametime」は、Nimble Venturesがリードし、Maven Ventures、Accel、GV、Jeff Mallett氏、Palapa Ventures、Bolt Ventures、Tenere Capital、Blitzscaling Ventures、Next Play Capital、Alumni Ventures、University Growth Fundが参加したシリーズCラウンドで3,000万ドルを調達した。— 参考記事

中東の決済サービス「Hyperpay」4,000万ドル調達

サウジアラビアのリヤドに拠点を置き、MENA地域のオンライン決済ゲートウェイを運営する「Hyperpay」は、Mastercardから4,000万ドルの調達を実施した。同社は累計5,370万ドルを調達している。— 参考記事

中東インド向け投資アプリ「Jar」5,000万ドル調達の報道

インドの消費者向けに投資・貯蓄アプリを運営する「Jar」が、3億5,000万ドルの評価額で5,000万ドルのシリーズB資金を調達すると報じられた。Tiger Globalがリードし、Folius VenturesとParamarkからの資本も含まれる予定だという。Jarはこれまでに総額3,650万ドルを調達している。— 参考記事

短期ワークスペースを提供する「Upflex」がWeWorkをリードに3,000万ドル調達

雇用主が短期スペースを効率的に手配できるよう支援する「Upflex」は、WeWorkがリードし、Newmark、Cushman & Wakefield、Ecosystem Integrity Fund、GPO Fund、Caelius Capital、Industry Ventures、Inertia Ventures、Perennial Private Investments、Silicon Valley Bankが出資するシリーズAラウンドで3,000万ドルを調達した。今回の調達で、同社は約1億ドルの企業価値を持つことになる。Upflexはこれまでに総額3,410万ドルを調達している。— 参考記事