GB Tech Trend #048: 新時代の検索「You.com」のアイデアとは

新たな検索サービス誕生の機運が高まっています。

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2,000万ドルを調達した検索サービス「You.com」(Image Credit:You.com)

執筆: Universe編集部

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

数年に一度の消費者向け(To C)サービス・トレンドが来ていると言われている昨今、新たな検索サービス誕生の機運が高まっています。ということで、今回ご紹介するのは「You.com」です。11月9日、2,000万ドルの資金調達を発表しています。

You.comの特徴は2つほど挙げられます、「ホライズン表示」と「アプリ連携」です。Googleを筆頭とする従来の検索サービスは、大半が縦スクロールで検索結果を表示させていました。テキスト記事やウェブサイトの検索結果を多く表示する上では適切な手法であったためです。

しかし、バーティカル表示(縦長表示)は20年以上前のUXに囚われている表示手法とも言えます。今ではテキスト以外に動画やニュースなどのカテゴリー別の結果も細かく求められていますし、RedditやMedium、TikTokのような大手コンテンツプラットフォームの結果表示もあります。こういったあらゆるサービスから統一的に情報検索したいというニーズに答えるべく登場したのがYou.comです。

You.comではサービス別・カテゴリー別に綺麗に分類した結果を表示させるUIを採用しています。その上で各トピックがホライズン表示(横スクロール)することで網羅性を高めました。コンテンツから別アプリに飛ばすことも重視しています。これはGoogleのように自社サービスに「閉じた」利用を求める大手企業の戦略の裏をかいたUXとも言えるでしょう。ユーザーからすれば様々な検索ソースを集めることができるメリットが生まれます。

ユーザーは一覧化された各検索結果カテゴリーの好みの優先度を付けることもできます。たとえば動画結果を優先して表示したい場合は、動画セクションを一番に持っていくことで今後利用する際のトップ画面に結果表示することができるようになります。

You.comは、検索結果のソース別にあらゆるカテゴリーを網羅的に表示することに秀でたサービスです。ただ闇雲に結果を表示するのではなく、そこにホライズン表示を採用することで見やすくなるように設計しており、ユーザー自身による結果表示のパーソナライズ化にも取り組んでいます。

以前、このコラムでは各種検索窓口と連携するAdd-on型の検索サービス「Neeva」をご紹介しました。創業者は元Googleで検索広告事業部にいたSridhar Ramaswamy氏であり、同氏はGoogleの検索結果は広告が優先的に表示され、ユーザーがほんとうに求めるコンテンツがなかなか探し出せないアルゴリズムに疑念を呈し、Neeva開発を手がけることになっています。

今回のYou.comが2,000万ドル、Neevaは4,000万ドル(記事掲載時)を調達しており、検索市場にも新たなトレンドとして次のGoogle誕生を期待する声が聞こえてくるようになりました。

今週(11月9日〜11月15日)の主要ニュース

1.75億ドルを調達した「Applied Intuition」(Image Credit:Applied Intuition)
1.75億ドルを調達した「Applied Intuition」(Image Credit:Applied Intuition)

自動運エンジン・ソフトウェア「Applied Intuition」が1.75億ドルの大型調達

Googleのベテラン社員によって設立され、自動車エンジニア向けのソフトウェア開発ツールを製造す「Applied Intuition」がAddition、Cootue、シリアルアントレプレナーのElad Gil氏が共同でリードするシリーズDラウンドで1億7500万ドルを調達した。同社は現在、累計総額3億5,000万ドルを調達しており、評価額は36億ドルに達しているという。— 参考記事

AIチップメーカー「Cerebras Systems」が2.5億ドルの調達

AIチップメーカー「Cerebras Systems」はシリーズFラウンドで2億5,000万ドルの資金を調達し、評価額は40億ドルを超えたという。Abu Dhabi Growth FundとFalcon Edge Capitalがこのラウンドを共同リードし、Altimeter、Benchmark、Cootue、Eclipse Ventures、Moore Strategic Ventures、Vy Capitalが参加した。— 参考記事

インドネシアの大手スタートアップ「GoTo Group」が13億ドル超の調達

配車サービス「Gojek」とEコマース企業「Tokopedia」が合併してできたインドネシアのハイテク企業「GoTo Group」は、ADIAがリードし、Avanda Investment Management、Fidelity International、Google、Permodalan Nasional Berhad、Primavera Capital、SeaTown Master Fund、Temasek、Tencent、Ward Ferryらが参加するラウンドで、13億ドル以上のプレIPO資金を調達した。— 参考記事

バイオテック「Shasqi」が5,000万ドル調達

化学療法における強化治療薬を開発する「Shasqi」は、シリーズBラウンドとしてArcus Bioscienceなどから5,000万ドルを調達した。同社はYCombinatorのプログラム卒業企業である。— 参考記事

B2B向け自動化ツール「Workato」が2億ドルの大型調達を達成

ビジネスオートメーション統合プラットフォーム「Workato」は、シリーズEラウンドで2億ドルの資金を調達した(評価額は57億ドル)。Battery Venturesが本ラウンドをリードし、Insight Partners、Altimeter Capital、Tiger Globalらが参加した。— 参考記事

VRメディカルサービス「AppliedVR」が3,600万ドル調達

没入型治療法を提供するVRスタートアップ「AppliedVR」は、シリーズBラウンドとしてF-Prime Capital、JAZZ Venture Partners、Sway Ventures、SVB Venturesらから3,600万ドルを調達した。— 参考記事

南米住宅プラットフォーム「Houm」が3,500万ドル調達

チリ・サンチアゴを拠点とする住宅レンタル・販売プラットフォーム「Houm」は、シリーズAラウンとして3,500万ドルをGoodwater Capitalをリードに調達。Fen Ventures、Broadhaven、投資家のRahul Mehta氏、Fifth Wall、OneVCやシリアルアントレプレナーのElad Gil氏などの初期出資者らが参加した。— 参考記事