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GB Tech Trend #035: 広がる出世払い——アフリカの自動車販売に一役買う「Moove」

「後払い・出世払い」の考えが拡大しています。

2,300万ドルの調達を発表したMoove。Image Credit: Moove。
2,300万ドルの調達を発表したMoove。Image Credit: Moove。

執筆: Universe編集部

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

「後払い・出世払い」の考えが拡大しています。

例えば米国の教育市場では「Lambda School」や「Microverse」が登場しました。教育プログラムを無料で提供、その代わり就職したら給与の15〜20%ほどを毎月2、3年間に渡って分配し続けてコスト回収するモデルを採用しています。お金を稼げるようになったら費用を担ってもらう考えです。

住居市場では「Loftium」が登場しました(現在はピボットした模様)。頭金5万ドルを肩代わりする代わりに利用者は3年間、Airbnbに一室を貸し続けて収益を分配します。Airbnbの需要予測データが取得できるようになったために成り立つと考えられたビジネスモデルでした。

これらは「ISA - Income Share Agreement」と呼ばれており、収益分配制度がスタートアップの収益軸として認知されてつつあります。そしてこれをギグ経済に持ち込んだのが、つい先日2,300万ドルの調達を発表した「Moove」です。同社はナイジェリアで自動車をローンとセットで販売しています。

TechCrunchによると、Moove側は独自のクレジット・スコアの仕組みによってローンを策定します。自動車代金の95%を肩代わりし、利用者は返済方法として24か月、36か月、48か月のいずれかの期間を選択することができます。自動車購入後にUberを通じて働き、週次収益の一定割合を返済に充てることができるモデルを採用しています。

Mooveはスコア診断技術に強みを持っています。ナイジェリアの銀行ではドライバーから10〜50%の保証金を徴収することが一般的なのだそうですが、Mooveでは5%。また、実質的な年利についてもナイジェリアの銀行で相場となる20〜25%に対し、Mooveでは8〜13%としているそうです。

アフリカのスタートアップ勢では「FlexClub」もUberドライバー向けに自動車を貸し出す投資プラットフォームを展開しています。投資家が自動車を購入し、FlexClubを通じてドライバーに貸し出し、週もしくは月単位で収益分配されるモデルです、自動車を長期投資対象として運用でき、ドライバーも頭金0で自動車を所有できるため、双方にとってWin-Winの関係を構築できる、というわけです。

これまで金融オプションにアクセスできなかった人に対し、柔軟なサービス形態とデータ分析のモデルを組み合わせることで、特にアフリカや東南アジアのような金融に対する課題感を残している国でのサービス成長が望めそうです。

今週(8月9日〜8月15日)の主要ニュース

7.5億ドルもの調達を果たした「Chime」(Image Credit:Chime)
7.5億ドルもの調達を果たした「Chime」。Image Credit: Chime。

次世代バンク「Chime」が大型調達、IPOへ弾み

オンライン銀行業務を担う「Chime」は、最新の資金調達ラウンドで7億5,000万ドルを調達し、ポストマネー評価額は250億ドルに達した。今回のラウンドでは、Sequoia Capital Global Equitiesがリードし、SoftBank Vision Fund 2、既存の投資家であるGeneral Atlantic、Tiger Global、Dragoneer Investment Groupらが参加した。今回の資金調達により、Chimeは2022年前半のIPOを目指しているという。— 参考記事

カリキュラム・プラットフォーム「Kiddom」が3,500万ドル調達

各州の要求標準に合わせたデジタル・カリキュラムを提供するプラットフォーム「Kiddom」は、Altos Venturesをリードに、Owl Ventures、Khosla Ventures、Outcomes Collectiveらが参加したシリーズCラウンドにて3500万ドルを調達した。— 参考記事

AIチップソリューション「Motivo」が1,250万ドル調達

AIを活用した設計ソリューションを開発し、チップの設計時間を短縮している「Motivo」は、シリーズAラウンドとして1,250万ドルを調達した。本ラウンドではIntel Capitalがリードし、Storm Ventures、 Seraph Group、Inventus Capitalらが参加した。— 参考記事

モデル特化の予約プラットフォーム「Contact」が190万ドル調達

モデルやクリエイターのための予約プラットフォームを提供する「Contact」は、Founders Fundがリードし、LAUNCH、Sweet Capital、Rogue VCおよびエンジェル投資家が参加したシードラウンドにて140万ポンド(190万ドル)を調達した。— 参考記事

XRを活用したスポーツテック「StatusPRO」が520万ドル調達

AR・VRを利用した、ロサンゼルスを拠点とするスポーツ・トレーニング・テクノロジー企業「StatusPRO」は、シードラウンドとして520万ドルを調達した。本ラウンドは、KB PartnersとTitletownTechが共同でリードし、Greycroft、Verizon Ventures、Haslam Sports Group、49ers Enterprises、SC Holdingsらが参加した。— 参考記事

Redditがさらなる大型調達

ネット掲示板大手「Reddit」は、Fidelityのリードにより、シリーズFで4億1,000万ドルの資金を調達し、評価額は100億ドルを超えた。共同創業者でCEOのSteve Huffman氏は、The New York Times紙の取材に対し、Redditは初期の支援者からの参加を考慮すると、7億ドル近い資金でこのラウンドを終えることになるだろうと述べている。同社はこれまでに、個人投資家から16億ドルを調達していると思われる。— 参考記事

コンシューマー・クレジット企業「Upgrad」が1億ドル超の調達

LendingClubの創業者であるRenaud Laplanche氏が共同設立した、消費者金融企業「Upgrade」は、シリーズEラウンドとして1億500万ドルを調達した。プレマネーで33.25億ドルの評価となり、Koch Disruptive Technologiesがリードを務め、BRVとVentura Capitalらが参加した。— 参考記事

AI医薬品スタートアップ「XtalPi」が4億ドルの大型調達

計算物理学、量子化学、クラウドコンピューティングを活用した製薬会社の医薬品開発を支援するAI医薬品研究開発企業「XtalPi」は、OrbiMedとRRJがリードするシリーズDラウンドで4億ドルを調達。Sequioa Capital、Sino Biopharmecutical、5Y Capitalなどの投資家も参加している。— 参考記事