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GB Tech Trend #028: 企業電話もコラボレーションの時代。フランスから新たなユニコーン「Aircall」誕生

SlackやNotionなど、様々な生産性ツールが登場している今、あらゆるワークツールが結び付き合うことを前提にサービス設計されることが重要になっています。

1.2億ドルの大型調達でユニコーンとなった「Aircall」。Image Credit: Aircall。
1.2億ドルの大型調達でユニコーンとなった「Aircall」。Image Credit: Aircall。

執筆: Universe編集部

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今週の注目テックトレンド

SlackやNotionなど、様々な生産性ツールが登場している今、あらゆるワークツールが結び付き合うことを前提にサービス設計されることが重要になっています。

他方、企業が利用する電話は顧客と話す大切なチャネルでしたが、外部サービスとの連携が足りていませんでした。たとえば電話をした内容などを同僚にオンラインツールを使って共有することは難しいです。

現在、パンデミックの影響で分散型ワークフォースや在宅勤務をする傾向が加速。ただ、顧客から電話を受け、問い合わせ内容に関しての細かいメモをその場でメンバーに共有する動線ができていません。電話を受けたらそのまま各種ワークツールに情報を即座に共有する体制が確立されていないため、オフィスワークと比較してやりずらさが残っています。

そこで価値を発揮しつつあるのが「Aircall」です。同社は6月23日、Goldman Sachs Asset ManagementがリードするシリーズDラウンドで、1.2億ドルの調達を発表しています。今回の調達でユニコーンへと成長しています。

2014年にパリで設立されたAircallは、ローカルコールセンターサービスを提供します。利用企業の顧客がどこからかけてきても良いように、ローカライズされた電話番号・フリーダイヤル・コールルーティング・発信者を適切な部署に誘導する自動化された対話型音声応答(IVR)・コールキューイングなどのサービスを提供。

Aircallのプラットフォームは、不在着信率や平均待ち時間などの指標を表示する分析機能も備えています。通話の割り当て機能も搭載。セールスやサポートの電話を複数の人が処理している場合には、一度に複数の人に鳴らすこともできたり、すべての通話の概要が表示されるので、通話を割り当てたり、タグ付けしたりすることができます。

なによりAircallの強みは外部サービスとの連携。Salesforce、Zendesk、Zohoなどの他のソリューションと統合することができます。従来の電話を他社サービスとつなぎ合わせることでアップデートしています。電話の受付やルーティング、潜在的な見込み客のフォローアップ、同僚とのコラボレーションを可能にし、「オープンな電話」としての市場ポジションを確立しています。カスタマー・サポートや営業チームが1日に何千件ものコールを処理する際、各案件をチームで対応することができるようになりました。

現在までに8500社の企業に利用されており、Natwest、Spareroom、Glovoなどの主要なクライアントを獲得しています。過去記事によると、Aircallは収益を4倍に、従業員数を2倍に増加。同社はもともとフランスでスタートしましたが、現在では収益のほとんどが米国からのものとなっているとのことです。

Aircallと類似事例を見てみると、メールサービスの「Front」が好例でしょう。“コネクティビティ”の面で劣っていた企業のメール体験を刷新し、手軽にチーム内で問い合わせ内容を共有できたり、メンションできるものに生まれ変わらせました。いずれも「電話」や「メール」といった、仕事ツールとしてのメタファーとなる体験を大きく最発明しているサービスです。

生産性ツールの市場は大きいため、競合サービスとがいたとしても、「オープンプラットフォーム」のコンセプトを貫いていれば一定数の企業需要はすくい取れると感じます。この分野ではアジア市場向けで成長するサービスが登場してもおかしくないはずです。アジア版AircallやFrontのような存在が出てくれば注目すべきかもしれません。

今週(6月22日〜6月28日)の主要ニュース

VRプラットフォーム「VRChat」。Image Credit: VRChat。
VRプラットフォーム「VRChat」(Image Credit:VRChat)

VRプラットフォーム「VRChat」が8,000万ドル調達

ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」は、ユーザー同士でワールドを作成・公開・検索できるサービス。今回、Anthos Capitalがリードし、Makers Fund、GFR Fundなどが参加するシリーズDで8000万ドルの資金を調達した。— 参考記事

ノーコードプラットフォーム「Tonkean」、5,000万ドル調達

ワークフローを自動化するためのノーコード・オートメーション・プラットフォーム「Tonkean」は、シリーズBラウンドとして5,000万ドルを調達した。今回のラウンドではAccelがリードし、昨年のシリーズAで2,400万ドルを調達したLightspeed Venturesも参加した。— 参考記事

リワード・フィットネス「Paceline」、2,950万ドル調達

リワードが発生するフィットネスプラットフォーム「Paceline」は、シリーズAで2,950万ドルの資金を調達した。このラウンドではAcrew Capitalがリードし、Mubadala Capital Venturesと以前の出資者が参加した。— 参考記事

物流業者向け決済プラットフォーム「RoadSync」、3,000万ドル調達

倉庫、貨物取扱業者、修理・牽引業者の支払いをシンプルにする決済サービス「RoadSync」は、シリーズBラウンドとして3,000万ドルを調達した。 今回の資金調達は、Tiger Globalがリードし、Gaingels、Base10 Partners、Hyde Park Venture Partnersが参加した。— 参考記事

若者向け生理用品「August」が195万ドル調達

Gen-Z向け生理用品を開発する「August」は、Hannah Grey VCがリードし、Bullish、xFactor Ventures、Glossier、Refinery29、Livelyなどの個人投資家が参加した、195万ドルのシードラウンドを実施した。— 参考記事

各SNSでの同時ライブ動画配信プラットフォーム「Happs」、470万ドル調達

クリエイターが各種ソーシャルプラットフォーム上で同時にライブ動画配信できるアプリ「Happs」が、Bullpen Capital、Crosslink Capital、Goodwater Capital、Corazonなどから470万ドルのシードラウンドを調達した。— 参考記事

VRトレーニング「Moth+Flame」が250万ドル調達

ニューヨークを拠点とするVRトレーニング・スタートアップ「Moth+Flame」は、Bee Partnersをリードに250万ドルのシードラウンドを実施した。ー参考記事

カーボンKPIを測定する「Ryte」が850万ユーロ調達

ドイツ・ミュンヘンを拠点とするウェブサイト上のカーボンフットプリントを測定する「Ryte」は、Bayern KapitalとOctopus Investmentsの共同出資により、今年初めに850万ユーロを調達したとのこと。— 参考記事