GB Tech Trend #012: 「デジタルツイン」と「天候の科学」
航路上の天候を的確に予測することで、4.1億〜11.6億ドルの損失をカバーできるとしています。

執筆: Universe編集部
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今週の注目テックトレンド
IoTやドローン、飛行機などから発せられるデータポイント、無線Wifiの回線状況を解析することで、全米各地の天候情報を把握するサービスを提供する「ClimaCell」
「Taylor & Francis」
そこでClimaCellは各地の天候を緑・黄・赤色のドットで表示し、どの場所の通信と天候が良いのかを一目でわかる「マイクロウェザーモデル/API」
分析して得られた気象データは、気象衛星から送られてくるデータと比較して、低コストかつ高精度なデータソースとなり得ることから、非常に高い提供価値を持っています。ここでのClimaCellの強みは、常に変化する天候・気象環境を把握できている点にあります。こうしたメリットを活かし、航空業界等でサービスが利用されています。
今回の小型衛星打ち上げに関しても同様の強みを発揮します。従来の衛星情報では3日に1度しか同じ地域を観測できませんでしたが、ClimaCellの衛星群を使えば1時間に一度観測が可能になり、より正確に特定地域の気象データを取得することができます。
ClimaCellの真価は「デジタルツイン」
物理世界のリアルタイムデータを取得、デジタル世界でデータを分析して予測、未来に起こる事象から逆算してアクションを起こす一連の流れがデジタルツインの大まかなフローです。事前予測をして物理世界のアクションを最適化するのです。
たとえばClimaCellで収集された気象データから、特定ポイントAに1時間後、雨雲が発生すると予測されるとします。航空会社はAPIを通じてClimaCellのデータをリアルタイムで持っているため、この気象予報から運行中の飛行機に「ポイントAは避けてください」
まさに物理世界のデータから事前予測をして、自動的に最適な行動を決定づけられる体験です。事実、同社は気象データの予測に基づいて様々な事業者の意思決定を支援するインサイトサービスに重点を置いていくことを表明しています。
別の例で言えば、嵐が来たときに建設現場が安全であることを確認し、強風が来るのならばいつクレーン操作を停止すべきかの決定であったり、物流会社が大雨のために速度がいつから落ち始めるのか、それによって荷物の到着がどのくらい遅れると予想され、その旨をどのタイミングで顧客に伝えるべきかの行動決定の予測をサポートしていたりします。
ClimaCellはまさに、物理世界の事象をAIによって解析し、意思決定を助けるデジタルツイン企業であると考えられるでしょう。このように、各企業がデジタルツインの座組みから考えてどのような戦略を5〜10年のスパンで打ち出せているのかを予想すると、さらに深く企業分析などができるかもしれません。
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