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GB Tech Trend #009: Robinhoodersが生み出す分断

米国では政治だけでなく、金融市場にも分断が起こっているようです。

今回取り沙汰されたRobinhood。Image Credit: Robinhood。
今回取り沙汰されたRobinhood。Image Credit: Robinhood。

執筆: Universe編集部

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

コロナ禍に台頭した個人投資家と、巨大投資ファンドの対立軸が作られました。米国では政治だけでなく、金融市場にも分断が起こっているようです。

コトの発端はゲーム小売店「GameStop」株の急騰から始まります。同社は経営陣の刷新を発表した事で、経営不振の脱却を期待されていました。ここに目を付けたのが小口投資アプリ「Robinhood」を利用するユーザーら「Robinhooders」。投資ではなく投機的な目的で買い注文が次々に発生しました。

コロナ禍の金余りの状態も追い風となり、Robonhoodersの投機金が集中します。買いが買いを呼び、GameStop株は急騰。明らかに過剰評価されていることから、著名ファンド「Melvin Capital」が空売りを実施しました。

ここで巨大ファンドの動きを面白く思わないのがRobinhoodersでした。個人投資家が巨大権力にうまく転がされて金を奪われると感じ、さらなる株価上昇を仕掛けました。具体的には掲示板サイト「Reddit」を通じてGameStop株をさらに買うように呼びかけ。最終的にMelvin Capitalは大赤字となりました。

問題はここでは終わりません。GameStop株だけでなく、映画館を運営する「AMC」株など、他の株価も上昇させるムーブメントへと発展してしまいます。そこに急騰とした株の空売りを実施する巨大キャピタルも参入するという雪だるましきに関係者が増える展開に。

買いを仕掛けすぎているRobinhoodersの動きを封じるため、Robinhood運営側は特定株の買い注文を停止。株の買い注文「約定」から「受け渡し」までの数日、取引額を一時的に負担する必要のある運営にとって、いたずらな買い注文が殺到すると運営資金がなくなってしまいます。このリスクをなくすために買い取引停止に至りましたが、Robinhoodersはここでも反発。Robinhoodアプリに低評価を押し続けるなどの行為に走ります。結局、Robinhoodは緊急資金調達を実施し、なんとか難を逃れています。

この1週間で「個人のエンパワーメント」の功罪でもあるマネーゲームが発生がしました。買い注文を実施したRobinhoodersたちでさえ、短期で売り抜けなければいけません。いつまでも「買い注文」を軸にした集団意識は維持できませんので、すぐにでもお互いを出し抜く構図になります。ここにAIですら読みきれないと言われる市場心理があります。金余りの世相を反映して多く登場した個人投資家の影響で、機械ですら金融市場が読み辛くなっています。

今週(2月1日〜2月7日)の主要ニュース

Jeff Bezos氏が創業したAmazon。Image credit: Christian Wiediger。
Jeff Bezos氏が創業したAmazon。Image credit: Christian Wiediger。

Amazon CEO Jeff Bezos退任

Amazonの創業者兼CEOのJeff Bezos氏は、2021年第3四半期中に同社の会長職に移行し、現AWSのCEOであるAndy Jassy氏がCEOの座を引き継ぐ予定であると発表した。今後Bezos氏は「Day One Fund」「Bezos Earth Fund」「Blue Origin」「The Washington Post」などの事業に専念するという。— 参考記事

住宅購入サービス「Divvy Homes」1.1億ドル調達

サンフランシスコを拠点とする、フラクショナルホームオーナーシップを導入した「Divvy Homes」は、シリーズCの資金調達で1億1,000万ドルを調達。Tiger Global Managementがリードを務め、GGV Capital、Moore Specialty Credit、JAWS Ventures、Andreessen Horowitzらが出資した。この新しいラウンドまでで、負債と株式の合計が5億ドル以上となり、そのうちの約3分の1が株式で、3分の2が負債で調達されたという。— 参考記事

動画ファッションEC「Mai」500万ドル調達

ニューヨークに拠点を置く動画ファッション・ショッピングサービスを展開する「Mai」は、シリーズAの追加資金調達で500万ドルを調達した。Arbor Venturesがラウンドをリードし、Partech Ventures、Tekton Ventures、Voyager Capital、Bascom Venturesなどの投資家が参加した。— 参考記事

AIトレーニング「Superb AI」930万ドル調達

AIデータトレーニングプラットフォーム「Superb AI」は、シリーズAで930万ドルの資金調達を行った。Antinum Investmentがラウンドをリードし、Premier Partners、Stonebridge Ventures、Murex Partners、KT Investments、Duke University’s Angel Networkなどの投資家が参加した。— 参考記事

ネオバンク「Nubank」4億ドル調達

ブラジルのサンパウロに拠点を置くネオバンク「Nubank」は、シリーズGラウンドで4億ドルの資金調達を行い、2019年に投資家から割り当てられた100億ドルの評価額から250億ドルまで企業評価価値を引き上げた。このラウンドは、シンガポールのGIC、Whale Rock、Invescoを含む個人投資家と公開投資家の両方によってリードされた。以前の出資者であるTencent、Dragonee)、Ribbit Capital、Sequoia Capitalもこのラウンドに参加している。— 参考記事

ニット好きのためのEC「LoveCrafts」2,200万ドル調達

ホームクラフトのためのECマーケットプレイスとSNSを展開する「LoveCrafts」は、Scottish Equity Partners、Highland Europe、Balderton Capital、TriplePoint Capitalから2200万ドルのエクイティとデットの資金調達を行った。また、米国オンライン毛糸小売業者「WEBS」も買収した。— 参考記事

ARアプリ「Gowalla」400万ドル調達

もともとFoursquareの競合企業として設立されたが、ARソーシャルアプリへとピボットした「Gowalla」が、シードファンディングで400万ドルを調達した。GVとSpark Capitalが共同でラウンドをリードし、Niantic、Upside Partnership、 Otherwise Fund、Capital Factory、Form Capitalと多数のエンジェル投資家が参加した。— 参考記事

3D検索サービス「Physna」2,000万ドル調達

ディープラーニングを利用した3D検索企業「Physna」が、シリーズBの資金調達で2000万ドルを調達した。Sequioa Capitalがラウンドをリードし、Drive Capitalなどの投資家が参加した。— 参考記事