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「ESG投資」と「インパクト投資」における投資判断の違い——グローバルにおけるESG投資、インパクト投資の最前線(1)

ESGを考慮した事業運営は、持続的に経営を行うために必要不可欠な要素となっています。

執筆: Universe編集部、講演・編集協力: 須藤 奈応

昨今、ESGを考慮した事業運営は、持続的に経営を行うために必要不可欠な要素となっています。グローバル・ブレインでもESGポリシーを策定し、運用プログラムに順次適用していくことをお知らせしました。

先日開催された、オープンイノベーション推進に積極的な大企業様とのラボ「αトラッカーズ」の定例会にて、国内外のインパクト投資に造詣の深い、一般社団法人 社会変革推進財団 須藤奈応さんより、投資を通じたSDGsやサステナビリティへの取組みをご紹介いただきました。ESG投資に対する理解を深めるため、お話しいただいた内容を再構成して全3回に渡りお届けいたします。

近年、サステナビリティやESG、インパクト投資、SDGsという言葉をよく聞くようになりました。その一方で、それらはビジネスとは関連しない、リターンにはつながらないと考えてらっしゃる方も多いようです。

しかしそれは大きな誤解です。これらの概念はビジネスと非常に密接になってきていますし、事業開発やオープンイノベーションにも役立てることができると考えています。

資本市場ではサステナブル投資、ESG投資、インパクト投資といった手法が議論されています。今回はESG投資と、インパクト投資についてご説明します。

ESG投資における判断材料

PwCがアメリカの大企業700社の取締役に行った調査で、ESGの取り組みの重要性を認識しているのは約半数に過ぎないという結果が出ました。日本よりESGへの理解が進んでいるイメージのあるアメリカでさえ、ESGについてはまだまだ発展途上にあります。逆に言えば、日本として今から取り組んでも全く遅くありません。

ESGに取り組んでいる企業への投資をESG投資と呼びますが、具体的にどのような投資判断がされているのでしょうか。

これまでの伝統的な投資家の判断材料は、財務諸表や売上計画、実績などの定量的な財務情報と、事業戦略などの定性情報に集中していました。しかし最近ではそういった項目に加えて、地球温暖化対策、取締役の構成など、ESG要因を投資判断に考慮するようになってきています。

気候変動などのESG要因が、企業の持続可能性や中長期的な企業価値に影響を及ぼすものとして、投資判断に組み入れられるようになったということだと思います。

ESG投資はもともと上場市場で発展してきた概念ということもあり、上場企業にけるESG経営という文脈で語られることが多いですが、最近ではスタートアップ投資においても採用されるようになってきています。

インパクト投資とESG投資の違い

続いてインパクト投資についてですが、持続可能な社会の実現を目指すという意味ではESG投資と変わりません。異なるのはその目的です。

インパクト投資は環境や社会に対する課題解決を、直接的に行うビジネスの機会として捉えるというのが最大の特徴です。

ESG投資先の企業は、経営のあり方やオペレーションの観点でESGを見ていくため、ある意味どのような企業でもESG経営は可能です。しかし、インパクト投資先の企業は、ビジネスを通じて社会的課題の解決を行うので、適切なテクノロジーとビジネスモデルが必要となります。事業会社のオープンイノベーションや事業開発の一環として、インパクト投資に取り組むところが出てきています。

インパクト投資の定義としては、GLOBAL IMPACT INVESTING NETWORK(GIIN)による定義がよく使われます。「金銭的なリターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出すことを意図して行われる投資」というものです。

(1) 金銭的なリターンを追求し、(2) 投資家にインパクト創出の意図があり(3) そのインパクトを可視化するというのがポイントとなります。

次回はこのインパクト投資における3つの基本要素について、解説していきたいと思います。

須藤奈応
一般社団法人 社会変革推進財団

10年ほど資本市場におけるサステナビリティに関する取り組みを調査。現在はアメリカでインパクト投資などの調査研究を行う。海外の投資情報を日本語で届けるニュースレター「ImpactShare」も運営中。インパクト投資を初めて学ぶ方を対象にした入門書「インパクト投資入門」が、日経文庫より11月に発売予定。