VC専用のCRMを開発? グローバル・ブレインのエンジニアが挑戦するDXとは

ベンチャーキャピタルにおける開発力がなぜ必要なのか、私たちの経験を共有したいと思います。

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執筆: Universe編集部

グローバル・ブレイン(以下GB)は現在(2022年3月時点)で90名を超えるメンバーが在籍しており、そのチームもキャピタリスト(欧米・アジア・日本)、出資先のグロースを支援するValue UpチームやBiz Devチーム、知財支援チームなどがあります。

中でも特徴的なのが独自の開発・エンジニアリングチームを持っていることです。特にテクノロジー系スタートアップの支援をする場合、その「目利き」としてエンジニアリングの知識・経験は必要ですが、情報としてのみならず、直接的な開発力を保有するケースも増えてきていると考えています。

本稿ではベンチャーキャピタルにおける開発力がなぜ必要なのか、そのキャリアパスがどのようなものなのか、私たちの経験を共有したいと思います。

VC所属のエンジニアに対する誤解

GBの開発チームリーダー・石井輝亜(GitHub: @kiaking)は大手SIer、テック系スタートアップを経てGBに参画した人物です。テクノロジー界隈では、Vue.js Core TeamメンバーとしてVue.js関連ソフトウェアの開発とコミュニティ運営を行っていることでも知られ、自身としてもVuex ORMを開発しオープンソースとして公開しています。メンバーの鈴木光一朗(GitHub: @szkcr)も石井と同様にスタートアップの創業メンバーとしてシステムソフトウェアの開発、製品サポートを担当した後、GBに参画しました。現在は主に社内の情報システム部門とサーバサイド開発を担当しています。

石井は海外のカンファレンスへの登壇経験も。
石井は海外のカンファレンスへの登壇経験も。

VCにおける開発チームというと、一般的には投資先のエンジニアリング支援を行っているイメージがあるかもしれません。実際、GBでも開発体制やインフラの構築、セキュリティ強化などの支援も行っていますが、この開発チームは自社プロダクトの開発を担当しており、実際にコードを書いているところに特徴があります。

ベンチャーキャピタルの「DX:デジタル化」

ベンチャーキャピタルがプロダクトを開発すると聞いて「何を?」と思ったかもしれませんが、VCにも様々な業務があり、それをデジタルで効率化する必要があります。いわゆる「DX:デジタルトランスフォーメーション」の取り組みです。規模が小さければ汎用の表計算シートやコミュニケーションツールを駆使すればなんとかなるかもしれません。しかし、GBは海外拠点も含め人員が急拡大しており、多様で複雑化する業務フローや日本語を知らないメンバーへの対応も考えなければなりません。規模が大きくなると他の企業同様、ここの効率化アイデアが求められるのです。

具体的には基本的な情報インフラを整える「情シス」の作業などがありますが、やはり中心となるのはプロダクトの開発です。現在、GBでは投資業務に関する全般的なデジタル化を支援する「GB Base」の開発に取り組んでいます。投資業務には様々なステークホルダー(LP、出資先企業、株主など)が存在し、これらの情報流通をスマートにする必要があります。「GB Base」はVC版のCRM(Customer Relationship Management。顧客管理のためのシステム)で、この各種ワークフローを管理しながら重要な情報を漏れなく管理できるよう、UXを工夫しているところです。

例えば、以前に利用していた外部サービスは手動入力項目が多く、キャピタリストを始めとする利用者にとって入力負荷が高いものになっていました。そこで「GB Base」の開発時には業務フローの改善、項目の精査、バリデーションの強化、入力の自動化などを行うことで手動入力項目を40%以上削減。業務効率化に大きく繋げることができました。

「GB Base」は投資案件の管理だけでなく、投資先支援、ファンド管理などVC業務を一気通貫で管理することを目指しています。社内外のステークホルダーが日々増えていく中で、多様な文化や商習慣を考慮しながらシステムを考える必要があるため、難しさとともにやりがいも感じています。

また、この他にもスタートアップと大企業をつなぐマッチングサービス「GB Connect」、社内ポータルサイト「GB Portal」、毎年恒例のイベント「GBAF(グローバル・ブレイン・アライアンス・フォーラム)」の受付システムなどから、コロナ禍において管理が必要となったオフィス人数の把握システムや来客時読み上げシステムまで、大小様々なシステムを状況に応じて開発し、ベンチャーキャピタルという業務をデジタル面で支えています。

なお、各プロダクトで統一したユーザー体験を提供するために、Sefirotというデザインシステムを兼ねたコンポーネントのライブラリを開発し、オープンソースとして公開しています。社外の人からも見られるアウトプットになるため、個々の開発者のモチベーション向上にもつながっています。

VCエンジニアの将来像とキャリアパス

私たちGB開発チームではこの「ベンチャーキャピタルのデジタル化」というチャレンジに対して、興味を持ってくれる開発者を探しています。最後に、一番最近に入社したメンバーで、ERPパッケージベンダーにてエンジニアとして働いていた小暮良輔(GitHub: ryo-gk)に、どのようにして開発チームに参加することになったのか聞いてみました。

そもそもグローバル・ブレインをどのようにして知りましたか?

小暮:初めのきっかけは転職サイトです。ここにカジュアル面談の案内があって、以前、技術イベントに登壇されていて知っていたKia(石井輝亜)さんの名前が面談者として載っていたので興味を持ちました。それ以降、ベンチャーキャピタルでの仕事や実際の開発の内容などは面談を通じて知るようになりました。

投資やベンチャーキャピタルという業界は未経験だったということですが、実際に開発などに参加してみていかがでしたか?

小暮:そうですね、実際に手を動かしてみて、本当に色々なことをやる必要があるので、逆に言えば自分で多くの機能を開発している実感はあります。また、それを使ってくれるユーザーが近くにいるので、その意見や反応はダイレクトです。どこかの誰かにもらうフィードバックよりも自分が知ってる人からもらった方が、嬉しさや使われている実感が大きかったです。メンバーとの会話の中で「VCにいるというよりはFintechスタートアップにいる感覚」というフレーズが出てきたことがあったんですが、本当にそういう感覚です。

まだまだチャレンジだなと思う点は?

小暮:やはり個人として対応できる領域が狭いので、例えばフロント部分のデザインなど貢献できる範囲を広げたいというのが一点。もう1つは、ダイレクトにフィードバックをくれるチームに対して、開発のスピードを上げるなり、レスポンスに改善の余地があると思っているので、こういった部分を改善したいです。

小暮さんはベンチャーキャピタルの開発チームという未知の領域に参加したわけですが、開発者としての今後のキャリアイメージはつきましたか

小暮:個人的に理想としているのは、立ち上げの「0 ⇒ 1」、または「1 ⇒ 10」と言われるようなフェーズに貢献できるようなエンジニアです。現時点のGB開発チームだとそのフェーズをいろいろな立場から経験できるので、この環境を活かしたいですね。

ありがとうございました。

私たち開発チームの究極の目標は、グローバルTop Tier VCを目指すGBにおいてあらゆる面でのDXを促進し、会社全体の投資パフォーマンス向上に寄与することです。ベンチャーキャピタルの業務を情報技術で支え、企業価値の向上、そして社会に与える影響につなげていきたいと考えています。

現在、GBの開発チームでは次の職種を募集中です。カジュアルなコミュニケーションなどお待ちしておりますので興味ある方はぜひお声がけください。

  • Corporate Engineer(情報システム)
  • Backend Engineer
  • Frontend Engineer

詳細や応募はこちらのページから。