リモートワーク推進のために必要な「データ活用型マネジメント」——エンジニア採用勉強会レポート(3)

今の時代、リモートワークなしにエンジニアの採用は語れません。

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執筆: Universe編集部、登壇・編集協力:山田裕一朗

スタートアップや大企業においてエンジニアのニーズが高まり続ける昨今、採用に悩まれている企業も多いと思います。そこで今回、エンジニアの採用で数百社を支援されており、採用後のパフォーマンス向上のためのサービスも提供されている、ファインディ株式会社の山田裕一朗CEOに、スタートアップについて非常に重要なエンジニアの採用や組織マネジメントについて伺いました。 ※グローバル・ブレインの社内勉強会にてお話いただいた内容をもとに再構成してお届けします

ファインディ株式会社 代表取締役CEO 山田裕一朗氏
同志社大学経済学部卒業後、三菱重工、ボストン コンサルティング グループを経て2010年、創業期のレアジョブ入社。レアジョブでは執行役員として人事、マーケティング、ブラジル事業、三井物産との資本業務提携等を担当。その後、ファインディ株式会社を創業。エンジニア採用、フリーランスエンジニアのマッチング、エンジニア組織マネジメントなどのサービスを手がける。

今の時代、リモートワークなしにエンジニアの採用は語れません。弊社でもシリーズB以降でうまくいった要因の1つに、地方のハイスキル人材をフルリモートで採用するようになったことがありますし、フリーランスの方であればそもそもリモート前提です。エンジニア組織づくりにリモート導入はマストだと感じます。

弊社における開発のアクティビティを見ると、コロナ禍でリモートワークを徐々に開始した時期はうまくいってなかった印象でしたが、夏ごろから開発アクティビティが一気に上がっていきます。その後、システムリプレイスなどを経ながら、直近ではさらに加速してきています。このように実際のパフォーマンスを見ても、エンジニアのリモートワーク体制が続く可能性は大きいです。

(イシュー作成数、プルリク作成数、コミット数など開発アクティビティに関する指標をグラフ化)
(イシュー作成数、プルリク作成数、コミット数など開発アクティビティに関する指標をグラフ化)

一方、エンジニアのマネジメントは大きな経営課題です。エンジニアはマネージャーにならなくても給料が上がりやすいのでEMになりたがる人が少ないという背景もあり、「生産性の可視化」はマネジメントをサポートする上でも重要になっています。

弊社でもCTOやVPoE向けに生産性を可視化したり、エンジニア組織に関する経営データを提供したりしていますが、最近ではメンバーの成長を加速させるためにも利用されるようにもなりました。そういったノウハウをクローズドな勉強会で行うと結構盛り上がります(笑。

弊社提供のFindy TeamsはGitHubやJiraなどを解析して、自動集計やアルゴリズムによる診断などを行えます。最近ではリモート経営推進の文脈で、日経新聞にも取り上げられました。

主に、①マネジメントの効率化(生産を可視化しミーティングで活用)、②開発効率の向上(リードタイムを計測し効率化)、③開発クオリティの改善(開発プロセス上の課題を特定)、④育成(成長の可視化、目標設定)の4つに活用されています。少し簡単に紹介します。

マネジメントの効率化

このように開発のアクティビティが計測されます。たとえば部署異動のタイミングでアクティビティの増減を確認したり、週の稼働量の大小を確認したりと、メンバーのマネジメントやフォローに活用できます。

開発効率の向上

プルリククローズ時間の平均や、時間がかかっているプロセス箇所など、開発のリードタイムが測定できるため、チームの開発効率を向上させる手がかりをつかみやすくなります。

ちなみに弊社の最終面接で効率の良さを可視化して候補者に提示しているんですが、ハイスキルの方には強く興味を持ってもらえることも多いです。

開発クオリティの改善

例えばレビュー率のような、開発プロセスの悪化要因がないかなどを見て、クオリティの改善につなげることができます。

育成

個人アカウントでアクティビティの所属チームとの比較や過去の自分との比較ができるため、自己成長や1on1での相互理解に活用できます。

ここまで弊社サービスの紹介をさせていただきましたが、お伝えしたかったのはデータを可視化し、活用していくことの重要性です。データを見て、改善に向かうためのディスカッションができる企業や人材は伸びていきいます

そもそもアーリーステージで良い組織になっている企業は多くありません。こういうデータを見られることに抵抗がない、つまり改善することに抵抗がない姿勢が重要です。弊社クライアントでもすごく細かい質問や意見をいただく企業がありますが、そういうところは強いと感じます。今後エンジニアのリモートワークが推進していく上でも、マネジメントにデータを活用していく必要性は、一層増していくと思います。