コロナ禍で変わる採用テクノロジー、注目は「採用の分散化」と「リモート福利厚生」
この大きな変化の時期、何が課題となり、どこに余白が生まれるのか。本稿では特に採用の前後で発生する変化に注目してトレンドを探ってみたいと思う。

執筆: Universe編集部、共同執筆: 坂本 祥子
感染症拡大防止を受け、企業における採用活動も大きな岐路に立っている。
例えばオンライン面接の拡大はその影響のひとつだ。グローバル・ブレインでは先頃、採用ソリューションを手掛けるmanebi(マネビ)
この大きな変化の時期、何が課題となり、どこに余白が生まれるのか。本稿では特に採用の前後で発生する変化に注目してトレンドを探ってみたいと思う。
オンライン面談は何を変える
オンラインでの面談を経験した方であれば、多少なりとも対面と異なる部分を感じただろう。候補者の雰囲気や性格など定性的な情報収集がやや難しくなった一方、多くのデータを収集できるようになったのは進歩と言える。
ここで注目したいのが面接プロセスの分散化というアイデアだ。
オフライン面接の場合は「場所」
シアトル拠点の「Karat」
なによりこの事例で理解できるのは「データ」
履歴の評価(リファレンス・チェック)
例えばROXXのような企業がKaratが手掛ける採用スクリーニングを開始すれば、リファレンスまで含めた採用候補のスコアリング・ポートフォリオが一気通貫に提供できることになる。
オンライン面談の課題
しかし当然ながら課題もある。現在、採用担当は会えない分をなんとかしようと、コミュニケーション接点作ることにリソースをかけている。手間も大きく、応募者側も継続的にコンタクトが欲しいわけではない。オンラインになった結果、辞退しやすくなったことも要因としてある。いわゆる「ドタキャン」
この効率化を進めているのがmanebiのソリューションになる。現在、playse.ブランドでウェブ面接やeラーニングを展開しており、9月から選考辞退などを防止するエンゲージメントソリューションを開始した。特に重要なツールが動画で、オンライン就職活動における動画情報提供は、7割以上が志望動機向上につながるという調査結果もある。
「playse.エンゲージメント」
さらにデータを活用することで、将来的には採用目標数や達成度を求職者の志望度(情報取得の度合いで計測)
定着支援に必要な福利厚生の考え方
こうやって採用後にやってくるのが「定着」
ここで考えておきたいアイデアがリモート環境でも使える福利厚生だ。「Zestful」
Zestfulの利用企業は、同社が提携するベンダーの中から従業員に提供したいサービスを選び、プログラム名を付ける。たとえば月最大50ドルまで補助される「Healthy&Happy」
たとえば企業がリモート環境下でも健康的な生活を送って欲しいと思い、東京に多く拠点を持つジム費用を浮かせる福利厚生パッケージを提供したとしても、同じ系列ジムを持たない遠方のリモート社員は使えない。このギャップを埋める柔軟性が必要となる。そのソリューションの1つがZestfulにある。
HRWinsによると、ベンチャーファームは2019年の第1四半期だけでHRテック企業に17億ドルを投資しているというデータもある。また別のレポートによると、2019年の投資額は238件で53.3億ドルに達し、2018年の投資総額40億ドルから20%以上増加している。感染症拡大という未曾有の出来事で、HR市場も大きく動くことが予想される。新たな課題をいち早くキャッチすることが求められるだろう。
- 1. 同社リリースより。8月時点の数字。