GB Tech Trend #018: 40億ドル評価報道のClubhouse、Twitterが買収検討のうわさも

同社は資金調達に向けて交渉中であり、その価値は約40億ドルに達すると報道されています。

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買収の噂が出た「Clubhouse」。Image Credit: 「Clubhouse」。

執筆: Universe編集部

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

音声SNSとして注目されている「Clubhouse」の話題が尽きません。

Bloombergによると同社は資金調達に向けて交渉中であり、その価値は約40億ドルに達すると報道されています。評価額は2021年1月時の10億ドル比で4倍となり、投資家がClubhouseに高い期待を寄せていることがわかります。

競合他社も音声領域に張っており、高い企業評価はこうした競合の動きの煽りを受けているからとも言えるかもしれません。なかでもTwitterが発表した音声チャットスペース「Spaces」の存在は強く影響を及ぼしているはずです。事実、今回の40億ドル調達ニュース発表直後、TwitterとClubhouseが同額での買収可能性について話し合っているとの報道が出ました

Twitterは過去に多くの企業買収を行ってきましたが、買収価格はすべて10億ドルに満たないものでした。同社の最高金額帯の買収は、2015年の広告テック企業「TellApart」の約4億7,900万ドルと、2013年のモバイル広告スタートアップ「MoPub」の約3億5,000万ドルです。

しかし、昨今の金余りの影響がもたらすIT企業バブルにより、Twitterの株価は史上最高値近くへと推移。買収をするための軍資金を十分に持ち合わせています。「40億ドル」は過去の買収案件と比べても未だかなり強気な数値ではありますが、Facebookや、MicrosoftのLinkedInやSlackも参入しようとしている領域で逃げ切れているClubhouse。ある程度の先行利益を獲得していることから、次の主要SNSになるとTwitterも期待し、早めに競合を買収して潰してSpacesにサービス連携させたい魂胆かもしれません。

一方のClubhouseは、その高い評価額に基づいた交渉のみならず、ビジネスモデル構築においても強気です。最近ではクリエイターにStripe経由で投げ銭できる機能「Payments」を実装。従来の投げ銭機能では15〜30%ほどの手数料を運営側が徴収するものですが、Clubhouseは一切マージンを取りません。将来的にはサブスクリプションとイベントチケット代金から収益化を目指すと発言しており、あくまでもユーザーバリューを増やして、追って収益源を構築する算段のようです。

すでに膨大な資金を獲得しているClubhouse。同社の機能拡大戦略からもユニコーンらしい振る舞いが垣間見れます。今回報道されたTwitterからの買収案がどうなろうとも、他のビッグテックから買収提案を受ける可能性もあるでしょうし、今後も根強く成長を続けていくと想定されます。

今週(4月5日〜4月11日)の主要ニュース

40億ドル評価まで評価まで成長した「Patreon」。Image Credit: Patreon。
40億ドル評価まで評価まで成長した「Patreon」。Image Credit: Patreon。

オンライン・ファンクラブ「Patreon」40億ドル評価額で1億5,500万ドル調達

クリエイターとファンをつなぐオンラインプラットフォーム「Patreon」は、1億5,500万ドルの新たな資金を調達した。企業評価額は40億ドルを見込む。今回の資金調達ではTiger Global Managementがリードし、Woodline Partnersや、Lone Pine Capital、New Enterprise Associatesなどの投資家らが参加した。Patreonは、9月に9,000万ドルの資金を調達しており、その時の評価額は12億ドルであったので、今回の評価額は3倍以上の評価額となる。— 参考記事

モノの株式市場「StockX」6,000万ドル調達

ニューヨークを拠点とするスニーカーを中心とした株式市場「StockX」は、シリーズEでの6,000万ドルと、セカンダリーオファリングを通じた1億9,500万ドル分の資金を調達した。企業価値は38億ドルに達した。Altimeter Capitalがこのラウンドをリードし、Dragoneerなどの投資家が参加した。— 参考記事

デザインSaaS「Canva」7,100万ドル調達

オーストラリア・シドニーを拠点とするデザイン・ソフトウェア企業「Canva」は、新たに7,100万ドルの資金を調達した。資金調達後の評価額は150億ドルとなり、Atlassian以来、オーストラリアから生まれた最も評価の高いスタートアップとなった。今回の資金調達はT. Rowe PriceとDragoneerがリードし、Blackbird VenturesとSkip Capitalが参加したもので、同社の資金調達総額は3億7,260万ドルに達している。— 参考記事

有名人が教えるオンライン学習プラットフォーム「MasterClass」25億ドル評価で調達へ

著名専門家が教えるサブスクオンラインコース「MasterClass」が、Fidelityをリードに25億ドルの評価額で新たな資金調達を行っているとAxiosが伝えている。前回の資金調達は、2020年半ばに同社がリードする別のラウンドで、評価額は8億ドルと報じられていた。— 参考記事

AIトレーニングに必須のデータラベリングサービス「Snorkel AI」3,500万ドル調達

AI機械学習におけるデータラベリング自動化を行う「Snorkel AI」が、シリーズB資金として3,500万ドルを調達した。Lightspeed Venture Partnersがこのラウンドをリードし、Walden、BlackRock、初期の投資家であるGreylock、GV、In-Q-Tel、Nepenthe Capitalが参加した。同社によると累計5,000万ドルを調達をしたことになる。— 参考記事

企業向けメッセージ機能API「Sendbird」1億ドル調達

Messaging-as-a-Serviceを謳うAPIスタートアップ「Sendbird」は、新たに1億ドルの資金を調達した。Reddit、Hinge、Paytm、Delivery Heroなど、数多くの顧客にチャット・音声・ビデオメッセージング機能を提供する。このラウンドでは、Steadfast FinancialとSoftbank Vision Fund 2が共同でリードし、ICONIQ Capital、Tiger Global Management、Meritech Capitalが参加した。今回の資金調達は5億5,000万ドルの評価額で1億200万ドルのシリーズB資金を調達してから約2年後のこととなり、同社の評価額は約2倍になっている。— 参考記事

銀行APIサービス「Plaid」130億ドル近くの評価額で調達間近

VISAによる買収報道があったが米司法省が反トラスト法を理由に訴えた「Plaid」は、Altimeter Capitalがリードする、約130億ドルの評価額となる資金調達ラウンドの終了が近づいているとBloombergが報じている。VISAによる買収金額53億ドルをはるかに上回る評価額になる見込み。— 参考記事

室内トレーニング・スタートアップ「Tempo」1億ドル近くを調達へ

家庭用ウェイトトレーニング器具「Tempo」が、ソフトバンクがリードする1億ドル以上の投資を最終的に受けることになったとThe Informationが報じた。同社はバーベル、ダンベル、タッチスクリーンを備えた2,500〜4,000ドルのトレーニングマシンを販売しており、トレーニング指導ビデオやライブクラスの提供に月額39ドルの料金を課す。これまでにNorwest Venture PartnersとGeneral Catalystが共同で昨年クローズした6,000万ドルのシリーズBラウンドをリードしている。— 参考記事