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GB Tech Trend #037: 介護まるごとSaaSに商機を見た「Cariloop」のアイデア

米国シニア向けのケア市場は2024年には2,250億ドル(23兆円超)にまで成長するという予測があります。

1,500万ドルの調達を果たしたCariloop。Image Credit: Cariloop。
1,500万ドルの調達を果たしたCariloop。Image Credit: Cariloop。

執筆: Universe編集部

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

米国シニア向けのケア市場は2016年時点で1,000億ドル(10兆円超)で、2024年には2,250億ドル(23兆円超)にまで成長するという予測があります。

一方、日本の介護市場はDeloiteeの調査によると、2014年時点で8.6兆円。2025年には18.7兆円程度まで拡大するそうです。日本との人口比では3倍ほどある米国市場ですが、この領域については30%ほどの差に留まるようです。

米国のシニア市場は大きく「マーケットプレイス」「介護士派遣」「支援ツール」という3つの分野に分かれます。

マーケットプレイスモデルの大手としては「Care.com」が挙げられます。介護士と介護者(家族)をマッチングするサービスで、バックグラウンドチェックを徹底的に行い、一定クオリティ以上の人材をマーケットプレイス上に載せることで質の高い人材のマッチングを行っています。

介護士派遣まで手がけるスタートアップで有名なのは、Andreessen Horowitzが出資する「Honor」があります。単なる派遣事業だけではマーケットプレイスに勝てないため、Honorが得意とするのがパーソナライズ体験です。たとえば利用者が中国系であれば、中国語を話せる介護士を自社契約人材の中から高速でマッチングするなど、サービス精度の高さを維持しています。

加えて、家の中でどんなサービスが提供されているかというモニタリングまで実施する、まさに川上(プロバイダー選定)から川下(サービス提供)までを押さえるサービスモデルです。全米600の訪問介護サービスのエージェントが全くIT化されていない、という問題のブレークスルーを狙っているようです。

Care.comは個人で活躍する介護士をエンパワーする提供価値を持っています。一方のHonorは自社で介護事業を完結し、既存プレイヤー市場をディスラプトする姿勢を持っています。

ただ、彼らはあくまでも「介護」にのみ徹しています。先日1,500万ドルの調達を発表した「Cariloop」は、介護に止まらず関連タスクも請け負う総合ケアサービスを提供しています。同社は遠隔シニアケアコーチとクラウドプラットフォームを使い、介護利用者のタスク管理を支援しています。

介護利用者の悩みは、一時の介護サービスで解決できるものではありません。日々、健康・資産管理などのタスクが発生します。しかし介護士は財務系のタスクを助けてくれるわけではありません。こうしたタスクを、家族全員で確認しながら、優先順位をつけて取り組む場が必要でした。

Cariloopは遠隔のオペレーターが映像もしくは音声電話で相談に乗ってくれながら、シニアケアに関するあらゆるタスク管理をしてくれます。介護プロバイダーの選択から相談に乗ってくれる支援ツールとしての市場ポジションを確立しているのです。

また、既存の介護サービス提供者がCariloopを一緒に使うことでさらに幅広く顧客ニーズに応えられます。いわゆるシニアケア市場における“Add-on”や“Extension”サービスとして、バックエンドタスクの管理・支援も果たしています。

料金は6カ月で599ドルほど。すでに市場で活躍するプロバイダーと利用家族の両方に導入してもらえる可能性があるため、スケールは比較的しやすい印象です。こうした支援型SaaSは日本でも続々と導入される市場機会があるかもしれません。

今週(8月23日〜8月29日)の主要ニュース

マドンナが立ち上げた「Bright」。Image Credit: Bright。
マドンナが立ち上げた「Bright」。Image Credit: Bright。

新生ライブチャットプラットフォーム「Bright」が1,500万ドル調達

お気に入りのクリエイターやセレブとライブで会話することができるライブビデオプラットフォーム「Bright」はSound Ventures、RIT Capital、Regah Venturesの共同出資により1,500万ドルを調達した。本ラウンドには、Marc BenioffのTIME Ventures、Globo Ventures、Norwest Venture Partners、Shawn MendesとマネージャーのAndrew GertlerのAG Venturesのほか、TwilioのCEO兼共同設立者であるJeff Lawsonも参加している。 同社は、歌手のマドンナとタレントマネージャーのGuy Oseary氏、そして初期のYouTubeプロダクトマネージャーのMichael Powers氏が共同で設立した会社だ。—参考記事

金特化のクレジット企業「Indiagold」が1,200万ドル調達

インドに拠点を置く、金に特化したデジタルクレジットプラットフォーム「Indiagold」は、シリーズAラウンドとして1,200万ドルを調達した。本ラウンドでは、PayUとAlpha Wave Incubationが共同でリードし、Better Tomorrow Ventures、3one4 Capital、Rainmatter Capital、そして初期の投資家であるLeo Capitalが参加した。—参考記事

著名アーティストも利用する「Moment House」が1,200万ドル調達

Justin BieberやTame Impalaなどのアーティストを迎え入れたバーチャル・コンサートプラットフォーム「Moment House」は、Forerunner Venturesのリードにより、シリーズAラウンドとして1,200万ドルを調達した。—参考記事

音楽ライツNFT「Royal」が1,600万ドル調達

NFTに特化した音楽著作権プラットフォームを提供する「Royal」は、シードラウンドとして1,600万ドルを調達した。本ラウンドでは、Founders FundとParadigmが共同でリードし、共同創業者のJD Ross氏が最近ゼネラルパートナーを務めていたAtomicが出資に加わっている。Royalは音楽著作権とNFTを結びつけることを目的としており、ユーザーは同社のマーケットプレイスを通じて楽曲シェアを購入し、楽曲が人気を博すとロイヤルティを得ることができる。—参考記事

エンジニアのスキルマッチング「Workera.ai」が1,600万ドル調達

技術者と非技術者の両方を対象としたスキルアッププラットフォーム「Workera.ai」は、シリーズAラウンドで1,600万ドルの資金を調達した。本ラウンドでは、NEAがリードし、Owl VenturesとAI Fundが参加した。—参考記事

給与計算API「Zeal」が1,300万ドル調達

利用企業が自社プロダクトにに給与計算機能を組み込むことを支援する給与計算インフラストラクチャ「Zeal」は、シリーズAラウンドとして1,300万ドルを調達した。Spark Capitalがリードし、Commerce Venturesが参加している。—参考記事

音声スタートアップ「LOVO」、450万ドル調達

AI音声および合成音声ツールの開発を行っている「LOVO」は、Kakao Entertainment、Kakao Investment、LG CNSから450万ドルのシード資金を調達した。—参考記事

南米市場向けEC決済「Tuna」、300万ドル調達

ウルグアイを拠点とし、ラテンアメリカ市場向けにEコマース決済サービスを展開する「Tuna」は、CanaryとAtlanticoが共同リードを務めたでシードラウンドで300万ドルを調達した。—参考記事